- 代理人として車を買取してもらう場合の方法
中古車の買取は一般的には名義人本人が依頼するものだ。だが親に代わって車を売ることになった、知人に頼まれて売却するなど名義人とは異なる人が車買取を依頼するケースもあるものだ。
だが名義人ではない人が車を買取してもらうにはさらに必要な書類などが増えてくるのであるとはいっても、どれくらい面倒なのかは名義人との関係によっても変わってくる。
ここでは代理人として車を買取してもらう場合の方法を解説している。また名義人別の対応方法も公開しているので参考にしてもらいものだ。
【基本】代理で車買取に出すのは可能
家電や家具などはリサイクルショップに持っていけば誰でも買取してもらえるが、所有権がある車は基本的に所有者本人しか売ることができないのだ。
だが親から譲り受けた車で所有者は親のままだった、本人に売ってくれるように頼まれたというケースもあるだろう。
本人がいるならまだいいが、本人が日本にいない、すでに亡くなってしまったというケースもあるもので、本人しか売れないとなれば車はどうすることもできないことになる。だがあくまでそれが原則であり、条件さえ整えば第三者が買取に出すことは可能である。
他人名義の車を売る方法は『2つ』
自分以外の名義となっている車を売りたいという時には、売る方法としては以下の2つの方法になる。いずれにしてもいろいろな書類が必要となるため、どの方法が適しているか検討してみるべきだ。
【方法1】代理人となって車を買取に出す
他人名義の車を売る方法としては、その車の所有者の代理人となる方法がある。その場合には本人が車買取に出すときに必要な書類に加えて、所有者がその人を代理人として認めたことを証明する書類も必要で書類は以下の通りだ。
車検証や自動車納税証明書、自賠責保険証、リサイクル券に関しては車検証に一緒に入れておくケースがほとんどのため、特別に準備が必要というわけではない。必要なものとしては印鑑証明書と実印が押された譲渡証明書、委任状である。
それらの書類に不備がなく実印が押されているなら、実印そのものは不要だ。また代理人になる場合は、ご自分の身分証明書も必要となるので忘れずに持っていくことだ。
【方法2】売る車を自分名義に変更してから売却する
他人の車を売却する方法としては、まずその車の所有者を自分名義にしてから売却するという選択肢もある。自分の名義にしておけば、ちょっと乗ってから売却してもいいしそのまま売却することもできるなど自由度が増すのだ。
車の名義変更するにあたり、旧所有者に準備してもらう書類は以下の通りである。
このように車の名義変更をする場合でも、代理人として売却する場合と旧所有者に準備してもらう書類はほぼ同じだ。
ただ車検証と印鑑証明書の住所が異なっている場合は住民票が必要で、2回以上引っ越ししている場合には戸籍の附票が必要である。
また結婚して住所や氏名が変わったならば戸籍謄本が必要だ。そして名義変更の場合には、新所有者も印鑑証明と車庫証明の準備が必要である。
【名義人パターン別】対応方法を全て公開する
名義人が自分ではない車を売却するといっても、名義人のパターンによって対応方法は異なるのだ。名義人のパターンとして考えられるのは、以下の5つのパターンである。
名義人が『親』の場合
親名義の車を譲り受ける、もしくは親が手続きするのが面倒だから売却を子供に頼むというケースは少なからずあるものだ。名義人が他人というケースはいろいろあるが、その中でも手続きが最も簡単な方法である。
必要な書類としては譲渡証明書と委任状、印鑑証明書などがある。印鑑証明書は印鑑登録証を持っていけば誰でも簡単に取れるし、書類を持っていき親に記入してもらえばすぐに書類は揃うだろう。
もし親が身体にも問題がないのであれば、一緒に買取業者に連れて行って交渉すればそれらの書類すら必要ないのだ。
また買取業者によっては自宅まで出張買取にも来てくれるのだから、所有者である親がその場にいればサポートをするだけで問題なく買取もできるはずである。
名義人が『故人』の場合
よくあるケースなのが、名義人である親などが亡くなってしまった場合である。存命中であれば準備する書類も簡単に揃うのだが、亡くなってしまった場合は同居する子供だからといって簡単に売却はできないのだ。
