日本では小型車よりは軽自動車のほうが大衆車としては馴染が深く、その分普及率も高いというのが現状だ。特に女性ドラーバーや中高年のドライバーの多くが軽自動車をマイカーとして、普段から足代わりに利用しているシーンがよく見られる。
例えば2014年度の軽自動車所有の割合は、車全体の所有数の37.9%と自動車検査登録情報協会の公式データにある。これは3台に1台が軽自動車という事で、カテゴリー別のシェアは断然トップになるのだ。
この普及率はこの数十年間増加傾向にあって、2003年度のデータを見ると29.2%だったから急成長振りがはっきりと伺える事であろう。
なぜこれほどまでに軽自動車が高い人気をキープしているのであろうか。その理由を詳しく解説していこう。
なぜ軽自動車は高い人気をキープできるのか
それにはいくつかの理由があるのだ。まず日本国内の敷地事情や道路環境を考えた場合、アメリカの様に大型サイズの車を所有するのは合理的ではないのだ。
軽自動車は非常にコンパクトで運転が楽だという事があるし、ノーマルエンジンでも30km/Lを越える低燃費走行が得られる点や、車体価格が断然に安いという事も大きな理由であろう。
他にも買取価格が高額な事やメンテ費用が安い事もあって、経済的なメリットが他のカテゴリー車よりも優れている事が人気の原因となっているのだ。
軽規格によって作られた「我慢グルマ」だった過去
バブル全盛の時代までは、マイカーと言えば2Lクラスのセダンやクーペが人気だった。
もちろん660cc以下の軽自動車も複数のブランドが展開されていたが、販売台数は低く、ユーザー層もセカンドカーやチョイノリドライバーなどが目立っていたのである。
その理由は、まず車内が狭くてインテリアが安っぽいものが多く、ドライブに出てもワクワク感が感じられなかったのだ。また大人4人が乗ってしまえば、ギュウギュウ詰めの息苦しさを感じるレベルであった。
それから安全性だが、軽量化のためにボディやシャーシの強度が不十分で事故の時の破損レベルが大きいというデメリットもあったのだ。
この様に数十年前までは、軽自動車は「我慢グルマ」とさえ呼ばれていたのである。
軽自動車の人気を牽引したのは2003年のトールワゴン市場
国内で軽自動車の人気が拡大し始めたのは、2003年あたりにタントを始めとしたトールワゴンがリリースされ始めた頃だった。
初代タントの価格帯は100~140万円のラインナップと軽自動車にあっては高額ブランドだったが、広々とした室内はキャリースペースが十分でワンボックスのメリットが十分に生かされていたし、58馬力のエンジンで軽快に走ってくれたのだ。
これによって家族4人が遊び道具を満載させて、海や山へとレ―ジャーに出かけられるメリットが生まれた。またデザインがオシャレで街乗りの楽しさも増しているのだ。
軽人気を爆発させたのはホンダNシリーズのN-BOXの登場
軽自動車市場が活況を呈したのは2010年を過ぎたあたりからだ。その火付け役となったのがホンダのNシリーズ・N-BOXの登場だった。技術のホンダが軽自動車界へ次世代の軽自動車のモデルを投入したのである。
N-BOXは2011年末にリリースされ、翌年以降から軽自動車新車販売台数でずっとトップランクを維持してきた。年間のトップセールは通算3回で、2015年17万2614台(全国軽自動車販売協会連合会調べ)と、このカテゴリーで最高値を叩き出している。
もちろん新車価格は高く、小型乗用を上回る価格設定をラインナップさせていた。そういったプチ高級志向が、今どきのドライバーのニーズとマッチしたのである。
このN-BOX の成功にならって他の軽ブランドもハイスペック化していき、増々軽自動車市場が活況となったのである。
2013年のハスラーの登場で軽自動車が多様性を持ち始める
初代タントが火付け役となって軽自動車はここ数十年間売上げをのばしてきた。そんな流れをさらに拡大させたのが、2013年にリリースされたスズキのハスラーである。
また2016年度にはデュアルカメラブレーキサポートを搭載し、全方位モニター付メモリーナビゲーションが安全走行をサポートしてくれるのだ。この様にハスラーの安全走行は向上し、JNCAP予防安全アセスメントで軽自動車初の46点満点を取得している。
「予防安全性能アセスメント」は多くの皆様に、より安全な先進安全技術を搭載した自動車を利用していただくことで交通事故を減らしていこうとするものです。同時にそれぞれの自動車の評価をして比較することで自動車メーカーにはより安全な自動車の開発を促すものでもあります。
それ以降、ウェイクやS660やキャストといったこだわりを持った軽ブランドが展開され、かつての主要ブランドもフルモデルチェンジを急いだこともあって軽自動車の多少性が広がったのである。
軽自動車の『6つのメリット』
軽自動車には普通乗用車にはないメリットがたくさんある。まず維持費が安い事だ。最近の軽自動車は燃費が30km/Lを越えるのが当たり前で、2017年度にはハイブリット車も登場しているのだ。
