- 点検整備記録簿やメーカー保証書について
- 車の売却時に必要な書類
車を査定・売却する際、必要書類を揃えておかなければならない。必要書類の内容は本文でも紹介するが、車に関する書類のなかには「絶対にいるわけではないが、査定に影響する書類」というものがある。
「点検整備記録簿」や「メーカー保証書」「説明書」などだ。これらの書類がなければ査定でマイナス評価を受けてしまう可能性がある。
この記事では、査定の前にチェックしておきたい「点検整備記録簿」「メーカー保証書」「説明書」について解説する。
車の売却に必要な書類
まずは車の査定・売却時に必要な書類を見ておこう。
【普通自動車】売却に必要なもの一覧 | ||
---|---|---|
必要な書類 | 普通自動車 | |
自動車検査証 | ダッシュボード内に保管 | |
自賠責保険証明書 | ダッシュボード内に保管 | |
譲渡証明書・委任状 | 業者から受け取る | |
実印 | 自宅 | |
印鑑証明書 | 印鑑を持って役所で申請 | |
リサイクル券 | ダッシュボード内に保管 | |
自動車納税証明書 | 自宅かダッシュボード内に保管 |
このほか、引っ越しや結婚などで「車検証の住所と現住所が異なる」「車検証の姓名と現在の姓名が異なる」場合には、住民票の写しが必要になる。
【軽自動車】売却に必要なもの一覧 | ||
---|---|---|
必要な書類 | 軽自動車 | |
自動車検査証 | ダッシュボード内に保管 | |
自賠責保険証明書 | ダッシュボード内に保管 | |
認印 | 自宅 | |
リサイクル券 | ダッシュボード内に保管 | |
軽自動車納税証明書 | 自宅かダッシュボード内に保管 |
軽自動車の場合には、実印ではなく認印で問題ないので、印鑑登録証明書も不要だ。
普通自動車・軽自動車ともに、基本的には車内のダッシュボードや自宅に保管してあるものばかりだが、もし紛失してしまった場合にはそれぞれの発行元で手続きを行って取得しなければならない。
書類の内容や保管場所は? 点検整備記録簿・メーカー保証書・説明書について
「点検整備記録簿」「メーカー保証書」「説明書」はなくても車を売ることができるが、高値の売却を狙うなら揃えておいた方がいい書類だ。
ここでは、各書類の内容、保管場所や再取得の方法を見ていこう。
1.点検整備記録簿
点検整備記録簿は整備手帳やメンテナンスノートとも呼ばれている。点検整備記録簿は文字通り、点検整備を受けた際に記録される書類のことだ。
車両状態、交換した部品などのメンテナンス記録を確認することができるので、中古車の購入時にこの書類をチェックして購入するかどうかの判断材料にも利用される。
保管場所はダッシュボード内にある。メーカー保証書とセットになっているメンテナンスノートに記載されている。点検整備記録簿は原則、再発行はできない。紛失しないように注意して保管しておかなければならないものだ。
ディーラーでデータが残っていれば再発行できるケースもあるので、まずはディーラーに問い合わせてみた方がいいだろう。
2.メーカー保証書
メーカー保証書は新車を購入した際に渡されるものだ。車両に不具合があった場合に無料で修理してくれる。エアコンやカーナビ、オーディオ、パワーウィンドゥなどほとんどの部品は、3年間の保証が受けられる(一般保証)。
一方、エンジンやブレーキ、ステアリングなど走行に関わる部品は5年間の保証期間が設けられている(特別保証)。
ただし、期間だけでなく、走行距離の上限も設定されており、例えばトヨタの場合、一般保証は「新車から3年間または6万㎞走行時点」、特別保証は「新車から5年間または10万㎞走行時点」となっている。
そのため、期限内であっても走行距離が上限に達すれば保証は無効になる。保管場所はダッシュボード内にある。点検整備記録簿とセットになっているメンテナンスノートに入っている。
点検整備記録簿は原則、再発行はできないと説明したが、メーカー保証書はディーラーで再発行が可能だ。
3.説明書
自動車も、家電やPCのように「取扱説明書」が新車購入時に付いてくる。保管場所はダッシュボード内で、紛失した場合、購入することは可能だ。
車両の取扱説明書のほか、純正オプションに関する説明書、ディーラーオプションの説明書などもあり、なるべく揃えておいた方がいい。ただ、すべての説明書が査定に影響するわけではない。
純正品が装着されているとプラス査定になりやすいのでその説明書が備わっていた方が有利になる。一方、カー用品店などで購入した社外品の場合、それ自体、プラス査定に働くことはないため、その説明書についても有無の影響はないといっていい。
点検整備記録簿・メーカー保証書・説明書はあればプラス査定?なければマイナス査定?
