離婚するとさまざまな手続きが必要になるのだが、その1つに車がある。車は財産となるため、離婚すると財産分与の対象となるため、基本的には公平に分配する必要があるのだ。だが車を二等分するわけにはいかないためいろいろと面倒になってくるのだ。
もし離婚して車も手放すのであれば、離婚前に済ませておいた方が簡単でトラブルも回避できる。ここでは、車売却を離婚前にしたほうがいい理由と、離婚後に財産分与する場合の方法についてまとめている。
車売却は離婚前に済ませろ!車は財産分与の対象になる
通常、車を売るタイミングとして多いのは車検が来る時期やボーナス時などが多いが、もし離婚をするというのであればできるだけ離婚前に車売却を済ませたほうがいい。離婚となれば、いろいろと他に手続きも多く、気持ちの上でも車売却は後回しになりがちだ。
だが、車売却が離婚後になってしまうと、さまざまな面倒なことがでてくるのだ。その1つの原因となるのが車は財産分与の対象となってしまうことである。
車を購入した時期にもよるのだが、どちらが名義人となっていても、基本的に公平に財産分与しなければいけないのだ。
しかも、現金と違って車はそのままでは半分に分けることができず、またどちらかが乗り続ける、ローンが残っているなどがあればさらに財産分与は煩雑になってしまうのだ。そうならないためには離婚前に済ませるのが一番である。
車売却を推奨する理由はトラブル回避&手続きが楽
離婚前に車売却したほうがいいと推奨するのは以下のような理由があるからだ。
- 離婚後の車売却だと名義変更が必要になることも
- 財産分与の手続きが面倒
- 離婚した元夫または元妻と連絡を取り合わないといけない
離婚すると住所や氏名が変わってしまうケースもある。そうなると、いざ車を売るという時にはまず名義変更が必要になるのだ。その上で売却をして、さらにはその売却金額を財産分与することになるため、非常に面倒である。
しかも、離婚の理由によっては元配偶者に連絡も取りたくないというケースもあるだろう。それなのに名義変更、財産分与などで頻繁に連絡を取らないといけなくなるため、それも苦痛だろう。
離婚届を出したら、すっぱり関係を切りたいならやはり離婚前に車も処分したほうがいいのだ。
【注意】結婚前もしくは親から譲り受けた車は財産分与の対象にならない
車は財産分与の対象になるとはいったが、実は車によっては財産分与の対象とならないケースがある。これは何も、自分の給料で購入した車だから自分だけの財産だ、ということではない。財産分与の対象にならないのか以下のようなケースである。
- 結婚前に購入した車である
- 親から譲り受けた車である
あくまで財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦どちらかもしくは双方の収入で購入した車となるのだ。もし、購入資金の一部を一方の親が出したというケースでは、夫婦で支払った分が財産分与の対象となるのだ。
車を財産分与する『3つのパターン』
車を財産分与するといっても、車を維持するか乗り続けるかなど、主に以下の3つのパターンから選択することになる。
【パターン1】車を売却する
車を財産分与する上で、最も簡単なのが車を売却する方法だ。車の売却方法はいろいろあるが、売却金額を半分に分けるだけのためそう難しいことはない。ただ、純粋に売却金額を2等分すればいいというわけでもない。
車売却の際にはさまざまな経費がかかってくることもあり、あくまでその経費も差し引いた上での2等分ということになる。また、厳密にいえば振込された金額から経費分を等分し、その上で残った金額を等分することになるのだ。
例えば、振込手数料や自動車税の還付金、その他の費用を差し引いて振り込まれた金額が100万円だとします。車売却のための必要書類の準備等にかかった費用が1万円だとすると、残りの99万円を2等分するというかたちになるのだ。
【パターン2】車を売却せず片方に清算金を渡す
車を保有していて離婚した場合、普段から車を必要とする人なら売却すると新しく車を購入しないといけなくなるだろう。
