- 廃車の還付金
動かなくなった車や、乗らなくなった車を廃車にすると税金の還付金がある。車を購入する時には、随分と様々な税金を支払うのだと思ったことがあるだろう。こうした税金のすべてが返ってくるわけではない。
だがいくつかの税金で還付金を受け取れるのだ。あまり知られていないことなのだが、いったいどの程度の還付金があるのだろうか。ここでは還付金の受け取りから計算までまとめてみる。
廃車後に戻ってくるお金”還付金”は全部で『3種類』
廃車をした後に戻ってくる還付金には、全部で3種類ある。
この3つが該当するのだが、1つずつ詳しくどういったものかを確認しよう。
【種類1】自動車税還付金
廃車にすることで自動車税の還付金がある。では自動車税とはどういう税金なのか、から確認をしていこう。自動車税とは自動車を所有している人に対して、毎年課される税金のことだ。
4月1日時点で車を所有している人に対して、5月辺りに税金納付書が送付されてくる仕組みになる。所有する自動車の排気量で税額が決まる仕組みになっていて、基本的に年単位での支払いをすることになる。
自動車税の還付金で注意したいのは、軽自動車は適用されないことだ。軽自動車の場合、仕組みは同じで、軽自動車税という名目になる。
こちらは年度途中で廃車をしても還付金はない。還付金がでるのは普通自動車のみなのだ。他にもハイブリッド車を廃車にした場合は、エコカー減税の分が還付金にも反映される。
【種類2】自動車重量税還付金
廃車にする時の還付金の1つに、自動車重量税がある。自動車重量税とは所有する車の重量に応じて課される税金である。支払いをするのは購入時、もしくは車検時にまとめて支払いをする形だ。
自動車が道路を通行することで、舗装が劣化することの補修費用という名目の税金となるので、重量によって金額が決まる仕組みをとっている。また年式が古くなるほど、納税額が増えるのも注意しておきたいポイントだ。
他にもエコカー減税の対象となり、重量税の支払いが免除されている車については、当然ながら還付金を受け取れない。
【種類3】自賠責保険還付金
廃車の時にもらえる還付金の最後が自賠責保険の保険料だ。税金ではないのだが車の所有をすると強制的に加入させられるものなので、ほぼ税金と変わらないだろう。
自賠責保険は強制的に加入させられる保険のことで、人身事故の被害者に対して最低限のカバーをするためのものである。
任意保険のように自分自身や車両などの物損に対して保証はない。強制的に加入するものなので、多くの人は任意保険のように注意を払っていないはずだ。しかし実は返金がある。
ただし税金ではなく、飽くまでも保険料からの返金になる点に注意したい。そのため廃車手続きをした後に、自分から申請をする必要がある。保険の残り日数で月割りとなるので、タイミング次第ではある程度の還付金が受け取れるだろう。
【1】自動車税還付金の受取方法と計算方法
では廃車時の還付金について、1つずつ確認していきたい。まずは自動車税の還付金についてだ。還付金の受け取りの方法や、どの程度返ってくるのかの計算方法などを詳しく確認していこう。
自動車税還付金の受取方法
廃車時の還付金で最も楽に受け取りができるのが、自動車税だろう。そもそも自動車税の還付金については、申請をする必要がない。各都道府県の自体によっては、申請をしないといけなくなる。だが多くは申請なしで受け取りができるだろう。
受け取りの方法なのだが廃車の手続きが終わると、通知書が暫くしてから届くことになる。この通知書をもって近くの金融機関にいけば、還付金を受け取れる。
肝心なのはいつ通知書が届くのかだが、自治体によって異なっているのだ。早ければ廃車後1ヶ月程度、遅くても3ヶ月程度だろう。
この期間を過ぎても通知がこないのなら、自動車税事務所が各都道府県にあるので問い合わせをするといい。廃車後に引っ越しをしたなどで、通知書が届かないケースもあるだろう。その点は引越し前に転送届をだしておきたい。
自動車税還付金の計算方法
次に廃車時の自動車税還付金の計算方法についても考えてみる。
- 4月から廃車登録した月数分を12から引いた数を、自動車税年額を12で割ったものにかける
文章で説明をすると理解がしにくくなるので、実際の例を出してみよう。仮に7月に廃車登録をしたとすると、4月から計算すると4ヶ月分の期間が過ぎたことになる。つまり12ヶ月から差し引きで8ヶ月分が残る形だ。
次に計算しやすいように自動車税の年額が12万円だとしよう。このケースだと自動車税を月割りにすると、1ヶ月1万円という形になる。先程計算したように、自動車税の残存期間は8ヶ月だ。つまり1万円を8ヶ月分なので8万円が還付される形だ。
【2】自動車重量税還付金の受取方法と計算方法
廃車時の自動車重量税の還付金の受取方法と、計算方法についても確認していこう。自動車税の場合は申請の必要がなかったが、重量税については申請をしなくてはいけない。そのポイントなども含めて解説しよう。
