中古車を探していると未使用車という言葉を目にすることがあるはずだ。未使用車は使用していない車ということだから新車と同じなのではと思う人もいるだろう。また新古車とはどう違うのか不安に思う人もいるはずだ。
ここでは車を購入する場合のポイントとなる未使用車について解説している。未使用車にはたくさんのメリットがあるが少なからずデメリットもあるものだ。
車は数百万円もする人生においても大きな買い物なのだから、その点もしっかりチェックした上で慎重に進めてほしいところだ。
未使用車とは?新古車との違いについても
公道を走行するためには、基本的に陸運局に車両登録が必要だ。逆に言えば今公道を走行している車はすべて登録済車ということになる。一方で未使用車とは、正式には登録済未使用車もしくは届出済未使用車のことである。
つまり未使用車とはすでに車両登録が済んでナンバーも取り付けられており公道を走れる状態ではあるが、一般のお客様の手には渡っておらず、ほとんど走行していないほぼ新車の状態の車のことだ。
では未使用車と新古車では何か違うのだろうかと思う人もいるだろう。だが基本的に未使用車と新古車は同じと考えていい。
新古車という呼ばれ方は少し前までよく使われていたのだが、新車と勘違いされやすいため今は未使用車という呼び方が主流となっているのだ。
未使用車はなぜできる?流通する仕組み
未使用車というと、よくディーラーにある試乗車や展示車のことと思う人も少なくないはずだ。もちろんこれらも未使用車の1つであるが、実際に流通している未使用車はこれよりも数が多く出回っており、それ以外の未使用車もある。
多くの未使用車は、実はディーラーが登録台数のノルマを達成するためだけに自社で購入して登録した車なのだ。それを未使用車として安く一般のお客様に販売する、もしくは中古車販売店に流通させているのである。
未使用車はほぼ新車であり、それでいて安く購入できるため非常に人気だ。そのためディーラーでも未使用車を仕入れた中古車販売店でも、利益が多くなくても赤字になることなく確実に売れるため多くの未使用車が出回っているという仕組みだ。
未使用車は基本的に流通台数が少ない
お得な未使用車は非常に人気だが、実際に未使用車を購入した人は周りを見渡してもそれほど多くないのではないだろうか。それは未使用車が大きなデメリットがあるから敬遠されるというわけではなく、基本的に流通台数が少ないからなのだ。
ディーラーは本来、未使用車ではなく新車を売るのが目的であるため、ノルマ以上の未使用車を流通させてしまうと新車が売れなくなり利益が得られなくなってしまう。
そのため、あくまで流通させる未使用車はノルマを達成できるまでの台数であり、必然的に数は限られてしまうのだ。流通台数についてはあくまで目安だが、年間の流通台数は以下の通りである。
- 軽自動車…1万台
- コンパクトカー…8,000台
- ハイブリッド車…3,000台
- SUV車…1,500台
- ミニバン…1,000台
未使用車を購入する『4つのメリット』
未使用車は新車と違ってあまり知られていないメリットもいろいろあるものだ。主なものとして以下の4つのメリットがある。
【メリット1】新車よりも納車が早い
新車を購入した場合、契約してからメーカーオプションなどに合わせてそこから製造となる。そのため納車までに1ヶ月から3ヶ月程度、人気車種となるとさらに製造までに時間がかかってくるため、半年以上となることもあるのだ。
一方、未使用車はすでに製造され新車登録もされており、現物はすでに出来上がっている状態であとは納車をするだけである。そのため契約や手続き、車両の運搬にトラブルがなければ1週間以内、遅くとも2週間から3週間あれば納車が完了するのだ。
これまで乗っていた車の車検が切れてしまう、もう手放してしまったなどですぐに車が欲しいという方には特におすすめである。車を購入したらやはりすぐにでも乗りたくなるのが心情なのだから、そういう意味でも大きなメリットでもあるはずだ。
【メリット2】新車と比べて価格が安い
