自動車の役立つ知識

EV・電気自動車のメリット・デメリットとは?ガソリン車との違いも!

テスラ

地球温暖化防止のための二酸化炭素排出規制や、化石燃料枯渇問題を受けて、ハイブリッドカーを始めとした環境負荷が小さい自動車が注目を集めている。その究極とも言えるのが、電気自動車(EV/Electric Vehicle)である。

電気自動車とは、読んで字のごとく電気で走る自動車である。ガソリン車もバッテリーを積み電気のスパークでガソリンを燃焼させて走るが、電気自動車はそれとは全く違う。電気でモーターを駆動させて動力を得るのだ。

最近、日産を始めとして各社が電気自動車を続々一般市場に投入し始めてきた。評判を聞いて導入を考えた人も大勢いることだろう。果たして、今本当に電気自動車を購入すべきなのか?電気自動車が必要な人とは?様々な側面を考えていこう。

EVの意味と仕組みを解説

ブログを書く男性

EVとはElectric Vehicleの略である。Electricとは電気、Vehicleとは車両という意味だから、すなわち電気自動車である。乗用車を表すcarではなく、Vehicleということはバスやトラックも含まれていることになる。

さて、電気自動車(EV)の仕組みとは、簡単に言ってしまえばバッテリーに蓄えた電力でモーターを回して駆動する、ということに尽きる。ハンドルとペダルで操り、4つの車輪が回ることはガソリン車と変わりない。

しかし、一見単純そうに見える電気自動車(EV)の仕組みも、重い車体に人や荷物を乗せて長時間走るためには様々な技術が必要になってくる。その核となるのがACモーターとインバーター、そしてリチウムイオン電池である。

ACモーターとは、交流式のモーターである。直流式のDCモーターと比べてトルクが強く、細かい制御ができるなど自動車向きのモーターである。そして、インバーターがバッテリーから流れる直流電流を交流に変え、ACモーターを制御するのである。

多くの電力を蓄えるバッテリーは、リチウムイオン電池の採用で軽量で大容量化に成功した。こうした様々な技術を組み合わせることで、電気自動車(EV)は、現代の道路事情にふさわしい性能を手にしたのである。

ガソリン車と電気自動車(EV)の違いは?

ビジネスウーマン

一見すると、ガソリン車も電気自動車も見た目の違いは無い。4つの車輪で駆動して、ドライバーはハンドルで方向を、アクセルとブレーキで出力を制御する。見た目で違うのは、ガソリン車にあるマフラーがEVには無いということだ。

そう、ガソリン車はタンクにガソリンを詰め、インジェクションでそれを気化し、エンジン内部で爆発させることで動力を得ている。ガソリンが爆発した後に残るガスをマフラーから廃棄しながら走っているのだ。

一方で、電気自動車(EV)は、バッテリーに電気を蓄え、インバーターでそれを交流電流に変え、モーターを回転させることで動力を得ている。そして、モーターは回転しても排気ガスは排出しないから、マフラーが無い。

ガソリンを燃焼させて走る場合、そのエネルギーの一部は熱や排気ガスとなる。比較的効率が良くないのだ。一方、電気をエネルギーにする場合、多少の熱は出るが、廃棄するものは無い。エネルギー効率が良いのである。

ガソリン車と電気自動車(EV)の一番の違いはエネルギー効率だ。エネルギー効率がガソリン車に比べて格段に良いのがEVなのである。環境問題を考えるにあたって限られたエネルギーを効率よく使うなら、電気自動車という選択に行き着くのである。

EVとPHVとHVの違いは?

