自動車が取引されている業者向けのオークションを「オートオークション」と言う。中古車市場が大きく盛り上がった昭和末期ごろから徐々に規模が広がり、オートオークションをメインとする業者も複数存在するほどだ。
一般的なオークションとは異なるため、個人利用に関しては期待しない方が良いだろう。今から、どのような仕組みやメリット・デメリットがあるかについて見ていこう。
オートオークションはどんな仕組みなのか?
中古車が出品されているオートオークションだが、以下のような仕組みで行われている。
① | 買取店が買い取りサービスで中古車を入手 |
② | 買い取った車をオートオークションへ出品するための手続き。車両がチェックされる |
③ | オークションが開催。業者によって入札される |
④ | 落札後に仕入れが確約、支払いが行われる |
オートオークションごとに細かな差があるが、だいたい上記した仕組みで行われる。
オークションで落札した業者の純粋な仕入れ値、つまり原価は以下のものを合計した金額となる。
- 入札金額
- 手数料
- 陸送費用
仕入れのためにもコストがかかるため、欲しいものを安く購入できる場とは言い難い。
個人(一般人)が参加することはできない「代行業者に依頼する」
オートオークションは業者向けのものであるため、個人(一般人)が参加することはできない。また、業者が参加資格を得るためには、以下の内容の審査にクリアする必要がある。
- 加入店の設立状況と業績
- 展示場の有無と販売台数
- 日本中古自動車販売協会連合会の加入状況
- 他オークションでの加入状況
どうしても参加したい個人は、代行業者に依頼することをおすすめする。買取店や業者の中にはブローカーが存在し、入札を代行してくれる。
代表的なオートオークション会場一覧
オートオークションには複数の会場が存在し、全国におよそ140箇所あると言われている。今回はその中でも有名なUSSとJAAを紹介するので、欲しい中古車がある人は代行業者を介して利用してみるのもいいだろう。
USS
中古車オークションの中でも多くのシェア率を誇ると言われているUSSだが、特徴をまとめると以下の通りだ。
特徴① | 出品台数は毎週平均でおよそ5万台 |
特徴② | 年間でおよそ239万台を出品している |
特徴③ | 会員総数はおよそ46,850社 |
上記した通り規模や実績から、日本を代表するオートオークション会社と言える。ボタンを押すと5,000円単位で加算され、入札開始後に大型スクリーンに中古車の数字が1つずつ表示されるというシステムが採用されている。
JAA
日本で初の常設型のオークション会場として、1971年に創業されたのがJAA。JAAの特徴をまとめると、以下の通りだ。
- USSと並びオークション会場が大規模である
- オートオークションは毎週水曜日に開催される
- 所在地は東京都江戸川区
開催日には出品店だけではなく、中古車を求めている応札店も多数参加する。JAAでは順番に従い競りが進められ、成約されたものは買い手である応札店が搬出することになる。
代表的なオートオークション業者
オートオークション会場だけではなく、専門の業者も多数存在する。今回は数ある業者の中から代表的な4つを紹介するので、利用したいと考えている人は代行業者に依頼して開催されているオートオークションを利用するといいだろう。
株式会社ベイオーク
最初に紹介する株式会社ベイオークには、以下のような特徴がある。
特徴① | 西日本の中でトップクラスの規模を誇る |
特徴② | 手入札形式のオークションを昭和53年から行っている |
特徴③ | 完全映像4レーン化によりリアルタイムに対応している |
特徴④ | 入札金額を2段階で設定できる |
特徴⑤ | 気に入った中古車があれば登録することができる |
特徴⑥ | 自動車税照会機能が利用できる |
規模の大きさや機能性の良さから、初めてオートオークションを利用する人にもおすすめできる業者だ。
株式会社ユー・エス・エス
2つ目に紹介する株式会社ユー・エス・エスには、以下のような特徴がある。
特徴① | 32.3パーセントのシェアを誇りオートオークション業界の中でトップクラスである |
特徴② | 全国に19箇所の会場が存在する |
特徴③ | 巨大スクリーンや快適シートの座席など設備面も充実している |
特徴④ | 衛星システムを利用したオークションが開催されている |
サービスの範囲を全国に広げている株式会社ユー・エス・エスは、大規模なオートオークションの草分け的存在と言える。
株式会社オークネット
3つ目に紹介する株式会社オークネットには、以下のような特徴がある。
特徴① | 世界で初めて中古車のTVオークションを開催した |
特徴② | 中古車以外の商品のオークションも充実している |
特徴③ | 加入することで自動車の故障修理代が0円となる中古車保証がある |
特徴④ | モバイル端末を利用して下取りや買取の簡単な査定をしてもらえるサービスがある |