未使用車を購入する上での最大のメリットでもあり、購入する理由の一番が新車に比べて価格が安いという点だ。本来は誰でも中古車よりも新車に乗りたいものだが、新車は車両価格がどうしても高くなるため断念する人が多いだろう。
かといって中古車はいくら状態が良くても、中古車は中古車である。未使用車は状態はほぼ新車と変わらないのに、格安で購入できるのが大きなメリットだ。その差としては車種にもよるが、新車本体価格の約1割程度安くなるのである。
そのため新車に乗りたいが、新車を購入するほどの予算がないという人にとっても大きなメリットだ。また1割ほど抑えられた予算をオプションパーツに回すということもできるため、車を充実させたいという人にもおすすめだ。
【メリット3】新車保証があるため安心
未使用車は新車同然の車ではあるが、一般の方が購入した場合には形式上は中古車という扱いになってしまうのだ。中古車となると基本的に新車購入時のメーカー保証がつかないのである。
だが、未使用車の場合は販売店でメーカー保証と同等の保証を付けている事が多く、安心して乗ることができるのだ。またメーカー保証を受けたいという人は全国のディーラーで保証継承という手続きをすれば、メーカー保証を継続することも可能だ。
ちなみにメーカーの新車保証の内容については2つあり以下の通りである。
- 一般保証…3年間、消耗部品以外のほとんどを保証。走行距離6万kmまで
- 特別保証…5年間、エンジンやステアリング、エアバッグなど安全走行に重要な部品の保証。走行距離10万kmまで
【メリット4】乗り出し価格が安い
未使用車は車両本体価格が安いのが大きなメリットと思いがちだが、実はそれだけではないのだ。車を購入する場合、車体本体価格に自動車税や重量税などの諸費用が登録時にかかってしまうのである。
その諸費用は車種にもよるが10万円から20万円ほどかかってしまうのだ。一方、未使用車の場合は既に登録されているため諸費用は微々たる金額で済んでしまうことがほとんどである。そのため、実際の乗り出し価格はさらに安くなってくるのだ。
例えば新車と未使用車の車体本体価格で20万円ほど差があったとすると、さらに諸費用で10万円ほど安く購入できることになる。
未使用車を購入する『4つのデメリット』
メリットばかりが目立つ未使用車ではあるが、あまり知られていないデメリットもあるものだ。そのため未使用車の購入を検討している方は、以下のような4つのデメリットもあることを頭に入れておいてほしい。
【デメリット1】オプションの後付けができない
新車を購入した場合、自分の好みに合わせてメーカーオプションやディーラーオプションを付けることができる。例えば電動スライドドアや本革シートなどはメーカーオプションとして、その仕様にあわせて工場でその車を組み立てていくことになるのだ。
だが、未使用車はすでに出来上がって登録されている車であるため、購入の際に後付けする事ができないのである。
もちろん、絶対に後付けできないというわけではないのだが、後付けするには部品代や工賃が高額になってしまうため、未使用車のメリットがなくなるのだ。
ちなみにカーナビやエアロパーツなどはディーラーオプションとなるため、費用はかかるが購入後でも取り付けることは可能だ。そのため、もし付けたいオプションがメーカーオプションとなるのなら、未使用車はおすすめできない。
【デメリット2】選択の幅が在庫車からしか選べない
新車は車種はもちろんグレードもボディーカラーもすべて希望に合わせて選ぶことができる。だが、未使用車は基本的に1点ものであるため、車を購入するタイミングで乗りたい車種の未使用車があるとは限らないのだ。
また欲しい車種がいつ頃出てくるのかもわからないため、欲しい車に乗れないということは十分に考えられる。むしろ、車種はもちろん、グレードや装備、ボディーカラーなど自分の希望にピッタリの未使用車はほとんどないと思ったほうがいいだろう。
