車下取りのキャンセルとは、下取り業者との取引を白紙に戻すことである。

車下取りを行う際、新車ディーラーや中古車販売店と下取りの取引における契約を締結することになる。

しかし、契約締結後になって別の新車ディーラーや中古車販売店を利用したくなったり、買取専門店で売りたくなったり、友人が車を買いたいと言ってきたりするケースもありえないことではない。

その場合は車下取りの契約をキャンセルしなければならないが、そのためには最初に契約した新車ディーラーや中古車販売店にキャンセル手続きの対応をしてもらう必要がある。

基本的に車はクーリングオフ適用外

PCの前で落ち込む男性

クーリングオフというのは一度買った商品の売買契約を解除し、相手の業者から返品・返金対応をしてもらえる制度である。

この制度を利用すると、基本的に購入代金の100%を返金してもらえるので、消費者が損をすることはない。

クーリングには「頭を冷やす」という意味がこめられており、勢いで買ってしまった商品が本当に必要かどうかをじっくり考えられる猶予期間を設けることがクーリングオフの目的である。

クーリングオフは消費者が行った大抵の商品・サービスの契約に適用される制度だが、実は基本的に「車の売買契約」には適用されない。

その根拠として、自動車公正取引協議会の公式ホームページの「消費者向け情報」のコンテンツの中のQ&Aがあげられる。(参照:自動車公正取引協議会「査定・契約)

ここでは買取業者と結んだ車売却の契約をキャンセルできないかという質問に対して、「買取業者が応じなければ契約成立後はキャンセルできない」という旨の回答が述べられている。

クーリングオフは相手の業者がどう思おうが消費者から一方的に要求できる制度なので、この記述から車の売買契約にクーリングオフは適用できないことが明らかだ。

ただし、近年は車の売買契約にクーリングオフが適用できないことに対するクレームが増えていることを受けて、買取業者や消費者保護団体が消費者を守るためのルールを作ろうとする動きがみられる。

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車の下取りを契約した後にキャンセルできる?

スマホをさわる男性

クーリングオフは一定期間内(8日間~20日間。契約内容によって異なる)であれば契約のキャンセルが行える制度だが、それが適用できない車下取りでは契約相手の新車ディーラー・中古車販売店がOKを出すタイミングでなければキャンセルできない。

そのため車の下取りを行う時は、保険のためにあらかじめキャンセルできるタイミングを頭に入れておいてから契約することを意識しよう。

売買の契約書を交わした段階ならキャンセルはOK

新車ディーラーや中古車販売店が自動車売買契約のキャンセル対応をしてくれるタイミングは「契約書を交わした段階」である。

これは言い換えれば「車両が手元にある状態」の時であればよく、契約してから数日以内であれば安全圏といっていいだろう。

契約書に印鑑を押すと契約の効力が発揮されてしまうので、キャンセルはできないようなイメージがあるが、意外と新車ディーラーや中古車販売店は柔軟に対応してくれる。

販売店としても顧客に気持ち良く取引してもらうことを重視しているので、契約書を交わしたからといってそれを盾に取るようなことはしないわけだ。

ただし、キャンセルを打診する時になぜ契約をキャンセルしたいのか?と販売店から聞かれることになるはずだが、その際に「他の業者の方が高く車を買ってくれるから」というようなことは言わない方がいいだろう。

販売店からすればライバル店に顧客を取られるわけなので、良い気分にはならないし、最悪キャンセルを断られる可能性がある。

そのため理由を述べるのであればライバル店の存在は出さずに「車を売ることを再検討しようと思ったから」、「お世話になっている友人・知人に車を売りたいから」といったものにするといいだろう。

車両を引き渡している場合はダメ

鍵を渡す男性

すでに販売店に下取車を引き渡しているタイミングでは契約をキャンセルしてくれないことが多い。なぜかというと、下取車を受け取った販売店はすぐにその車両の名義変更を行うからである。

実は下取りでの名義変更は車を下取りに出したユーザーから新しくその車を買ったユーザーに直接変わるのではなく、まず車を下取りに出したユーザーから下取りを行った販売店に名義が変わり、次にその販売店から新しいユーザーに名義が変わるという段階をふむ。

そのため、まだ新しいユーザーが現れていなかったとしても、販売店に納車した段階で車両の名義は下取りに出したユーザーのものでなくなっている可能性が高い。

名義変更が行われた後に契約をキャンセルするとなると、また販売店の名義から下取りに出したユーザーの名義に変えなくてはならないので、非常に面倒な手続きになる。

その面倒な手続きを行ってまでキャンセルに対応しようと思う販売店はそうそういないわけだ。

ちなみに販売店に下取車を引き渡すタイミングは「新しい車の納車と同時」か、あるいは「新しい車が納車される前」かの2パターンだ。

前者は車検が残っていてまだ走れる時、後者は車検が切れてもう走れない時に行われる。当然、後者の方が下取車の名義変更が早く行われるので、契約をキャンセルする時は注意が必要だ。

