ここ最近、ガソリン価格の高騰が話題になっている。日常的に車を使用する人にとっては大きな関心を抱く出来事だ。
今回の記事ではガソリン価格の最新情報や過去のデータをもとに今後の推移を予測してみたい。
1966年~2021年までのガソリン価格推移チャート
ガソリン価格推移チャートの内容をまとめると、以下の通りだ。
- 1966年の最安値は1リットルあたり50円となる
- 第一次オイルショックを迎え100円となる
- 第二次オイルショックを迎え177円となる
- 2008年に起きたリーマンショック前に182円となる
- 2020年、コロナ禍の影響により120円台まで下落
- 2021年10月に160円台
- 2022年ガソリン平均価格160円台
- 2023年1月時点のガソリン平均価格160円台
このように歴史的に見ればガソリン価格は何か大きな出来事の影響を受けて、高くなったり安くなったりしている。
2020~2021年の価格推移を分析
2020年11月から2021年11月の一年間の価格推移をまとめると、以下の通りだ。
2020年11月~2021年11月(調査年月) | 2020年 11月 |
2020年 12月 |
2021年 1月 |
2021年 2月 |
2021年 3月 |
2021年 4月 |
2021年 5月 |
2021年 6月 |
2021年 7月 |
2021年 8月 |
2021年 9月 |
2021年 10月 |
2021年 11月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レギュラー(¥/リットル) | 133.1 | 135.4 | 138.9 | 143.1 | 150.3 | 150.5 | 152.6 | 156.3 | 158.4 | 158.2 | 158.7 | 167.3 | 168.7 |
2020年から2021年にかけて右肩上がりになっている。
現在(12月時点)でも変わらず160円台の高止まりだ。
【都道府県グラフ】ガソリン平均価格を分析
2021年12月のガソリン平均価格を都道府県ごとに見てみると、以下の通りだ。以下にまとめるデータは、いずれもレギュラーの平均に関するものだ。
順位 | 都道府県名 | 価格 |
---|---|---|
1位 | 岩手県 | 154.0円 |
2位 | 埼玉県 | 155.0円 |
3位 | 青森県 | 155.5円 |
4位 | 千葉県 | 156.4円 |
5位 | 秋田県 | 156.5円 |
6位 | 三重県 | 156.8円 |
7位 | 和歌山県 | 156.8円 |
8位 | 新潟県 | 157.3円 |
9位 | 山口県 | 157.3円 |
10位 | 愛知県 | 157.6円 |
11位 | 神奈川県 | 157.7円 |
12位 | 東京都 | 158.1円 |
13位 | 茨城県 | 158.1円 |
14位 | 鳥取県 | 158.3円 |
15位 | 徳島県 | 158.8円 |
16位 | 宮城県 | 158.9円 |
17位 | 北海道 | 159.1円 |
18位 | 熊本県 | 159.2円 |
19位 | 奈良県 | 159.3円 |
20位 | 広島県 | 159.7円 |
21位 | 鹿児島県 | 160.0円 |
22位 | 長崎県 | 160.0円 |
23位 | 栃木県 | 160.2円 |
24位 | 福岡県 | 160.6円 |
25位 | 大阪府 | 160.6円 |
26位 | 富山県 | 160.7円 |
27位 | 群馬県 | 160.8円 |
28位 | 佐賀県 | 161.0円 |
29位 | 静岡県 | 161.2円 |
30位 | 島根県 | 161.2円 |
31位 | 兵庫県 | 161.6円 |
32位 | 沖縄県 | 161.7円 |
33位 | 愛媛県 | 161.9円 |
34位 | 石川県 | 162.0円 |
35位 | 岐阜県 | 162.1円 |
36位 | 岡山県 | 162.5円 |
37位 | 香川県 | 162.6円 |
38位 | 京都府 | 162.7円 |
39位 | 山形県 | 162.9円 |
40位 | 福井県 | 163.0円 |
41位 | 山梨県 | 164.7円 |
42位 | 滋賀県 | 164.9円 |
43位 | 宮崎県 | 165.3円 |
44位 | 福島県 | 165.9円 |
45位 | 長野県 | 168.5円 |
46位 | 大分県 | 169.1円 |
47位 | 高知県 | 173.3円 |
【2023年予想】ガソリン価格の今後の見通しはどうなる?
