中古車を購入する際には、車のメンテナンスの頻度や車の状態を知るために定期点検整備記録簿のチェックが必要だ。
定期点検整備記録簿があれば、ある程度その車の状態がわかるため、それが中古車を選ぶ一つのポイントになるだろう。だが中には定期点検整備記録簿のない中古車もある。
記録簿がないからといって購入してはダメとは言わないがリスクは把握しておく必要がある。ここでは定期点検整備記録簿がない中古車を購入することで考えられる3つのリスクを紹介しよう。
中古車の整備記録簿とは?正式名称は『定期点検整備記録簿』
中古車を購入する際には、車の車種や年式、走行距離、その他外装や内装などの他に、車の状態もチェックする必要がある。むしろ、これから安全に故障なく長く乗り続けるためには、車の状態こそ重要なポイントだ。
とはいえ、一般人がしかもエンジン音や見た目だけで車の状態が見極められるわけではない。しかも、購入してしばらくしてからの故障もプロでさえ見抜けるわけではないだろう。そこで重要になるのが整備記録簿だ。
車の状況を記録したカルテのようなものだと思っていいだろう。これを見ればどのような修理やメンテナンスをしたのかが一目瞭然で、その中古車の状態を見極める参考になるのだ。
定期点検整備記録簿の購入は整備振興会で入手可能
車に興味がある方、もしくは中古車を購入した際に定期点検整備記録簿を見たことがあるのであれば、どのようなことが記載されているかわかるだろう。もちろん今車に乗っている人なら、おそらく車検証とともにあるので確認してみるといい。
もしどのようなものかわからない場合は、整備振興会で購入することも可能だ。またインターネットからダウンロードもできるため、容易に入手できる。
そのため作成自体は誰にでも出来てしまうのだ。ただ、どこで整備したのかはわからなくないため、それだけでは何の目安にもならない。
中古車の整備記録簿から読み取れる”5つの情報”
中古車を購入する際にチェックが必要な整備記録簿だが、それを確認することで主に以下の5つの情報を読み取ることはできる。
- どんな工場で整備をおこなったか
- 前の所有者は車を大切に乗っていたのか
- 修理歴に残らない修理をしたのか
- 車の今の状態の目安
- そもそも整備をしているのか
整備記録簿自体はどこの整備工場で点検を受けても入手可能だ。だが、分解整備・点検ができるのは指定工場か認証工場に限られている。
そのため、しっかりと分解整備・点検をされたかどうかは、どこの工場で整備を受けたかを見ればわかるのだ。
また、前の所有者が定期的にメンテナンスを行うような人なら、車を大切にしていたこともわかるだろうし、その整備・点検の履歴である程度車の状態も読み取れるのだ。
中古車購入時に記録簿で必ずチェックすべき『2つのポイント』はコレ
中古車購入時に整備記録簿をチェックするといっても、素人にはよくわからない部分もある。だが、最低限以下の2つのポイントだけはチェックしておきたい。
- 指定工場・認定工場で点検・整備を行っているか
- どこの部品を交換しているか
まず、指定工場・認定工場で点検・整備を行っていることがわかれば、分解して点検・整備したことがわかる。
そもそも信頼できる工場しか指定・認定されないため、それだけでも安心だろう。もちろん一般工場がダメというわけではないが、リスクはある。
また、記録簿をみるとどこの部品を交換しているのかもわかる。年式によっては経年劣化して交換する場合もあるが、年式の割には交換が早いとなれば、事故などのリスクも考えられるのだ。
整備記録簿がない中古車の購入は『3つのリスク』が存在する
中古車購入の際、整備記録簿がない中古車も存在する。ないから危険というわけではないが、以下の3つのリスクがあることだけは知っておこう。
【リスク1】事故歴・修理歴を記録簿から隠している
整備記録簿には修理・交換した履歴も当然載っている。それをみれば、事故歴があるのか修復歴があるのか判断も可能だ。事故車扱いにならなくても、事故を起こして修理したということは、どこの部品を交換したかで分かる場合もある。
事故車はもちろんだが、事故をして修理・交換した車は買い手が付きにくくなることがある。そのため安く売らざるを得なくなる場合もあるのだ。
事故歴・修復歴については記録簿があるとバレてしまう可能性が高いわけだから、所有者もしくは中古車販売店が意図的に隠していることもある。
もちろん、整備記録簿がないことも中古車を売る際にはマイナスではあるのだが、事故歴・修復歴があることが知られるよりはマシという考えもある。
【リスク2】中古車の調子が悪いが原因がわからない
整備記録簿がないということは、いつオイル交換をしたのか、どれくらいの頻度で点検に出していたのかがわからない。車はしっかりとメンテナンスを行っていれば、各部品の劣化も少なく、長く安全に乗れるものだ。
