車検切れになった車や登録抹消手続きをした車は、そのままでは公道を走ることができない。
そのため、車検を取るために車検工場に車を持っていく、再登録のため陸運局に行く場合も通常は公道を走行して向かうこともできないのだ。
そんな時には仮ナンバーを取得することで一定期間、公道を走行できるようになる。
ここでは仮ナンバーの種類と申請方法、申請の際に準備すべき書類や手数料、そして取付方法などをまとめているので参考にしてもらいたい。
仮ナンバーとは?必要になる理由は主に”車検切れ”
仮ナンバーとは臨時で運行を許された車につけるナンバーで、正式名称を「自動車臨時運行許可番号標」という。
一般のナンバープレートと区別するため、仮ナンバーは白地に赤の斜線が入っているのが特徴だ。
仮ナンバーが必要となるケースはいろいろあるのだが、一般の方が主に必要になるのが車検切れ。
うっかり車検を取るのを忘れていた、当分乗らないからと車検が切れたまま放置していたなどのケースなどがあるだろう。
そのため、車検を取るために車検工場などに車を持っていく際も乗っていくことができないのだ。
そんな時に車検工場などに車を持ち込む時だけのために仮ナンバーが必要となるのである。
車検切れ以外で仮ナンバーを使用する状況と目的
仮ナンバーを使用するケースとしては、車検切れ以外にもある。以下が主な状況と目的である。
ケース① | 登録抹消した車を再登録するため、陸運局に行く場合 |
ケース② | 廃車手続き・解体するために車を移動する場合 |
ケース③ | ナンバープレートが盗難にあって、再発行で陸運局に行く場合 |
登録抹消や廃車手続きをおこなうと、ナンバープレートは返却しなければいけない。
また稀にナンバープレートが盗難に遭うことも。
仮ナンバーは2種類存在する
- 【1】臨時運行ナンバー
- 【2】回送運行ナンバー
【1】臨時運行ナンバー
一般的に仮ナンバーというと「臨時運行ナンバー」の事を指す。
臨時運行ナンバーは全国の市区町村役場で借りられるナンバーで、一般のユーザーが使用する仮ナンバーのほとんどがこれに当たる。
臨時運行ナンバーは白地に赤の斜線が入ったもので、使用目的は基本的に車検切れの車を車検工場へ持っていくためとなっている。
【2】回送運行ナンバー
回送運行ナンバーは「赤ナンバー」や「ディーラーナンバー」とも呼ばれ、整備工場や中古車販売店などが利用する仮ナンバーだ。
回送運行ナンバーは全国の運輸局・運輸支局に申請して借りるナンバーで、基本的に業者しか借りられない。
回送運行ナンバーは白地を赤枠で囲ったもので、使用目的は整備工場間などの車両の回送のためとなっている。
仮ナンバーを申請する場所と方法&必要書類と手数料
仮ナンバーは申請が必要になるが、申請は最寄りの市町村役場で手続きが可能だ。申請の流れは以下の通りである。
- 【申請場所】どこで申請する?市役所の何課?土日でも可能?
- 【申請方法】仮ナンバーを申請する方法(普通自動車と軽自動車は同じ)
- 【申請書類】仮ナンバー申請時の3つの必要書類一覧
- 【申請費用】仮ナンバー申請の際にかかる手数料&費用一覧表
【申請場所】どこで申請する?市役所の何課?土日でも可能?
仮ナンバーは申請者の住所地にある市町村役場で申請することになる。
自治体によって若干異なるが、たいていは市民課や市民税課の窓口で申請することとなる。役所に行けば仮ナンバーと書かれていることもあるので、その窓口に行けばいいだろう。
ただ、申請できるのは基本的に平日。
大型連休の時には長期間借りられないので注意が必要だ。そのため土日祝日も頭に入れて仮ナンバーを申請すべきである。
【申請方法】仮ナンバーを申請する方法(普通自動車と軽自動車は同じ)
自動車臨時運行許可申請書には申請者の氏名や住所や車の情報、運行期間や自賠責保険についてなどの記入が必要だ。
これについては車検証や自賠責保険証券を見れば問題ない。
審査が通れば、その場で仮ナンバーを受け取ることができる。
仮ナンバーは最長5日のため、申請は移動を行う当日または前日に行うのがベストだ。ちなみに数日前に申請することも不可だ。
【申請書類】仮ナンバー申請時の3つの必要書類一覧
仮ナンバーを申請するには、事前に以下の3つの必要書類を準備する必要がある。
運転免許証 | 申請者のもの |
---|---|
仮ナンバーを取得する車が確認できる書類 | 車検証、抹消登録証明書など |
自賠責保険の原本 | 申請日から1ヶ月以上有効なもの |
この他に自動車臨時運行許可申請書の提出も必要だが、これは市町村役場の窓口にあるため行ってからで構わない。
また捺印するために印鑑が必要となるが、これは認印でも構わない。
【申請費用】仮ナンバー申請の際にかかる手数料&費用一覧表
仮ナンバーを申請する際にかかる手数料や費用は以下の通りだ。
臨時運行ナンバー申請手数料 | 1台につき750円程度 |
---|---|
回送運行ナンバー申請手数料 | 年間24,600円 |