2021年からガソリン価格が高止まりになっている理由として、コロナのワクチンが普及したことが挙げられる。停滞していた経済活動が動き出す流れのなかで原油の需要が高まったが、産油国はコロナの再拡大を懸念しており、大幅な増産には慎重だ。
供給よりも需要の方が高まり、原油の調達コストが高くなったことでガソリン価格が値上がりしているのが現在の状況だ。
【追記】2023年ガソリン平均価格
ガソリン価格比較サイトであるgogo.gsによれば2023年1月29日時点でのガソリン平均価格は以下のようになっています。
ガソリンの安い県で150円後半の価格帯となっている。
ワースト10を見ると、160円台後半から高知県の176.9円まで。
全国でのレギュラーの平均価格は163.6円。
2021年10月に160円台となり、2022年3月には170.7円というここ数年の最高値に、そこから2023年現在にいたるまで160円台で推移している。
ガソリン価格が大幅値上げとなる変動要因(昭和53年~平成28年)
主な変動要因としてはオイルショックや戦争など、社会的に大きな影響を与えるものが挙げられる。
そのような出来事は昭和時代から発生しており、ガソリンを必要とする多くの人々に影響を与えたと言っていいだろう。
第一次オイルショック(昭和48年・1973年~)
1973年10月にイスラエルとアラブ諸国との間で第4次中東戦争が開戦し、OPECに加盟する6ヶ国が石油価格を4倍まで引き上げた。その影響を受けて、日本国内では以下のような出来事が起きた。
- 石油や関連商品の需給により便乗値上げが発生する
- 異常なレベルの物価高騰となりインフレーションが発生する
元々は60円台前半だったガソリン価格が影響を受け、3年や4年という限られた期間の中で2倍近くにまで高騰した。
第二次オイルショック(昭和54年・1979年~)
1978年12月にはイラン革命を機に再び価格上昇が起こり、第二次オイルショックが発生。日本はイランから大量の原油を輸入していたため、石油生産が中断されたことにより大きな影響を受けてしまった。
このような影響から、以下のような出来事が起きた。
- 1982年には過去最高値である177円を記録する
- 177円という金額は2008年に更新されるまで抜かれることはなかった
OPECの計画的な原油価格引き上げにも、大きな影響を与えたと言われている。
イラク・クウェート侵攻~湾岸戦争(平成2年・1990年~)
イラクがクウェートに対して侵攻を行ったのは、1990年8月のことだ。これにより一時的な石油価格の高騰が起き、影響を受けた人もいたことだろう。戦争により価格が高騰する理由には、以下のような内容が関係する。
- 戦争のために石油などの燃料が必要になる
- 原油生産の支配権争いが勃発する
ガソリン価格推移チャートをチェックして大きく変動している年があれば、その年に大量の石油が必要となる戦争が起きたと考えられる。
サブプライムローン問題(2007年~)
2007年に起きたサブプライムローン問題は、不動産価格の下落が関係している。証券化されたアメリカの低所得者向けの住宅ローンが世界に向けて発売されたものの、多数の金融機関を破綻に追い込んでしまったのだ。
以下の内容が原油価格高騰の要因となり、悪い結果となったと言われている。
- 投資家が実態のない金融商品から撤退した
- 資金が原油市場に流れ込んだ
金融機関の破綻などは、投資家の活動に悪影響を及ぼしたと言えるだろう。
ガソリン価格が大幅値下げとなる変動要因(昭和53年~平成28年)
チャート上のガソリン価格は常に上昇しているわけではなく、何かしらの理由により下落している場合もある。その要因をまとめて紹介するが、世界情勢などが関わり今後同じことが起こる可能性がないとは言えないだろう。
オイルショック後の「逆オイルショック」(平成11年・1999年~)
原油輸入国は2度のオイルショックから反省し、以下のような行動に出た。
- 輸入先の分散を目的として世界各地で油田開発を推進して供給量の拡大を図った
- 代替エネルギー源の開発
- 産業構造の転換
- 省エネルギーや脱石油に関する政策の推進
このようなことが大きく影響し、世界的な石油需要の低下が発生したのだ。これを過去に起きたオイルショックにちなんで逆オイルショックと言い、1999年には97円を記録した。
リーマンショックの影響(2008年~)
2008年にアメリカで起きたリーマンショックにより、大きな金融危機が発生。原油先物市場から投資マネーの引き揚げが起きたことにより原油価格が下落し、結果として短期間で大きな価格変動となった。
リーマンショックの影響により下落した価格は、その後上昇基調に戻っている。
アメリカ原油輸出解禁(平成28年・2016年~)
第一次オイルショックを重く見たアメリカは、それ以降原油輸出を原則として禁止としている。しかしシェールオイル増産が2008年ごろから活発となり、国内における石油のだぶつきの解消を目的として輸出を解禁した。
この解禁が原因となり、国際的な原油価格が安くなった。シェールオイル増産だけではなく中東産油国の生産調整が遅れたなどの事情もあり、2016年1月に東京都内で114円という価格を記録。
ガソリン車とハイブリッド車はどっちがお得?電気自動車やPHEV車は?
ガソリン価格が高騰している時代、ガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のどれがお得なのか?と気になる方もいるはず。
そもそもガソリン車以外のタイプの車についてあまり詳しく分かっていない方もいるだろう。
ハイブリッド車EV車、PHEV車について興味のある方は以下の記事を読んでほしい。
クリーンディーゼル車や燃料電池車(FCEV)について知りたい方は以下の記事で解説している。
まとめ
大きな出来事が起きた過去から現在までのガソリン価格推移チャートをチェックすると、変動しやすいという性質があると言えるだろう。原油を必要とする国は日本だけではなく、海外でも消費されていることを忘れてはいけない。
戦争や経営破綻などはその地域だけではなく、世界の経済に大きな打撃を与える場合もあるのだ。燃料として必要とするガソリンは常に安定して購入できるのではなく、様々な事情の上に成り立っているのだと覚えておこう。
過去のデータや世界情勢をチェックすると、2023年も安定化に関しては過度に期待しない方がいいだろう。自動車の運転のためにガソリンが必要であれば安いうちに購入し、常に最新のチャートをチェックするといい。