話合い

同じように環境負荷が少なく、次世代の車として電気自動車(EV)と同列に語られることが多いのが、プラグインハイブリッド(PHV)車と、ハイブリッド(HV)車である。しかし、この3つは全く違うものなのである。

ハイブリッドとは、「雑種」とか「異種のものを合わせた」という意味を持つ。つまり、ハイブリッド車とは、ガソリンエンジンと電気モーター両方を搭載して、状況に応じて使い分ける車なのである。

電気自動車

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プラグインハイブリッド(PHV)車とは、プラグから直接電力を供給してバッテリーに充電できる機能を持つ車だ。長距離ドライブやバッテリー切れの際にエンジンを使用する。

そして、プラグによってバッテリーに充電し、エンジンを搭載せずモーターのみで駆動するのが電気自動車だ。エンジンによる発電に頼ることが無いので、CO2排出は無く、最も環境負荷が少ない自動車だと言える。

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現在、航続距離やインフラが整っていないなどの問題から、EVは長距離ドライブなど、どんな場面でも使える車とはなっておらず、エコカーの主流はまだHVであるが、将来それらの問題が解決すれば自動車の主流はEVになるだろうと言われている。

電気自動車(EV)のメリット

チェックリスト

電気自動車(EV)は、世界中で普及が進んでいる。有名なところでは、アメリカのテスラ社は電気自動車専門のメーカーで業績を伸ばしているし、日本でも日産が先駆となって、EVの代表車種であるリーフは売上を伸ばしている。

これだけ多くの人が購入し、普及が拡大している電気自動車(EV)であるからには、多くのメリットが存在しているはずである。しかし、今まではそのメリットが漠然としか語られていなかった。これでは購入すべきかわからない。

そこで、電気自動車(EV)の数多あるメリットを、ここで一旦整理してみる。メリットを整理し、それを俯瞰することで、果たして電気自動車(EV)は自分の生活に必要な車なのか、そうでないのかが分かってくるはずだからだ。

燃費の良さ

メモとグラフ

燃費が良いと言っても、そもそも電気自動車はガソリンを必要としないので、ガソリン1リットルに対して何キロ走れるかという従来の燃費性能で比べることはできない。そこで、電気代とガソリン代の対比でEVの燃費を表してみる。

日産リーフの場合、使い方によって差は出るが、1キロ走行するために必要な電気代は0.9円~1.3円くらいである。一方で、日産ノートSの燃費は23.4km/lだから、ガソリン1リットル130円としておよそ5.5円である。

つまり、電気自動車の燃費はガソリン車の5分の1程度ということになる。加えて、充電を深夜に行えば深夜割引でさらにお得に充電できることになる。ガソリン代の9分の1になったという試算もあるくらい、電気自動車の燃費性能は優れているのである。

走行距離

運転中

かつては電気自動車の走行可能な距離を気にする人が多かった。高価な電気自動車であっても、一回の充電で100キロも乗れないのであれば、自動車としての用をなさない、というのだ。しかし、その考え方そのものが変わってきた。

長い不況を受けて、若い世代を中心に車の使い方が変わってきたのである。車は普段使いの足にすぎないから、買い物や通勤、送り迎えに使えれば良い。それならば1日の走行距離は100キロにも満たない。ならば電気自動車で十分ではないかと。

それに、電気自動車自体も技術の発達によりその走行距離を格段に伸ばしてきた。現在、日産リーフはJC08モードで400kmの走行距離を謳っているし、テスラでは1,000kmを超えたと言う。電気自動車の走行距離が気にならなくなるまで、もうすぐである。

環境性能

メモとグラフ

そもそも、電気をエネルギーとしてモーターで駆動する電気自動車は、ガソリンを燃焼させないのでCO2を排出しない。そういった意味で言えば、ガソリンを燃焼させる他の車に対して、CO2ゼロの環境性能を持っていると言える。

厳密に言うと、エネルギーである電力を作り出すためにCO2は発生しているので、全体から見れば電気自動車もCO2を排出していることになる。しかし、ガソリン車が1キロ走行する毎に190gのCO2を出すのに対し、電気自動車は50gと、約4分の1だ。

さらに、電気を作り出すために太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーを使用した場合は、排出するCO2はゼロである。このように、今後の発展によっては限りなく環境性能を高めることができるのが、電気自動車の大きなメリットである。