なぜなら車は故人の財産の1つであるため、遺産相続が必要になってくるからだ。名義人が亡くなっている場合に必要な書類としては以下の通りである。
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 車検証
- 自動車税納税証明書
- 自賠責保険証
- リサイクル券
- 相続人の印鑑証明書・委任状・譲渡証明書
車は分割できないため1人が相続する事になるのだ。それを相続人全員が認めるもしくは代表して売却することを認めるための書類が必要なのだ。
名義人が『認知症』の場合
最近は高齢者の交通事故が問題となっているが、名義人が認知症となっていると免許の更新もできなくなるため車も売却もしくは名義変更する事となるだろう。代理人になって車を売却する場合や名義変更には委任状が必要となるが、認知症の場合は委任状に法的効力はなくなってしまうのだ。
名義人が認知症の場合には、成年後見人を立ててからじゃないと車の売却はできないのだ。成年後見人を立てればその人の印鑑証明書や実印、そして成年後見人であることの証明書で対応できる。
ただし成年後見人になるためにもかなりの書類が必要となり、本人だけじゃなく医師や福祉関係者からの協力も必要になってくるのだ。そのためできることなら認知症になる前に運転をやめさせて、名義変更をしておくといいだろう。
名義人が『ローン会社』の場合
マイカーローンを組んで車を購入した人も少なくないだろうが、まだローンが残っている場合は名義人がローン会社になっているケースがほとんどだ。この場合はローン会社に所有権を解除してもらわなければいけないのだ。
とはいってもローン会社に所有権解除をお願いしてもすぐに解除してもらえるわけではない。所有権解除にはローンの残債をすべて完済する必要があるのだ。
車を売却したお金でローンを完済するつもりの人もいるかと思うが、順序が逆になってしまうので基本的はできないのである。
だが車買取業者にその旨を伝えれば、買取業者に仲介してもらうことで売却金額とローンの残債の相殺をしてくれることもある。また車を買い替えるのであれば、新しい車の購入費用にローン残債を含めて新たにローンを組むという選択肢もある。
名義人が『海外』の場合
名義人が他人の場合、代理人として車買取するにも名義変更するにも名義人の印鑑証明書が必要となる。印鑑証明書は通常住民票のある自治体で取得するのだが、名義人が海外にいるというケースもあるのだ。
一時的に海外に行っている場合であれば住民票がそのままというケースもあり、その場合は名義人の印鑑登録証さえあれば代理人でも取得できる。だが海外に住んでいて日本国内に住民票がない時には印鑑証明書は取得できないのだ。
その時には海外にいる名義人に日本大使館にパスポートを持って赴いてもらい、領事の前で署名する署名証明書を発行してもらう必要がある。
そして署名証明書を海外から送ってもらえば、それを使って住民票の除票も取得し車を売却できるようになるのだ。
名義変更後に車買取に出す方が良い場合も…
他人名義の車を売却する方法としては、代理人として売却する方法と名義変更してから車買取に出す方法がある。基本的にはどちらの方法でも車売却は可能なのだが、ケースによっては名義変更をしてから車買取に出したほうがいいケースもあるのだ。
もし親などの親族の車を売るのであれば、代理人として車買取してもいいのだが、血縁関係にない名義人の車を買取してもらう場合にはスムーズに買取が進まない場合もあるのだ。なぜなら一般的には他人の車を売るケースはあまりないからだ。
そして他人名義の車を売るケースには盗難車なども考えられるため、車買取業者では疑うのも無理はないのだ。一度名義変更して自分の所有物としたならば、車買取額に納得がいかなければそのまま乗り続けるという選択肢もあるだろう。
まとめ
このように車の名義人が異なる場合でも車買取ができないというわけではなく、盗難などの犯罪により車を売るのではなければ名義人と連絡を取れば他人でも売却できるのだ。
ただ実際その名義人との関係によってはかなり手続きが面倒になることが多いのである。もちろんたまたまその状況になってしまった場合は仕方がないのだが、できることなら名義人本人が車買取に出すのが理想だ。
親の車を売却するケースなどであれば、親が亡くなる前や認知症になる前に名義変更しておくなど対策を考えておいたほうがいいだろう。