逆にメンテナンスをほとんどしなければ、故障のリスクは高くなる。また中古車の調子が悪いという場合も、その整備・メンテナンスの箇所や時期を見ることでも原因がわかってくるだろう。
整備記録がなければ、中古車の状態はほとんどわからないことになる。
【リスク3】メーター戻しが行われている可能性
中古車は車種や年式によって価値が大きく変わるが、消耗度・劣化状態を見極める一つのポイントとなるのが走行距離である。今の車は性能が良くなっていることもあり、数十万km走っていても問題のない車も少なくない。
それでも年式に対して走行距離が多すぎる車は敬遠されがちで、中古車販売店でも安く売らざるを得なくなる。今は少なくはなったとはいえ、少しでも車を高く売るためにメーター戻しを行う可能性もゼロではない。
メーターがデジタルになっている車なら難しいが、機械式になっている車だとそれほど難しいものではないのだ。
定期点検整備記録簿がない場合に考えられる『3つのパターン』
中古車を購入する際に、気になった中古車に定期点検整備記録簿がない場合もあります。そんな時には以下のような3つのパターンが考えられる。
1.使用者が紛失
定期点検整備記録簿はたいてい車検証などと一緒に車検証入れなどに保管されているものだ。だが、書類が多くなってくると、不要なものだとして破棄してしまったり、車検証を出した時などに紛失してしまうケースもある。
稀ではあるが、中古車を少しでも高く売るために、事故歴・修復歴を隠すために意図的に定期点検整備記録簿を失くしたことにする人もいる。
ただ、しっかりメンテナンスをしている人は、それを証明したいものだから紛失するということはあまり考えられない。
2.販売店が破棄
定期点検整備記録簿がない場合に考えられるパターンとしては、販売店が破棄してしまっているケースだ。前使用者が紛失してしまう、誤って破棄してしまうということはあるが、販売店が失くすもしくは誤って破棄することは考えられない。
あるとすれば故意による破棄だ。定期点検整備記録簿を故意に破棄するのは、まさに事故歴や修復歴を隠して中古車を少しでも高く売るためと考えられる。
最近は少なくなってきたとはいえ、絶対にないとは言い切れない。
3.国から認証を受けた工場で点検していない
定期点検整備記録簿がない場合に考えられる一般的なケースとしては、国から認証を受けた工場で点検していないことだ。
指定工場もしくは認定工場と呼ばれる国から認定を受けた工場なら、整備後は必ず定期点検整備記録を発行してくれる。たいていはそれが車検証とともに車のダッシュボードなどに保管してあるものだ。
認証を受けていない一般整備工場だと分解整備ができないため記録簿を発行できない。そのために元々定期点検整備記録簿がないからなのだ。
記録簿(メンテナンスノート)がない中古車の購入には注意が必要
気になった中古車が定期点検整備記録簿、メンテナンスノートがないからといって、整備不良の車、事故歴・修復歴を隠した中古車とは言い切れない。しっかりとメンテナンスをしているが、たまたま紛失してしまったことも考えられるからだ。
ただ、メンテナンスをしている可能性もあるが、していない可能性もあるのだから注意しなければいけないのには違いない。
もちろん、車検が残っていない車であれば、乗る前に車検を受ければいいのだが、そこで費用が高くなってしまう恐れもある。
もし、状態の良い中古車を購入したいのであれば、定期点検整備記録簿がない中古車は避けるのも一つの方法だ。もしくは、しっかりと車の状態を伝えてくれる中古車販売店などに相談してみるのもいいだろう。
記録簿がある中古車の購入でも油断は禁物
中古車を購入する際には定期点検整備記録簿の有無は大事なチェックポイントだ。だが定期点検整備記録簿があるから購入しても大丈夫とも言い切れない部分もある。定期点検整備記録簿は、あればいいというものではない。
あくまで整備・点検の状態をチェックするものであり、年式や走行距離の割には部品交換のタイミングが早いなどがあれば、事故車にはならないものの事故を起こした可能性もあるのだ。
そのため、わからない人は車に詳しい人に定期点検整備記録簿を見てもらうといいだろう。
まとめ
このように、中古車を購入する際には定期点検整備記録簿をチェックするのが重要なポイントだ。むしろ年式や走行距離、ましてや車種などよりも車の状態は中古車を購入する際には重要なポイントになってくるからだ。
もし中古車の購入を考えているなら、定期点検整備記録簿の有無はもちろんだが、その内容をよく知ってチェックすることが大切だ。
もちろんそれでも購入してから不備が出てくることはあるが、チェックしないで購入したらそのリスクはもっと高いだろう。