臨時運行ナンバー自賠責保険加入費用1ヶ月分 | 普通車6,090円 軽自動車5,880円 |
回送運行ナンバー自賠責保険加入費用1年分 | 13,000円程度 |
一般の方が使用するのは臨時運行ナンバーで、自賠責保険が切れている方は1ヶ月分の加入費用を含めても7,000円程度だ。
自賠責保険が切れていなければわずかな費用で借りられるのが特徴だ。
仮ナンバーを装備せず公道を走行すると”交通違反”になる
仮ナンバーは比較的簡単に借りられるものだが、市町村役場に行くにも車に乗れないのは不便なものだ。また車検工場が近くだから大丈夫だろう、という安易な気持ちで仮ナンバーを装備せずに公道を走る人もいるかもしれない。
飲酒運転などとも違うため問題ないだろうと思うかもしれないが、れっきとした交通違反になる。
自賠責保険も切れた状態だと違反点数6点が加算、12ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金となってしまう。
つまり車検も自賠責も切れていたなら、違反点数12点となり90日間の免許停止処分(前歴なしの場合)が科せられるのだ。
初心者でもわかる!仮ナンバーの取り付け方法
市町村役場で仮ナンバーを申請し、審査が通れば白地に赤の斜線が入った仮ナンバーが渡される。市町村役場が行うのは貸すだけであり、取り付けは自分で行う必要があるのだ。
ナンバーの取り付けなどやったことがない人がほとんどだろうが、それほど難しくはない。
- フロント(前側)はネジを外して元のナンバープレートを外す
- その部分に仮ナンバーを取り付ける
- リア(後ろ側)は封印(画像の「東」)があるため、重ねるように仮ナンバーをネジ一本で固定する
- リアの取り付けが不安な人はひもやワイヤーで固定してもOK
言葉で説明するとかえってややこしくなるかもしれない。実際にやってみると初心者でも簡単に取り付けられるはずだ。
仮ナンバー取得に関する『3つの注意点』
仮ナンバーは比較的簡単に借りることができるが、3つだけ注意しなければいけない点がある。これを守れないと、仮ナンバーを付けていなのと同じ罰則が科せられる恐れがある。
- 【注意点1】仮ナンバーは有効期間満了後から”5日以内”に返却する
- 【注意点2】仮ナンバーを紛失したときは”紛失届”を出す
- 【注意点3】仮ナンバーの期間延長は禁止!罰則・罰金あり
【注意点①】仮ナンバーは有効期間満了後から”5日以内”に返却する
仮ナンバーは5日間の有効期間があるが、使用後は必ず借りた市町村役場へ返却しなければいけない。
返却期間は有効期間満了後から5日以内となっている。5日以内といっても、ほとんどが土日を含めて5日以内と言う事だ。
しかも申請の時と同様、市町村役場は土日祝日、窓口が開いていないため平日に返却に行かなければいけないのだ。
そのうちに返せばいい、と安易に思っていると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に科せられる恐れがある。
ただ、万が一返却期間に間に合わないような事情があるなら、各市町村役場へ連絡を入れれば多少遅れても問題ないはずだ。
また、返却期限が土日祝日になる場合は、休み明けの平日に返却しても可能だ。その点も含め申請時に確認しておくといいだろう。
【注意点2】仮ナンバーを紛失したときは”紛失届”を出す
仮ナンバーは自分で取り付けるため、ネジ締めが悪かったりすると走行中に落としてしまうこともあるかもしれない。また盗難に遭う可能性もゼロではない。
もし仮ナンバーを紛失してしまった場合は、各市町村役場に連絡を入れ、警察署に紛失届を提出しなければいけない。
その後に各市町村役場にて手続きも必要だ。
盗難の場合は返却免除となるが、紛失した仮ナンバーは弁償が必要となる。その弁償金は市町村によって異なるが1,700円程度だ。
【注意点3】仮ナンバーの期間延長は禁止!罰則・罰金あり
仮ナンバーの有効期間は5日間だが、その期間で車検等の手続きが終わらないというケースもあるかもしれない。
特に早めに仮ナンバーを借りてしまうと、有効期間が過ぎる恐れがある。だが、仮ナンバーの期間延長は禁止である。
車検等が終わろうと終わるまいと、仮ナンバーは返却期間内に返すのが原則だ。もしまた仮ナンバーを借りたいという時には、再度同じように申請する必要があるのだ。
期間内に返却できなければ6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となる。
まとめ
一般人はあまり利用したことがない仮ナンバーだが、実際に車検切れで公道を走れなくなるケースは意外とあるものだ。車検工場まで5分だから、と車検切れのまま走行すると罰せられてしまうので必ず仮ナンバーを利用するべきだ。
もし、車検切れの車を車検工場に運ぶなら、業者に依頼して積載車で運んでもらう方法もある。また車を買取してもらうため買取店に車を持っていくというのであれば、出張査定などを利用したほうがいいだろう。
そうすれば手間もかからず費用も抑えられるはずだ。