中古車を購入する際に気を付けなければいけないのは、事故車・修復歴車は購入しないということだ。一般的に中古車販売店が提示している中古車情報では、事故車・修復歴車はしっかりと記載されているため素人でも分かりやすい。
だが一部の中古車は事故車・修復歴車でもそれを記載せずに販売しているケースもあるので、自分でもチェックが必要だ。
ここでは事故車・修復歴車の定義と見分けるための7つのポイントを紹介しているので参考にしてもらいたい。
まずは”事故車”と”修復歴車”の違いについて
文字通り解釈すると事故車とは事故を起こした車、修復歴車とは故障は破損した部分を直した経歴がある車ということだ。
だが中古車業界では一般的に事故車も修復歴車も同じことを指し、それは単純に事故を起こした車、直した車ということではない。
事故車・修復歴車とは、事故や災害により車が損傷し、その度合いが自動車の骨格部分であるフレームまで至った場合だ。
骨格部分まで損傷した場合、修理・交換をしたとしても安全走行に問題が生じることが多いため、中古車として購入するのは避けたほうが無難である。
ちなみに事故車・修復歴車となるのは以下の部分を損傷・修復している車だ。
- フレーム
- クロスメンバー
- インサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- フロア
- トランクフロア
中古車の購入で事故車だという告知義務はない
中古車を購入する際、不吉だから事故を起こした車には乗りたくないと思う人もいるだろう。そのため事故歴を知りたいと思うだろうが、事故歴については告知義務がないため中古車を購入する際には知ることができないケースがほとんどである。
事故車の解釈は違いがあり、単純に事故を起こした車のことを指すケースもあれば、骨格まで損傷したいわゆる修復歴車を事故車と呼ぶこともある。中古車業界では一般的に事故車イコール修復歴車である。
修復歴車は告知義務があるため、中古車販売店が偽ったり、知らなかったケースを除けば購入時にわかるはずだ。
だが、事故車については解釈が異なると事故を起こした車となってしまうケースもあるので、中古車販売店に確認する場合には、修復歴があるかどうかを確認すべきだ。
中古車の購入で騙されないために事故車を見分ける『7つのポイント』
中古車の購入では騙されて事故車をつかまされてしまうこともないわけではない。そのためしっかりと実車を見て見抜くことも重要だ。ここでは車にあまり詳しくない人でも見分けられる7つのポイントを紹介しているので参考にしてもらいたい。
【ポイント1】保証期間を確認
新車は購入時にメーカーの保証があるものだが、中古車でも同様の保証期間がある。ただメーカー保証は部位によっても異なるが最大でも保証期間は5年間、走行距離は10万キロとなっているため、中古車によっては保証が受けられないケースもある。
そういう場合でも販売店独自の保証を設けているところもある。これにより購入した中古車がすぐに故障してしまったとしても無料もしくは格安で修理してもらえるのだ。
ただ販売店側が事故車・修復歴を隠している場合、この保証期間が短くなっているもしくは付かないケースも考えられるのだ。
もちろんこれは販売店独自のサービスであるため、最初から保証がないケースもある。そのためもし他の中古車には保証がついているのに、その車だけ保証が短い・ないという場合には事故車を疑ってみるといいだろう。
【ポイント2】検査表・査定表を見せてもらう
販売している中古車は、当たり前ですが未使用車以外は前オーナーがいるもので、前オーナーから買取した車である。買取の際には買取査定をしており、中古車販売店にはその検査表・査定表があるのだ。
検査表・査定表の提示を求めて以下の対応だった場合には事故車である可能性が高くなる。
- Rの記載があれば事故車
- 検査表・査定表を見せてくれない
Rの記載は事故車である証拠であるため、どこを修復したのか確認するといいだろう。また修復歴がある場合、販売店側が隠そうとするため検査表・査定表を見せてくれないケースもある。
販売店はお客様に事故車であることは伝える義務があるため、検査表・査定表見せない場合も購入を控えたほうがいいだろう。
【ポイント3】ボディの左右の歪みを確認
事故車とは車のフレーム部分が損傷し、修理もしくは交換をした車のことだ。ボディは左右が対象となっているのが正常であり、少なくとも目で見てわかるほどの誤差はない。
だが、フレームが損傷した場合はいくら綺麗に修復したとしても、ボディの左右が歪んでいることも少なくないのだ。
そのため前方と後方から見て、右側と左側に若干違いを感じたなら、それは事故車で修復した車の可能性が高くなってくる。
明らかにバランスが悪ければ、安定走行にも間違いなく影響が出るため事故車ではないといわれたとしても避けるべきだ。