静粛性

グラフ

内部でガソリンを爆発させて動力を得るガソリンエンジンは、そもそもが騒音の発生源であった。その騒音を低減するために、消音器をつけたり、室内の密閉性を高めたりと、様々な工夫をこらしてきたのである。

しかし、電気モーターを動力とする電気自動車は、騒音とは無縁である。僅かに駆動軸が回転する音が聞こえる程度だ。実際乗車すると良く分かるが、タイヤが地面と擦れて発するロードノイズの方がうるさいくらいである。

近年は住環境の快適さを計る尺度として、騒音も大事な問題とされている。幹線道路に近い地域は自動車の走行音によって暮らしの快適さを脅かされているのだ。車がすべてEVになったとしたら、この様な悩みもなくなるであろう。

車で家電が使える

エンジン

従来のガソリン車のバッテリーは容量が少ない。そのほとんどがエンジンを始動するために蓄えている電力なため、エンジンをかけない状態でライトやオーディオをつけっぱなしにしておくと、あっという間にバッテリーが上がってしまう。

ところが、電気自動車ならばそんなことはない。日産のリーフが搭載しているバッテリーは30kWhという容量であり、これは、1000Wの照明を30時間点灯できる容量である。1000Wとは、工事現場で使う夜を煌々と照らす強力な照明だ。

この特性を利用して、アウトドアや災害時の電源としてEVを利用しようとする考え方もある。V2Hと言って、コンディショナーを介することで、停電時などにEVから家に電気を供給するシステもある。イザという時に頼りになるのがEVなのだ。

走行性能が抜群

スマホをもつ女性と車

電気自動車というと、かつては非力なイメージがあった。ガソリンエンジンが持つパワフルなイメージと裏腹に、モーターには模型に搭載するような非力なイメージがあったのである。しかし、近年の技術革新はそれを覆した。

電気自動車に搭載されているモーターは、時にガソリンエンジンを凌駕するトルクを生む。トルクとは、簡単に言うと重いものを動かす力、加速力に等しい。エンジンは小さな爆発を繰り返してトルクを生むが、モーターは電磁の力で一回の回転のトルクが大きい。

日産リーフのトルクは254Nmであるのに対し、ガソリン車である日産ノートのトルクは142Nmである。およそ1.8倍のトルクを生んでいるのだ。これにより、強大な加速力を生み出す。電気自動車は意外と信号ダッシュにも強いのである。

デザインの自由度が高い

カーショップ

ガソリンエンジンが誕生してから現在まで、基本的な構造は変化していない。つまりエンジンは、大きな塊として車のデザインを決定づけてきた。エンジンを前に置くか、底に置くか、後ろに置くかで、車のデザインはほぼ決定されるのである。

ところが、EVにおいてはそのような制約はない。モーターもインバーターもガソリンエンジンに比べれば遥かに小さいし、一番容積を必要とするバッテリーでさえ、その形には決まったものがない。前後左右上下に分割して配置することも可能である。

だからこそ、インホイールモーターといったデザインの幅を広げるような技術も開発できる。4つのホイールそれぞれにモーターを内蔵して、合わせた動力で駆動するEVだ。これにより、実質車体にエンジンは存在する必要は無くなる。

エコカー減税を受けることができる

契約

エコカー減税とは、政府が環境性能に優れた車を普及させるため、そのような性能が認められた車に対しては自動車税等を減税しようという優遇措置である。自動車税が減税されれば、取得するためのハードルが下がり、購入しやすくなる。

ガソリン車の場合、取得価格の3%を自動車取得税として収めなければならないが、電気自動車の場合は免除、つまり0円である。自動車重量税も、1tのガソリン車の場合で15,000円が必要だが、電気自動車は車体重量に関わらず免除である。

