中古車を探していると、法定整備済もしくは法定整備別という言葉を目にすることがあるだろう。法定整備は車検のことだろうと思っている人もいるが、実際は車検とは別のことだ。
ここでは法定整備について、2年に1度受ける車検との違いやそもそも受けるべきものなのか、そして法定整備を受けておくことのメリットなどをまとめている。
車を所有するなら法定整備を受ける・受けないは別として知っておく必要があるので、参考にしてもらいたい。
中古車でよく見る”法定整備付き”とは?自動車の定期点検のこと
中古車を探していると法定整備付きという言葉を目にすることがあるだろう。法定整備と車検を混同する人もいるが全くの別物である。法定整備とは自動車の定期点検のことであり、その車が安全な走行を維持するための検査である。
中古車の情報で記載されている法定整備付きとは、その名の通り購入費用の中に法定整備の費用も含まれている、すでに法定整備が済んでいる車のことだ。
法定整備は車を安全に走行させるための整備であるため、法定整備付きの車なら追加費用を支払うことなく安全な車に乗れるとも言い換えられる。
中古車は前オーナーがどんな人なのか、どんな乗り方をしていたのかわからないため、中古車を購入するのは不安なものだ。100%安全とまでは言わないが法定整備がついていればある程度は安心して乗れるといえる。
販売されている中古車の中には法定整備”別”というものもある
販売されている中古車には法定整備別と記載されている車もある。法定整備別とは以下の状態の中古車となる。
- 法定整備が行われていない
- 車を購入するには車両価格の他に別途法定整備費用がかかる
法定整備は受けなくても罰則はないのだが、安全に車に乗るためには受けておくべき整備である。
そのため法定整備別となっている中古車の場合には、購入時に法定整備を受けるのが望ましく、その際には法定整備にかかる費用も確認した上で整備を受けるといいだろう。
中古車はまったく同じ車というのはないが、法定整備別は法定整備付に比べると中古車価格が安くなっている。そのため中古車を選ぶ際には、法定整備を受けるのを前提として比較するといいだろう。
法定整備と車検の違いについて
法定整備と車検は同じようなものと思う人も多いが、全くの別のものであると認識していてほしい。また車検を受けるのだから法定整備は受けなくてもいいというわけではないのだ。車検整備は新車登録から3年後、その後は2年ごとに受けなければいけない整備である。
車検は車が安全性や公害防止などの保管基準に適しているかを点検・整備するものである。そのためあくまで法定の基準を満たしていればクリアできるものだ。
一方で法定整備は安全な走行を維持するための検査であるため、車検整備で足りない分を法定整備でカバーするという意味合いもある。
法定整備は12ヶ月点検と24ヶ月点検があり、このうち24ヶ月点検は車検整備とセットで行われることがほとんどだ。そのため車検を取得してから時間が経っている中古車なら法定整備済の車を購入するかもしくは法定整備を受けたほうが安心だ。
法定整備しなくても罰則はない
法定整備は道路運送車両法で点検を受けなければいけないとされている法定検査である。受けなければいけないとはいうものの罰則は定められていないため、受けないドライバーも少なくないのが実情だ。
また法定整備は12ヶ月点検と24ヶ月点検があり、このうち24ヶ月点検は車検時に一緒に受けるのが一般的のため、12ヶ月点検は受けなくても大丈夫という人が多いからだ。
だが罰則がないからと言って受けなくてもいいということではなく、受けずにいると大きな故障や事故につながることもゼロとは言えないのだ。
中古車は前オーナーがどのような乗り方、メンテナンスをしていたか不明なため、不安は少なからずある。そのため、もし法定整備が行われていない中古車の場合には受けたほうがいいだろう。
法定整備しておくことのメリット
法定整備は費用がかかってしまい、また罰則がないため受けない人も少なくない。だが法定装備をしておけば以下のようなメリットがあるのだ。
- 安心して車に乗れる
- 車を長持ちさせられる
- 車を売却する時の査定に有利
法定整備は安全に走行するための点検であるため、受けることで車の故障を避けられ安心して車に乗れるのが大きなメリットだ。特に中古車を購入する場合は、前オーナーがどのような人か分からないため、法定装備を受ければある程度は安心できるだろう。
またそれだけでなく法定整備の有無は車を売却する時の査定にも影響するのだ。法定整備をすると整備記録簿に記載されるため、しっかりメンテナンスされている車だという評価を受けられ、少なからず査定が高くなる可能性がある。
中古車の法定整備は高い?法定整備なしの車が受けたときの費用
法定整備は当然費用がかかる点検である。車検は少なくとも10万円以上はかかってしまうため、法定整備もそれなりに費用がかかるのだろうと思って受けない人もいるが、意外とそれほど高いものではない。
法定整備を受ける業者によって法定整備の費用は若干変わってくるが、目安は以下の通りである。
- 12ヶ月点検…1万円から1万5,000円
- 24ヶ月点検…2万円前後
ちなみに24ヶ月点検はたいていの場合、車検費用に含まれるので必ずしも別途かかるというわけではない。また上記の費用はあくまで点検費用であり、万が一各部位に不具合があった場合には、その修理費用や部品代はかかってくる。
高額に感じる人もいるかもしれないが、不具合があった場合には事故を起こすリスクは高くなり、最終的には高くついてしまうこともある。そのため安心料と思えば安いものかもしれない。
法定整備を受けられる工場
法定整備はいろいろな場所で受けられるが、一般的には専門の知識と技術を有する工場に依頼するのが望ましい。法定整備を受けられる工場としては以下の2つあるので、どちらかで受けるのがいいだろう。
1.認証工場
法定整備は制動装置つまりブレーキの分解作業を伴う作業などが必要で、自動車の構造や装置に関する高い知識と技術がある整備士と整備するための設備も必要である。認証工場とはこのような特定の整備を行える工場のことだ。
ただ認証工場として認めてもらうためには、管轄の地方運輸局に申請を出して地方運輸局長の認可されなければいけない。認証を受けずに自動車の特定整備事業を行うと違法になってしまうのだ。
認証工場かどうかはホームページがある整備工場ならそこに記載されているだろうし、確実なのは整備工場に行ってみるといいだろう。
認証を受けていれば運輸局長認証自動車分解整備事業という認証標識が掲示されているので、そちらを確認すればわかる。
2.指定工場
整備工場には指定工場というところもある。認証工場と指定工場は何が違うのか、どちらが信頼できるのか悩む人もいるだろう。
指定工場とは一定基準に適合する設備と技術者を有し、なおかつ車検場のような検査ラインがある認証工場のことである。
そのため、指定工場では車検を受けることもできる。簡単に言えば認証工場のうち車検が受けられるのが指定工場ということになり、どちらが信頼できるかと言えば、一般的には指定工場の方が設備も技術者も上ということだ。
そのため、向上にもよるのだが認証工場の方が整備費用は安くなることがある。ただ認証工場でも指定工場でも法定整備を受けることができるため、法定整備だけ受けるのであればどちらでも基本的には問題はない。
まとめ
このように法定整備は受けなければいけない義務であるが、罰則がないため受けていない人または中古車販売店もあるものだ。ただ法定整備は車を安全に走行させるためには大切な整備であるため、受けている方が安心だ。
中古車を購入する場合は特に前オーナーがどのような乗り方・メンテナンスをしていたか分からないため、法定整備の有無は重要なポイントである。
もし受けていない状況なら中古車を購入する際にしっかりと受けたほうがいいだろう。