点検整備記録簿、メーカー保証書、取扱説明書がある・なしで査定にどのような影響があるのかを見ていこう。そもそも査定価格の決定についてだが、買取業者が査定をする際、店ごとに恣意的な評価のみで買取額を算出しているわけではない。
ベースとして、日本自動車査定協会(JAAI)の定める中古自動車査定基準をもとに査定を行っている。もちろんこれは目安なので、業者ごとでこの評価をどのように反映させて金額を決定するかは事情が異なる。
業者の経営や市場の事情など様々な要素が加味されることもあって、同じ車であっても査定額が大幅に異なってくるのだ。
この査定基準によれば、点検整備記録簿、メーカー保証書、取扱説明書が全て揃っている場合、「10点の加点」がされる。1点につき約1000円の換算なので、1万円がプラスされるということだ。
では、これらの書類が全てなかった場合、1万円のマイナス査定になるのかといえばそうではない。以下のような減額が行われる。
表を見ると、書類の内容ごとで「40点」や「5点」など減点の点数が違ってもいるし、「特・Ⅰ・Ⅱ」など車のクラスによっても、減点の値が変わってくる。
表でいう「特・Ⅰ・Ⅱ」「Ⅲ・Ⅳ・軽」は査定の際に用いられる車種のクラス分けだ。大まかにいえば、「特」になるほど高級車になる。
トヨタ車で例を挙げると、
- 特:センチュリー(特C)、セルシオ(特B)など
- I:クラウン、アルファード、ランドクルーザーなど
- Ⅱ:マークX、ハイエース、ハリアーなど
- Ⅲ:プリウス、86、ノア、RAV4など
- Ⅳ:ヴィッツ、アクアなど
- 軽:ピクシスなど
というように各メーカーの車種ごとにランク付けされている(詳細は「日本自動車査定協会『車種のクラス分け』」)。
低いクラスの車種であっても、減額される金額は決して少なくないため、これらの書類は揃えておいた方がいいだろう。
買った中古車にメンテナンスノート(点検整備記録簿、メーカー保証書)がなかった場合は?
中古車を買った際、メンテナンスノートが備わっていなかったというケースもあるだろう。前オーナーが購入した販売店が分かれば、メンテナンスノートを再発行できる可能性はある。
もちろん、あまりに古い車であればデータが残っていなかったり、そもそも店自体がなかったりすることもあるが、まずは問い合わせてみるといいだろう。
書類の個人情報の対応はどうなっている?
車を売却した際、点検整備記録簿やメーカー保証書を提出すると、次のオーナーがその書類を引き継ぐことになる。
そのため、個人情報がどう処理されるのか気になるところだ。現在、個人情報保護法によって前オーナーの情報については漏れないように対策されている。
点検整備記録簿やメーカー保証書の個人情報は買取店が消去してくれるのが一般的だが、念のために確認しておくといいだろう。
点検整備記録簿やメーカー保証書まとめ
点検整備記録簿やメーカー保証書についてまとめると、次の通りだ。
- 点検整備記録簿、メーカー保証書、取扱説明書が全て揃っている場合、査定で1万円がプラスされるのが一般的な基準
- 点検整備記録簿は原則、再発行はできない
- メーカー保証書はディーラーで再発行が可能。取扱説明書は紛失した場合、購入することは可能。