さらに、毎年発生する自動車税も、排気量1.5l以下のガソリン車で34,500円だが、これも電気自動車の場合75%減税される。これらは、2019年の一定時期までと期間がさだめられているので、EVの購入を考えているなら急いだ方がいいのである。

ブレーキパッドの寿命が長い

運転中

ガソリンエンジン車の場合、ブレーキをかける場合は車輪に付随するディスクにブレーキパッドを押し当て、回転エネルギーを摩擦による熱エネルギーに変換して回転を止めるという仕組みを持っている。

一方で、EVの電気モーターは、電力の供給を止めると自らの回転エネルギーを電気エネルギーに変換して回転に制御をかける。これを回生ブレーキと言い、EVはブレーキを掛けるごとに発電も行っているのだ。

つまり、EVはモーターの発電機能がブレーキとなるから、ブレーキパッドへの負担が軽くなる。だから、ブレーキパッドにかかる負荷が軽くなり、寿命が長くなるメリットが生まれる。将来的には、モーター制御だけでブレーキをかけることも検討されている。

オイル交換不要

親指を立てるサラリーマン2

ガソリン車のエンジンは、金属が常にこすれあっている。金属のシリンダー内で、金属のヘッドが上下し、金属のシャフトを回転させている。だから、その摩擦を軽減させるためのエンジンオイルは必須であり、定期的なオイル交換は車の性能を保つためのものだ。

ところが、電気モーターで動く電気自動車の場合、エンジンオイルは存在しない。モーター内部ではエンジンほど金属がこすれ合うことも無いので、エンジンオイルそのものが存在しない。

さらに、ガソリン車は金属の歯車が噛み合うトランスミッションでトルクを調整していて、ここにもオイルが必要である。EVの場合、トルクの調整はモーター自身が行うのでトランスミッションは存在しない。だから、オイルも必要ないのだ。

自治体から補助金が出る

お金の計算

現在、国や自治体などでは電気自動車の普及促進を目的に、EVを購入した個人や事業者を対象に補助金を出す場合がある。ただし、金額や募集件数、募集の期限などはそれぞれの自治体などにより様々であるので確認が必要である。

申請するのが個人の場合、例えば神奈川県横須賀市では50,000円が支給される。ただし、受付の件数は年間50件で先着順であるから、早めに申し込まなくてはならない。さらに、市内で生産もしくは出荷されたEVという条件もある。

さらに、一般社団法人次世代自動車振興センターに申し込めば、なんと最大で40万円の補助金を受け取ることができる。ただし、この場合は3~4年といった定められた期間乗り続けることが義務付けられる。

電気自動車(EV)のデメリット

驚く女性

燃費が良く、CO2を排出せず、それでいてパワーも十分。デザインも自由で、メンテナンスも楽。さらには税金も優遇されるし、補助金も出る。こうなると、世の中は電気自動車であふれるかと思いきや、そうはなっていない。

実は、電気自動車の歴史は意外に古く、実用的な電気自動車は1873年に登場している。1900年ごろには、ガソリン車よりも電気自動車が普及していた。しかし、それがガソリン車の性能向上と共に取って代わられてしまったのである。

つまり、電気自動車にもデメリットがあるのだ。時代が進み、ガソリン車を凌駕する性能を手にいてれも、まだまだ電気自動車は発展途上である。普及に向けては、まだまだ解決しなければいけない問題がいくつかあるのである。

価格が高い

ビジネスマン グラフ

世界中にあふれるガソリン車に対抗するためには、電気自動車には技術革新が必要だった。高性能のモーターを開発し、バッテリーは軽量、大容量となった。つまり、電気自動車には現代の技術の最先端がつまっているのである。

そういう製品だから、当然の如く普及しているガソリン車よりも価格が高い。日産のリーフは、新車価格で3,150,360円もする。ハイブリッド車のプリウスが2,607,120円だから、50万円も高い。

このため、国や自治体は電気自動車を普及させるために補助金や減税を行う必要があったのである。しかし、当然工業製品であるからには普及がすすみ、生産台数が増えれば値段も落ち着いてくるだろう。それも時間の問題である。