もし下取り車のキャンセルがNGだと言われた場合

交渉

下取り車を引き渡す前だったとしても確実にキャンセルできるわけではなく、販売店がキャンセルNGという可能性もある。

しかし、もしNGだといわれたとしてもそのまま諦めてしまうのではなく、対策を講じるようにしよう。対策次第では考え直してくれるはずだ。

たとえばどのような方法があるかというと、「違約金やキャンセル料を支払うことを了承する」、「キャンセルできないのであれば新車、または中古車の購入を検討し直す旨を伝える」というものがあげられる。

状況に合わせてどちらかの方法を選ぶか、あるいは両方の方法を使うようにしよう。

違約金やキャンセル料を支払うことを了承する

タダでキャンセルすることはNGでも違約金やキャンセル料を支払えば対応してくれる販売店も存在する。

もし契約書に違約金やキャンセル料についての記載があるのであれば、それに従えばいい。

ただし、下取り車を引き渡す前の段階で違約金やキャンセル料が発生することはほとんどない。というのも、下取り車をまだ引き渡していないのであれば、販売店側はやろうと思えば簡単にキャンセルできるからである。

また違約金やキャンセル料を支払わせてユーザーの心証を悪くすることを気にする販売店も多い。そのため、下取り車を引き渡す前の段階でキャンセルを断る販売店はお金以外の問題でNGにしている可能性がある。

キャンセルできないのであれば新車または中古車の購入を検討し直す旨を伝える

相談する男性

この方法は「違約金やキャンセル料を支払うことを了承する」ことよりも強力である。というのも、新車ディーラーや中古車販売店などの車販売店は車を売ることが最優先事項だからだ。

車が売れなければ下取り車を買い取ったところで大した意味はない(下取り取引において下取り車の買取・引き取りはおまけでしかない)。

それだけに販売店の営業マンは車を無事に売るためならある程度の要求は聞いてくれる可能性が高い。

ただし、これは営業マンの足元を見る方法となるので、実行すると営業マンとの信頼関係が崩れるおそれがある。これからも長く取引を続けていきたい店であれば避けた方がいいかもしれない。

車両を引き渡した後は99%キャンセルできない

駐車場にとめてある車

車両を引き渡した後は「違約金やキャンセル料を支払うことを了承する」、「キャンセルできないのであれば新車、または中古車の購入を検討し直す旨を伝える」のどちら(あるいは両方)の方法を実行したとしてもほぼキャンセルできないことは理解しておく必要がある。

そのため、車両を引き渡した後にしつこくキャンセルできないかと食い下がるのは避けた方がいいだろう。わがままを言って折れてもらえる可能性がないわけではないが、厄介な顧客として警戒対象に入れられてしまうおそれがある。

万が一キャンセルできたとしても違約金やキャンセル料は支払わなくてはならない。支払わなければならない金額は下取り車の下取り額や販売店がどれだけ下取り車の販売手続きを進めているかなどによる。

すでに名義変更を終え、オークションに出品している場合はそれらに販売店が費やした手数料を支払う必要がある。

下取り車がすでにオークションで売れてしまっている場合はますます事態は深刻になり、違約金やキャンセル料の金額も上がる。

キャンセルをするなら早めの連絡が大切

携帯電話

車の売買契約締結後にキャンセルする場合はできるだけ早めに販売店に連絡することが大切だ。

連絡するのが早ければ早いほど販売店が下取り車の名義変更やオークション出品などの手続きを進めないうちにキャンセルできるので、対応がスムーズだし、請求される違約金やキャンセル料の金額も少なくなる。

キャンセルの連絡が遅くなると、販売店とのトラブルに発展しやすいのも問題だ。

独立行政法人の国民生活センターの報道発表資料によれば、自動車の売却におけるトラブルは増加傾向にある。そういったトラブルに遭わないためにも誠意ある行動を心がけよう。(参照:国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」)

また車の売買契約の扱いは利用する販売店の対応で変わるので、できるだけ優良の販売店を利用することも意識する必要がある。

優良の販売店であればたとえユーザーがキャンセルを申し出たとしてもそう邪険には扱わないはずだ。

無事キャンセルできた場合はその販売店よりも高額な査定をしてくれるところに売りたいものだが、もし売り先が決まっていないのであれば、車買取一括査定で探すといいだろう。

まとめ

PCとスマホとノート

車下取りの契約はキャンセルして白紙に戻せる場合がある。クーリングオフは適用外だが、販売店がOKといえば対応してくれる。

販売店がキャンセルに対応してくれるタイミングは主に下取り車を引き渡す前の段階である。

売買契約書を交わしただけであれば販売店としても手間がかかるわけではないので、簡単にキャンセルできることが多い。

一方、すでに下取り車を引き渡している場合はキャンセルが難しくなる。なぜなら販売店は下取り車が引き渡されるとすぐに名義変更やオークション出品などの中古車販売手続きをとるからだ。

そこで契約をキャンセルするということはそれらの手続きを無駄にし、また契約前の状態に車を戻さなければならないということなので、手間や費用の問題からほとんどの販売店は断る。

もちろん下取り車を引き渡す前の段階であっても販売店が確実にキャンセル対応してくれるとは限らない。

交渉テクニックとして違約金やキャンセル料を支払うことを了承したり、キャンセルできないのであれば新車・中古車の購入を検討し直す旨を伝えたりすれば対応してくれる可能性が高くなる。

いずれにせよ、車下取りの契約キャンセルの申し出はできるだけ早く販売店に連絡することが大切だ。

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