自動車重量税還付金の受取方法
では廃車時の自動車重量税の還付金についても見ていく。重量税の還付については、軽く触れたように申請をしなくてはいけない。自動車税のように廃車手続きをすれば、自動的に通知書が届く訳ではない。
その申請についてなのだが、まず廃車にするといっても一時抹消登録ではなく、永久抹消登録の場合のみ適用される。手続きをする陸運支局にて重量税の還付申請書というものがあるので、永久抹消登録の書類と同時に申請するといいだろう。
重量税の還付については申請をすると、審査が行われることになる。その結果としてだいたい1ヶ月~2ヶ月程度の時間がかかる。
審査の結果問題がなければ、申請書に記載した銀行口座に振り込まれるだろう。3ヶ月ほどかかっても振り込みがない場合は、所轄の税務署に連絡をして欲しい。
自動車重量税還付金の計算方法
廃車をした時に受けられる自動車重量税の還付金は、いくら返ってくるのだろうか。
- 廃車の手続きをした翌月から、車検の残り有効期限までの月割
という形になっている。では具体的に例を出してみていこう。
- 車検証の有効期限初日が令和2年の10月1日
- 車検証の有効期限満了日が令和4年の9月30日
- 重量税の金額は24000円
- 廃車手続きをしたのは令和4年の4月10日
という条件だったとしよう。この場合だと車検の残存期間は5ヶ月となる。月あたりに換算すると重量税は1000円となるので、残存期間分の5000円が還付されることになるのだ。ポイントは手続きをした日の翌月からになる点だろう。
【3】自賠責保険の受取方法と計算方法
最後に自賠責保険の受取方法と計算方法も確認しよう。自賠責保険は税金ではないので、廃車手続きをした後に自分で申請をしなくてはいけない。正確には還付ではなく返戻金という形になるが、その方法を調べてみた。
自賠責保険の受取方法
自賠責保険は各保険会社と車の所有者が契約するものとなる。自動車を廃車にすることで、これ以上は保険を使わないとなった場合に、契約を解除することで解約返戻金を受け取る形になるのだ。
では返金の方法なのだが、これは契約をしている各保険会社とのやりとりになる。各保険会社で手続きの方法が異なるため、まずは以下の方法を試して欲しい。
- 保険会社に連絡をして解約の手続きをお願いする
- 代理店型の保険会社だと営業マンを自宅に呼ぶか、電話してみる
- 解約申請書が送付される
- 記入して返送する
といったような形が一般的だ。必要書類は以下のものになる。
- 自賠責保険の承認請求書
- 本人確認用の書類
- 返戻金を振り込みする口座
- 印鑑
- 廃車が確認できる書類
などが必要になる。手続きが終了すると、1週間から2週間程度で口座に振り込みがされるだろう。1ヶ月経過して振り込みがない場合は、保険会社に問い合わせて欲しい。
自賠責保険の計算方法
次に廃車時に返戻金として戻る自賠責保険の保険料の計算方法も確認したい。原則として解約返戻金は、保険の残存契約期間を月割りで計算される。
- 契約残存期間は自賠責保険の契約満了日から解約日
- 月額は自賠責保険の支払額を24、または36で割ったもの
- これに残存期間をかけたものが解約返戻金となる
このことから分かるのは、廃車手続きを終わらせた後は、直ぐにでも解約をした方がいい点だ。解約するのが遅くなればなるほど、解約返戻金はどんどん目減りしていくことになる。
仮に自分自身で廃車手続きをしたのなら、忘れずに自賠責保険の解約申請をするようにしておきたい。業者に廃車手続きを任せた場合は、申請が必要な重量税や自賠責保険の扱いはどうなるのか、しっかりと確認しておこう。
自動車税の還付金を代理人に任せる場合は”委任状”が必要
最後に自動車税の還付金を代理人に任せた場合について考えておこう。廃車手続きというのは、代理人に任せることができる。つまり自分で行うのではなく、廃車買取業者などに依頼をするということだ。
この場合に必要なのが委任状という書類になる。車検証の名義人とは異なる人間が、廃車手続きをすることになるのでお任せするといった書類だ。自動車税については別途自動車税還付委任状というものが必要になる。
この委任状を渡しておくと業者が一旦還付金を受け取る形になるのだ。なぜこの形をとっているのかと言うと、月末に車を売ったとしよう。その場合業者としても直ぐに手続きできるとは限らない。
翌月に手続きをする場合、還付金が1ヶ月減ってしまう。これを業者の方で穴埋めするため、委任状を求められることがあるのだ。
廃車の還付金まとめ
廃車の還付金についてまとめると、次の通りだ。
- 廃車にした場合、自動車税と自動車重量税からの還付金を受け取ることができる。さらに自賠責保険を解約すれば、解約返戻金も受け取れる。