充電設備が必要・自宅に専用のコンセントがいる

電気自動車

電気自動車の最大の特徴は、ガソリンを給油するのではなく、バッテリーに充電した電気をエネルギー源とすることである。そのため、乗った後は充電が必要であり、そのための専用の設備も必要となってくる。

当然、充電は車を使用しない夜間等に行われるが、そのための専用のコンセントが必要である。夜間に悪戯や盗電されないために、ロック機構つきのプラグを使う必要があるし、家庭用コンセントでは給電が不十分だからだ。

従ってその設備を自宅に設置するために専用コンセントを購入して、工事をしなければならない。工事費用を含めて数万円の出費となる。貸駐車場では、この専用コンセントの設置工事ができないので、電気自動車を導入できない。

地方や田舎などではインフラ(充電設備)が整備されていない

パソコンを前に落ち込む男性

自宅に充電設備を設置したとしても、それだけでは不十分である。長距離をドライブする場合には、出先で充電しなくてはならない場面が必ず訪れるからだ。その為には、急速充電器を設置している施設が無くてはならない。

今まで、この急速充電器のインフラの不備が、電気自動車普及のネックであった。しかし、最近ではガソリンスタンドや、自動車ディーラーの駐車場、商業施設や公共施設の駐車場にEV用の充電器の設置が見られるようになった。

だが、これはあくまでも大都会の状況であって、さすがに大都市から離れた地方や、田舎では簡単に充電設備を見つけることはできない。全国的にインフラ整備が進まなくては、EVで日本中どこでもいける、という状況にはならないのだ。

航続距離が短い

落ち込む男性

ガソリン車は一度の給油でおよそ500km走行できる。それに対して電気自動車は、数年前まで一回の充電でその半分以下だった。最新のリーフで、JC08モードで400kmを達成したとあるが、まだまだ足りない。

電気自動車は、電気によってモーターを動かしているが、この電気は車の他の装備を動かすためにも使われる。エアコンやヘッドライトを動かすのも電気だし、坂道などではさらに多くの電力が消費される。すると航続距離はさらに短くなる。

しかし、エレクトロニクスの分野は日進月歩だ。リチウムイオン電池の性能は、数年後には2倍になるとも言われ、さらにモーターのエネルギー効率の向上も研究されている。EVがガソリン車以上の航続距離を身につける日も近いことだろう。

バッテリーの交換費用&修理代が高い

電卓と価格決算

バッテリーは消耗品である。放電と充電を繰り返していると、どんどん蓄電できる量が減ってきてしまい、やがては交換が必要となってくる。現在、日産リーフのバッテリーを交換しようとすると、およそ60万円かかると言われている。

リーフなどに使われているリチウムイオン電池は特に高価である。原料のリチウムはレアメタル(希少金属)と呼ばれ、高値で取引されているからだ。電気自動車の本体価格の殆どは、このリチウムイオン電池の値段だと言われている。

しかし、このバッテリーも技術が進めば安価に製造されるようになるだろう。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構によると、2020年にはバッテリー価格が20kWhで40 万円となっている。そうなれば、EVはさらに普及するだろう。

点検・整備に専門知識がいる

車を修理している人

ガソリン車と電気自動車とは、基本的な構造からして内部は全く違う。ガソリンの爆発によりピストンを動かすエンジンと、バッテリーから給電してモーターを動かすEVとでは、専門知識に機械工学と電気工学ほどの差がある。

当然、従来のエンジンを整備してきた町工場にとっては電気自動車は自分たちの領域とは思えないであろう。掃除機や洗濯機を整備してくれと言われているようなものだからだ。整備を拒否する町工場もあると聞く。

しかし、これからはそうもう言っていられない時代が来るのである。町工場も、EVの整備くらいできなくては商売にならない。専門知識を学んで、EVに対応できる整備士が、未来の自動車業界では生き残っていくのである。