できることなら乗り慣れた車に乗り続けたいと思う人も少なくないはずだ。そんな時には車を売却せずに財産分与することも可能だ。その場合の財産分与としては、車を保有しない側に乗り続ける側が清算金を渡すことになる。
例えば、車の価値が100万円だった場合、本来なら車を売却して50万円ずつ財産分与するのだが、乗り続ける側が相手に支払われるハズだったその50万円を持ち続ける側が支払うことにするのだ。
それにより、相手は車を売ろうと売るまいと同じ額の財産分与を受けられるというわけだ。
【パターン3】ローンが残っている場合
車を購入する時にローンを組む人はいるはずだ。そのタイミングによってはまだローンが完済しないうちに離婚となってしまうことも十分考えられる。ローンが残っている場合、所有権はローン会社やディーラーとなっているため勝手に売却はできないのだ。
まずは、ローンを完済して所有権を解除するのが先である。完済できるだけの現金があれば一旦完済してから、財産分与という形を取るのが一般的だ。もし、ローンの残債の方が多い場合は、負債についても財産分与することになる。
もし、車以外にもプラスとなる財産があるならそちらと相殺して財産分与するやり方もある。また、ローンを残したまま、車にも乗り続けるのであれば、双方でどう支払っていくか、財産分与するか検討することになる。
離婚後に必要な自動車の手続きと必要書類
離婚後に車を売却する場合には、離婚前よりも手続きが煩雑になってしまう。もしも、すでに離婚が成立してしまい、それから車を売却するというのであれば、どのような手続きと書類が必要になるのか知っておくといいだろう。
【普通自動車】離婚後に必要な手続きと必要書類
一般的に普通自動車を売却する際には以下のような書類が必要となってくる。
だが、離婚すると車検証に記載されている住所や名字が変わってしまうことは十分考えられる。その場合には、車売却の前に車検証の住所や名字を変更する必要があり、以下のような書類が必要となるのだ。
普通自動車の車検証に記載されている住所や名字の変更をするには、管轄の運輸支局に行くことになる。また、ナンバープレートも変わる場合には、対象となる車も持ち込んで新しいナンバープレートに変える必要がある。
【軽自動車】離婚後に必要な手続きと必要書類
軽自動車を売却する場合には普通自動車よりも必要書類が少なくて済むが、以下の書類の準備が必要だ。
離婚して車検証に記載している住所や名字が変わっている場合には、最寄りの軽自動車検査協会で手続きをすることとなる。その場合に必要となる書類は以下の通りだ。
これ以外にも車検証に記載されている住所が管轄外に変わるのであれば、ナンバープレートの交換が必要となる。普通自動車に比べれば、必要書類も少なくなるが、それでも離婚後だとこのように手続きも面倒になってくるので、知っておくといいだろう。
名義人が異なる場合の必要な手続き
離婚して車検証の住所や名字が変わるというケースはよくあることだが、それ以外にも、車の名義人がもっと夫または妻になっているケースも考えられる。その場合には、車検証の名義変更をする必要があるのだ。
- 名義変更申請書
- 譲渡証明書
- 旧所有者の印鑑証明書
- 新所有者の印鑑証明書
- 旧所有者または新所有者の委任状
- 実印
- 手数料納付書
- 車検証
- 自動車税・自動車取得税申告書
- 新所有者の車庫証明
これらの書類をもって運輸支局で手続きをする必要がある。また、これ以外にも新所有者と新使用者が異なる場合、印鑑証明が異なる場合などいろいろなケースが想定されるが、それによって必要書類が増えてくることもあるのだ。
このように、名義変更となると住所や名字の変更よりも準備しなければいけないものが増えてしまうのだ。
まとめ
離婚となると離婚届の提出や住所変更、さまざまな書類の変更などいろいろな手続きが必要となってくる。そのため、車はそのままにしてしまうケースも多々あるのだ。だが車も財産とみなされるため財産分与の対象となるのだ。
それを離婚後に行ってしまうと、いろいろと面倒なことが増えてしまうのだ。そのため、車を売却するつもりであれば、できるなら離婚が成立する前に車を売却してしまうのが賢明だ。
とはいえ、離婚後も手続きできないわけではないので、方法を確認しておこう。