オートオークションは基本的に中古車の取り扱いがメインとなるが、株式会社オークネットはそれ以外のアクセサリーが欲しい場合に向いている。
アライオートオークション
最後に紹介するアライオートオークションには、以下のような特徴がある。
特徴① | 運営会社は大正9年に創業された |
特徴② | 中古車の他にバイクや大型トラックなども取り扱われている |
特徴③ | ナンバー外しや出品票代筆などの出品店向けサービスが充実している |
特徴④ | フォークリフトのレンタルや商談などの落札店向けサービスも充実している |
出品店と落札店に向けられたサービスが複数存在するため、利便性が高いと言える。サービスの充実さで選ぶ場合、アライオートオークションをおすすめする。
オートオークションの参加資格と入会条件
参加条件と入会条件をまとめると、以下の通りだ。
- 業者向けに開催されているため中古車を取り扱う業者であること
- 十分な販売実績があること
- 古物商の資格を持っていること
- 古物取引実績が1年以上あること
オートオークション業者ごとに異なる場合もあるが、上記したものは最低条件と言える。業者の中にもレベル差があるため、十分な実績がない業者まで自由に参加できるようになると全体のレベルが下がってしまうだろう。
そのため厳格な条件を定めている業者もあるため、事前にチェックしておく必要がある。
オートオークション当日の流れ(USS)
USSの例に挙げて、オートオークション当日はどのように流れるかチェックしてみよう。
① | 会場でエントリーを行う |
② | 会場内の情報端末を利用してデータベースにアクセスする |
③ | 目当ての中古車があるかをチェックする |
④ | 保管された出品中古車の下見を行う |
⑤ | 4台から10台の競りが同時進行する |
⑥ | 出品中古車のスタート価格や落札希望価格の調整が行われる |
当日はこのような流れに従い、業者による競りが行われる。個人(一般人)が代行業者を利用して参加する場合も同様であり、希望する中古車の落札に成功すれば出品された中古車は出庫手続きが進み落札者の元へ届けられる。
会場には多数の業者が集まるため、スピードや判断力が求められるだろう。
オークション代行を利用して参加するメリット・デメリット
代行業者によるオークション代行には、以下のようなメリットとデメリットがある。
- 安全性が高い
- 走行距離に不正がない
- 事故歴や修理歴が明確である
- 何かトラブルがあっても自己責任となる
- 自分の都合でキャンセルができない
- 安く購入できない場合もある
オートオークションで出品される中古車は、一般的なオークションのそれとは異なる。厳しい査定をクリアしたものが出品されているため不正などの可能性も低く、事故歴や修理歴などの情報もチェックできる。
ただしすべての手続きが完了するまで実車を直接チェックできないため、イメージとのギャップがあるかもしれない。自己責任でも問題ないという場合のみ、オークション代行を利用しよう。
オークション代行で金銭トラブルが起こるケースあり
金銭トラブルには注意が必要で、オークション代行の中でも最大の問題点と言えるかもしれない。起こり得るケースとしては、以下のようなものがある。
- 代行業者に提示した予算とは異なる金額で落札されてしまう
- 手数料の支払い後に逃げられてしまう
提示した予算よりも高額な金額で落札されてしまっては、安心してオークション代行を利用できないだろう。
中古車オークションを利用した方の口コミ・評判
中古車選びをする時、無謀にも業者オークションにも手を出したいと思ってしまう。
— 本気な車好き共感BOT (@seisyundaisuki) 2019年3月30日
2月12日に 車屋さんに頼んでいたのです。
やっとオークションに出た!
そしてGet(((o(*゚▽゚*)o)))❣️ pic.twitter.com/liPIw4Cf8k— Flora-* (@fluorite_74) 2019年3月28日
今日はオークション会場!
なんかいい車ないかな😃? pic.twitter.com/9bAALjk9ZM— ノーズライディング (@daaaa3333) 2019年3月26日
オートオークションを経験したという口コミはあまり見当たらない。実際にどのようなものか詳しく知りたい方は、直接業者に問い合わせてみることをおすすめする。
まとめ
オートオークションは中古車を取り扱う業者のためにあり、優良なところは全体的にレベルが高いと言える。業者であっても参加できない可能性もあるため、珍しい中古車が手に入るチャンスがあるかもしれない。
個人(一般人)が利用する場合は代行業者に依頼する必要があるが、デメリットがあることも忘れていてはいけない。実際にオークション代行のトラブルが発生しているため、信頼できるところを探して利用することが重要だ。
ただし業者向けのオートオークションのために様々な企業が関わることは、決して悪くはない。お金や時間の無駄をなくして効率良く仕入れができる場は必要であり、実際に中古車の流通のために貢献している。