静粛性が高い分事故が起こる可能性も…

女性が男性を殴る

電気自動車に乗ったことがある方ならば、まずはその静寂性に驚いたことだろう。EVの走行中の音と言えば、モーターが発するわずかな回転音と、車体が風を切る音と、タイヤが道路と擦れる音くらいである。

しかし一方で、この静寂性により歩行者との間に事故が起こりかねないというデメリットが生じた。歩行者の後方から近づく場合、ガソリン車ならばエンジンの騒音で歩行者が気づき避けることもあるが、EVの場合、歩行者がその接近に気づかない。

そこで、国土交通省はこの事態への対策を行うために、何度か審議を重ねてきた。歩行者に接近を知らせる警告音などの装備が提案され、現状市販されている車の中にも、そういった装備を備えて対策しているものもあるのだ。

電池の安全性

修理中

近年、ボーイング787の発火事故や、スマートフォンやタブレットのバッテリーの発火事故などにより、リチウムイオンバッテリーの安全性が問われるようになってきた。ある機種のスマホなどは機内持ち込みが禁止になるほどだ。

電気自動車にも搭載されるリチウムイオンバッテリーは少ない容積の中に大量の電気エネルギーを蓄えるため、電圧過多や、衝撃などが加わると発火したり、爆発したりといったことが起こり得る。

電気自動車のリチウムイオンバッテリーはスマホなどには比べ物にならないほど大容量・高出力であり、常に衝撃にさらされる環境におかれている。制御技術をさらに向上させて、絶対に事故を防ぐことがメーカーの使命である。

電気自動車(EV)の国産代表車種を紹介

ポイント

1873年に初めて実用的な電気自動車が登場してい以来、長く衰退の道を歩んできた電気自動車であるが、21世紀に入ってからようやく隆盛の兆しを見せ始めている。特に、我が国では様々なメーカーがEVを開発発売している。

時代のニーズに合わせて登場した国産EV。ここでは、そんな国産EV車の代表車種を紹介しよう。

日産

リーフ
(画像出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/日産・リーフ)

リーフ

価格 3,150,360円~
エコカー減税 101,200円
補助金 400,000円
航続距離 400km
燃費性能 120Wh/km

電気自動車に力を入れる日産において、唯一の純粋な電気自動車がリーフであり、さらに国産で普通自動車型の電気自動車となるとこのリーフが現在唯一の選択となる。2010年から販売を開始して、2017年にフルモデルチェンジをした。

現在、日本とアメリカ合衆国、欧州、中国で販売されている。5ドアハッチバック型で、ガソリンエンジン車との違いは給油口が無いことぐらいである。充電のためのソケットはフロント部に設けられている。

リーフは2017年のモデルチェンジにより、航続距離400kmを達成し、さらにプロパイロットやプロパイロットパーキング、e-Pedalなどの先進技術を投入した、まさに日産の技術の粋を集めた一台となった。

e-PedalはEVの回生ブレーキ特性を活かしたもので、アクセルペダルだけで加減速とブレーキングをコントロールしようというものだ。

まさに、リーフは今後日本の自動車においてスタンダードになるであろう技術を詰め込んだ、一足先に未来へ行ってしまったような車である。環境性能や経済性能、そして国産自動車の最先端技術を第一に考える人ならば、ぜひ体感すべき車である。

三菱

iMiEV

i-MiEV
(画像出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/三菱・i-MiEV)
価格 2,273,400円~
エコカー減税 51,200円
補助金 120,000円 (グレードM)
航続距離 120km (グレードM)
燃費性能 110Wh/km (グレードM)

2009年に三菱自動車が販売を開始した電気自動車がiMiEVである。ガソリンエンジンの軽自動車であるiの車体に電気自動車のシステムを組み込んだ、5ドアハッチバックの小型EVであり、120kmの航続距離で普段使いにちょうどいいと人気になった。