もちろん損傷の程度は事故の程度や修理状況によっても異なるため、目で見てわかるほど歪んでいないケースも少なくないだろう。そのため、歪みがないからといって事故車ではないとも断定はできない。
【ポイント4】塗装を確認
フレームが歪むほどの損傷を起こしてしまうと、ボディの塗装も剥げてしまうため、修理の際には塗装をし直す事が多い。そのため塗装を確認して以下のような症状が見えたら、事故車の可能性が出てくるのだ。
- 塗装の色が違う
- パーツごとに色合いが違う
- ボルトの塗装が剥げている
もちろん明らかに違う色に塗装するわけではないため、色の違いが分からないのではと思うだろう。確かに同じ色を塗装するのだが、剥げていない部分は多少なりとも色褪せしている。
整備工場でも色褪せた部分に色を合わせるのは難しいため、新しく塗り直した部分との差は出てくるものだ。また違和感をなくすため塗装する際にはパーツごとに塗ることが多く、パーツとパーツを比べてみることも需要だ。
【ポイント5】パーツの隙間を確認
事故車を見分ける方法としては、ボディの歪みを確認するのがポイントに1つではあるが、実際に損傷度合いは車によって異なる上、素人の目でははっきりと左右の歪みがわからないケースも少なくない。
プロでも目でははっきりと判断できないほどのわずかな歪みということもあるだろう。そんな時にはパーツの隙間を確認してみるのも1つの方法である。
修復歴のない車ならパーツとパーツの隙間は均等であるのだが、ボディがわずかに歪んでいれば、その隙間が均等でなくなってしまうのだ。
もちろんちょっとした事故で鈑金やパーツの交換をしていて、それによる隙間の可能性もあるため必ずしも修復歴ありというわけではない。だが、その隙間が明らかな場合は事故車を疑ってみたほうがいいだろう。
【ポイント6】トランクの部分を確認
事故車を見分けるポイントとしては、トランクを開けてトランクルームを確認してみるのも1つの方法だ。いろいろなチェックポイントはあるが、まずは以下のポイントを確認してみるといいだろう。
- ボルトの塗装の色が違う
- トランクの塗装とボディの塗装の色が違う
- トランクの床下にしわがある
- トランクの床下がさびている
トランクを開けるとバックパネルとトランクがボルトで接続されているのだが、正常な場合は塗装されているボルトも同じ色である。だがそのボルトの塗装の色が違う場合、修理している可能性が高くなるのだ。
もちろん、事故の具合はわからないため、必ずしも事故車と断定できるポイントではないが、どういう事故でどこを修理したのか確認してみるといいだろう。
【ポイント7】ボンネットの内部を確認
事故車を見分けるにはボンネットを開けてみるのも重要だ。以下のポイントがある場合は事故車の可能性もある。
- ボンネットの開閉がスムーズではない
- ボンネットとボディの色が違う
- ボンネットとボディを接続するボルトの塗装の色が違う
- ボルトが新しくなっている
事故車はボディが歪んでいる事が多いが、ボディがちょっとでも歪んでいるとボンネットとのずれが生じてスムーズに開閉できなくなることもある。
また修理していれば塗装の色が違ってくるし、ボルトも交換もしくは塗装したため色が違っていることもあるのだ。もちろんこれが事故車を決定づけるものではないため、購入を直ちに避けるものでもない。
ただこういった気になるポイントがある場合には、その理由を販売店に確認してみることだ。
見ても分からない場合は試乗してみるのがおすすめ
事故車を見分けるポイントはいくつかあるのだが、これらに該当しないからと言って事故車ではないとは言い切れない。綺麗に修復されていれば素人では見極めるのが難しいからである。
そのため中古車は一度試乗させてもらうといいだろう。車検が残っている車なら公道を走ることができ、車検がない車でも展示場内の試乗も可能である。
試乗の際にはハンドルを軽く握って、車が勝手にどちらかに曲がらないか確認してほしい。2度3度繰り返して、何度もまっすぐに走行しないようなら、事故車の危険性がある。
また中古車販売店によっては試乗を断られることもあるため、一番初めに試乗できるか確認してから中古車探しをするといいだろう。その車だけ試乗させてくれないようなら、事故車を隠している可能性も出てくる。
まとめ
中古車は相場よりも安く購入したいものだ。だが安い車だと事故車をつかんでしまうこともあるため注意が必要だ。
事故車・修復歴は告知義務があるため、たいていは中古車情報をチェックするだけでわかるものだが、記載がないからと言って100%事故車ではないと断定はできない。
もちろん信頼できる中古車店ならいいのだが、知名度もない中古車販売店だと修復歴を隠すこともあるため騙されてしまう可能性もある。そのため素人でもある程度見極めるポイントを押さえて、慎重に中古車選びをするべきだ。