1ヶ月から2ヶ月の間に車を購入しなければいけないという状況であれば、選択の幅はなく在庫車から選ぶしかないのだ。また未使用車は人気のため、購入に迷っていると他の人に購入されてしまうこともあるため、すぐに決める必要もある。
【デメリット3】車検の有効期間が短い
新車を購入した場合、納車時期に合わせて車検を取得するため、基本的に次の車検は3年後ということになる。だが未使用車はすでに車両登録され車検も取得しているため、購入するタイミングにもよるが新車よりも有効期間が短くなるのだ。
例えば車両登録から1ヶ月経過した未使用車を購入した場合には有効期間は2年11ヶ月、仮に1年経過した未使用車であれば車検の有効期間は2年のみである。
そのため、未使用車を購入する際には次回の車検がいつ頃になるのかもチェックしておきたいところだ。ただ、実際は数ヶ月車検が短くなったとしてもコスト的には大きな負担になるわけではなく、未使用車の安くなる額の方がはるかに大きいのだ。
また販売店によっては車検が短くなれば、その分購入費用も安くすることもあるため、大きなデメリットではないだろう。
【デメリット4】ワンオーナー車ではなくなる
新車は言うまでもなくその車の初めてのオーナーとなり、仮に数年後にその車を売る場合にはワンオーナー車となるのだ。中古車を購入する際、何人ものオーナーが乗り継いだものだと不安を抱いて売れにくくなることがある。
それがワンオーナー車だと安心感が高まり買い手がつきやすくなるため、高価買取も期待できるのだ。だが、未使用車はディーラーが最初の所有者となるため、ほとんど走行していない新車同然の状態でも書類上は2人目のオーナーとなってしまうのだ。
ただワンオーナー車でも長年乗っていれば買取額に差がつかないケースも少なくない。また近年は未使用車の認識が進んだことにより、ディーラーや販売会社はオーナー数にカウントしないケースも出てきているため、大きなデメリットとはいえないだろう。
未使用車の探し方・買う方法
未使用車は新車や中古車と違って絶対数が少なく、購入したいと思ってもなかなか見つけられないケースも少なくないのだ。未使用車の探し方・買う方法としては主に以下のような3つの方法がある。
- ディーラー系列の中古車販売店
- 一般の中古車販売店
- 中古車販売店の検索サイト
未使用車はディーラーが車両登録をして中古車販売店に販売するのが多いのだが、そのうちディーラー系列の中古車販売店がほとんどである。ただ一般の中古車販売店でも見つかることはもちろんあるため、スルーはできないのだ。
いずれにしても中古車販売店に足を運んで未使用車の情報を提供してもらうのが一番である。ただそれも時間と手間がかかってしまうため、そういう人は中古車販売店が運営している検索サイトで探してみるのも1つの方法だ。
未使用車を購入するときの大まかな費用
未使用車は新車購入時に比べ諸費用の負担が少なく、乗り出しまでの費用が少なくて済むのだ。ただし、それでもプラスアルファの費用はかかってくるため、未使用車の購入を考えている人は以下のような費用も頭に入れておく必要がある。
- 環境性能割、自賠責保険、自動車リサイクル料などの諸経費
- ナンバープレート代
- 印紙代
- 登録費用
- 代行費用
- 車庫証明代行費用
- 納車費用
ただし、これらの費用が必ずかかるというわけではない。ナンバープレートはすでに付いているため、あくまで管轄の運輸支局が違う場合や希望ナンバーにする場合のみ必要となる。
また車庫証明は軽自動車は不要で、また自分でも手続きできるので費用を抑えることも可能だ。納車費用についても販売店まで取りに行けばかからないため、節約することもできる。
まとめ
このように未使用車には自分が思っている以上のメリットもあるものだし、逆にあまり知られていないデメリットもあるのだ。
一般的にはほぼ新車に近い車を安く購入できるという大きなメリットがあるのだが、人によってはデメリットの方が大きく感じることもあるだろう。
そのため、まずはメリット・デメリットを良く把握した上で購入を検討していくことが必要である。また未使用車はなかなか見つからないのだから、早めに行動する事も重要だ。