永久磁石式の交流同期モーターや、リチウムイオン二次バッテリー、そして回生ブレーキなど、現在の電気自動車に使われている技術を搭載して、三菱が他社にさきがけて量産化に成功した、まさに現代日本のEVの先駆けとなった一台である。

iMiEVは当初インホイールモーターの採用を目指していたが、コストの関係で見送られた。

電気自動車普及のネックになっているものの1つに街なかの充電インフラの整備の問題が挙げられるが、三菱自動車はもう一方のEVの雄である日産自動車と協力関係を結び、互いのディーラーで他社車両へ充電サービスを行い、EVの普及に努めている。

しかし、iMiEVはEVの先駆けとしての役割は終わったとして、2018年内での生産停止が発表されている。三菱は、iMiEVにかわる次世代の電気自動車を開発、投入し、電気自動車の歴史に新たな1ページを刻もうとしているのだ。

MINICAB-MiEV

miev
(画像出典:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/minicab-miev/)
価格 1,769,040円~
エコカー減税 40,800円
補助金 100,000円 (CD10.5kwhグレード)
航続距離 100km (CD10.5kwhグレード)
燃費性能 125Wh/km (CD10.5kwhグレード)

ミニキャブは、1966年から発売された三菱の商用軽トラックである。その後、バンタイプが追加されたが、MINICAB-MiEVは、バンタイプのミニキャブの車体にiMiEVの技術を搭載した、商用の軽電気自動車である。

2010年から、プロトタイプをヤマト運輸の配送車として使用していたため、目撃した人も多い。その後、CD10.5kWhとCD16.0kWhの2グレードで一般販売を開始した。10.5kWhで100km、16.0kWhは150kmの航続距離とされている。

2014年にはトラックタイプも追加されたが、2017年に販売不振を理由にトラックタイプの販売は終了した。さらに、2016年8月に三菱自動車の燃費偽装が発覚し、一時期製造及び販売が停止されていたが、9月には走行性能値を一部修正して販売を再開した。

ガソリン車のミニキャブは2014年に販売終了しており、三菱が自社生産する商用車は、現在のところこのMINICAB-MiEVのみとなった。経済性が高く、比較的価格も低めに設定されているため、事業者には好評となっている一台である。

トヨタ&グループ会社

eQ

eq
(画像出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/ev/)
価格 3,600,000円
エコカー減税 無し (新車販売が無いため)
補助金 無し (新車販売が無いため)
航続距離 100km
燃費性能 104Wh/km

世界的な自動車メーカーであり、プリウスを始めとしたハイブリッド車でエコカーの先陣を切ったはずのトヨタであるが、意外にも電気自動車の分野では他社から大きく出遅れている。

当初は2012年にEVを導入するとしていたが、普及は難しいとして見送り、その替わりに限定的に製造販売したのがeQだ。

eQは、2008年から2016年までトヨタが製造していたコンパクトカーiQの電気自動車版である。2012年12月に、事業者や地方自治体向けに3,600,000円で、100台限定で販売した。トヨタはカーシェアリングなどでの利用を想定していたと言う。

パワートレインは、アクアやプリウスPHVの技術を流用し、航続距離は100kmとなった。燃費は104kWh/kmとされ、同時期にリース販売されていたホンダのフィットEVの106Wh/kmを下回り、当時の世界最高の燃費性能とされていた。

eQは、トヨタが決して電動自動車に対して遅れているわけではないことを示したが、その後継となるEVはトヨタから生まれてはいない。

しかし、トヨタは他社と共にインフラを含めた協力体制を築き、電気自動車の開発は続けていくと表明している。トヨタのEVが街にあふれるのはそう遠い未来ではない。

超小型EVコムス

coms
(画像出典:http://coms.toyotabody.jp/)
価格 687,085円~
エコカー減税 無し
補助金 70,000円
航続距離 68km
燃費性能 90Wh/km

コムスは、トヨタ車体が製造販売する、一人乗りの4輪小型電動コミューターである。厳密に言うとコムスは電気自動車ではない。税制上は原付きバイクと同じ分類であるため所得税や重量税はかからない。従ってエコカー減税も適用されない。

道路交通法上はミニカーに分類されるため、運転には普通免許が必要だ。しかし、車庫証明や車検の必要はない。最高速度は時速60kmであり、走行距離は68kmである。そして、満充電までの電気代は156円とされている。

さらに、車体価格は668,000円からと安く、補助金も出るので60万円を切る価格で導入できる。この様に性能は限定されるが非常に経済性にすぐれるとして、少荷物の運搬に最適として、事業用としての導入が進んでいる。

コムスは、コンビニのセブンイレブンが「らくらくお届け便」の配送車として採用したことは大きなニュースとなった。

2012年にコムスが製造販売開始されて以来、同じコンセプトのEVが続々と開発されている。CQモーターズのQ-CARや、日産とルノーが実証実験を進めているTWIZYなどがそれである。

まだ一般に手に入る超小型EVはコムスのみであるが、いずれは街にこういった軽快なEVがあふれるようになるであろう。

日産のリコール問題で「リーフ」も対象車に入る

リーフ
(画像出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/日産・リーフ)

2017年、自動車業界に激震が起こった。電気自動車の雄である日産自動車で、資格の無い従業員が自動車の完成検査をしていたことが発覚したのである。この不正行為は、全国の工場で行われていた。

この問題を受け、日産自動車は2017年10月に、販売済みの121万台をリコールして再検査することを発表した。

リコール対象となったのは2014年10月から2017年9月に製造された24車種である。この中には当然、電気自動車リーフも含まれる。

日産自動車はこの月の2日に新型のリーフを発売開始していた。新型リーフは400kmの航続距離を実現し、スタイリングも一新。さらに、モーターの性能アップ、e-Pedalの搭載と、日産の未来を示す車であった。

そんな新型リーフ発表の矢先、今回のリコール問題である。日産は、登録前の車両には再検査を施して、再度登録するという措置をとった。この中に新型リーフも含まれていたのである。華々しい門出に水を差す形となったのは残念である。

しかし、これによって日産自動車の膿は出されたと考えてもいいだろう。これからの電気自動車の発展において、日産が担うべき役割は非常に大きい。これを機にもう一度引き締めなおして、EVの普及に全力を投入してもらいたい。

電気自動車(EV)の外車代表車種を紹介

BMW i3
スマート スマート・フォーツー・エレクトリックドライブ
VW e-up!
テスラ モデルS
ルノー ゾエ

まとめ

テスラ

近年、環境問題が重要視されるなか、CO2を排出しないクリーンエネルギーの自動車として注目されているのが電気自動車(EV)である。バッテリーで蓄えた電気をインバーターでACモーターに流し、大きなパワーを生む自動車だ。

CO2を排出せず、燃費がいいという環境性能もさることながら、ブレーキ時に発電する、緊急用の大容量バッテリーとして使えるなどのメリットがある。国や自治体から補助金が出て、減税されるのも大きなメリットだ。

電気自動車は今後に期待できる

一方で、車体価格が高額になりがち、バッテリーの交換や整備などに高額な費用がかかる、さらには航続距離がガソリン車に比べて短いなどのデメリットもある。静かすぎて事故の危険があるとも指摘されている。

しかし、時代のニーズに合わせて充電設備などのインフラの整備が進んできた。それを受けて、各社電気自動車に力を入れ始めた。日産のリーフを始め、三菱のiMiEVなど、さまざまな電気自動車が注目されている。トヨタもEV市場への参入を表明している。

ところが、電気自動車の雄である日産自動車が、2017年に起こしたリコール問題で、電気自動車の勢いに一旦影を落としてしまった。それでも、時代のニーズはEVに傾きつつある。今後さらなる普及が見込まれる。