しかも税金や車検代、有料道路の料金も普通車より断然安いのがメリットだし、任意保険なども低料金である為にトータルコストがかなり節約できる。
また地域によっては車庫証明がいらず、庭先などの小さなスペースで保管する事が可能だ。
【メリット1】軽自動車の維持費が安い
軽自動車はとにかく維持費が安くつく。
まず自動車税は10,800円と普通車の1/3である。また重量税はエコカー減税などで3年間免除になるし、3年以降でも減税があるのだ。
高速代は、例えばNEXCOでは基本的に普通車×0.8と設定している。もちろん他の有料道路にも軽自動車に割引がある。
他にも任意保険や駐車場代などを考慮すれば、トータルで20~30%のコストダウンが可能なのだ。
【メリット2】軽自動車は場所をとらない
軽自動車は地域によっては車庫証明が不要だ。都心の密集地などを除けば駐車場がいらないという事になるのだ。つまり、その様な条件の方は毎月の維持費が大きく節約できるのである。
それに地方の町では庭先や店舗の空いたスペースを利用して保管をするケースが多く見られるし、無理やり2台・3台と詰めて保管する方もいる。
また軽自動車ならば狭い路地でもスイスイと走れるのもメリットだ。特に車が集まるところでは、上手に駐車スペースを確保する事もできるであろう。
【メリット3】軽自動車は燃費が良い
軽自動車はもともと車重の軽さから低燃費車だったが、この10年ほどはエンジン性能やボディ剛性が高まったことで、よりスリムにかつ低燃費化が驚くほど躍進している。それに力強い走りもできる様になったのだ。
それで2017年度の軽自動車の燃費平均をチェックすると、何と26.2km/L(日本自動車工業会調べ)の好成績になっている。
中にはハイブリットでもないのに30km/Lを大きく超えるモデルもあって、ガソリン代の大幅な節約に貢献しているのだ。
【メリット4】軽自動車はコンパクトなサイズなので小回りがきく
軽自動車が女性や高齢者のダライバーに人気である理由の一つに、コンパクトサイズのボディとホィールベースが短い事による旋回半径の小ささがある。
この2つの要素がメリットとなって、狭いスペースでの縦列駐車を楽にしているし、狭い路地や込み入った場所でもスイスイと走れる小回りの良さを発揮してくれるのだ。
また最近では、普通車並みにAIドライブの技術を採用しているモデルがあって、より安全により走り易さを高めているのが現状である。
【メリット5】軽自動車はコンパクトサイズなのに居住空間に優れている
現在の軽自動車の主流はトールワゴンで、その理由は圧迫感を解消した居住性の良さがある。横幅こそ広くはなりませんが、エンジンルームやバッケッジスペースの改良で足元と頭上のスペースが格段に広くなっているのだ。
特に軽ミニバンなどは、170cm台の男性が4人乗っても窮屈にならない程の居住空間を確保している。またシートアレンジを工夫して自転車やベビーカーがラクラク収納できるなど、使い勝手が非常に良いのもメリットである。
【メリット6】軽自動車は手続きが簡易
軽自動車の場合は購入時や売却、廃車などの手続きが簡単だというメリットがある。特に購入時は普通車の様に何日間も待たされることがないのだ。その点では忙しい方にとって非常に便利であろう。
その理由は、軽自動車には登録の際の車庫証明と印鑑証明が不要だからだ。このため購入時の手続きが簡単で、すぐに乗り始められるのだ。
だが、地域によっては軽自動車の保管場所届出義務を条件付けている所があって、その場合は車庫証明を取得しなければいけない。
デメリットもどんどん克服してきている
軽自動車のデメリットは居住性の悪さや、パワー不足による走破性の低さが挙げられる。だが最近はエンジンや駆動システムの進化で、多少車重がアップしても本来のメリットが損なわれない様になったのだ。
それだけではなく、ハイブリットを導入したり、電気自動車化へのステップもあって今後より燃費効率がアップするであろう。
またAI系の安全運転システムを導入するなど安全面でも向上している。確かに金銭面では高額となって小型車との差別化が弱まっているが、トータルのメリットを考えるとマイカーとしての価値はとても高いのである。
「軽自動車の車内が狭い」はハイルーフワゴンで克服
ひと昔前の軽自動車のボディサイズは、小型車と比べても一回り小さくてせま苦しい感じだった。例えば5人家族(小さい子どもが3人)がみんなでレジャーに行く場合、座り方もキュウキュウになって、ちょっと息苦しい感じがしたものである。
だがトールワゴンやハイルーフワゴンの登場で、軽自動車でもかなり車内空間が取れる様になったのだ。例えばセンターピラーの無いタントなどは、ママさん自転車がすっぽり収納できるワイドスペースで、買い物もレジャーも実に快適になっている。
またN-BOXは自転車などの大物収納が可能になっただけでなく、スペースを無駄なく使いきって、居心地の良いスペースを提供してもいるのだ。
「軽自動車はパワーが弱い」はターボ車など改良されている
軽自動車を敬遠する方の言い分には、絶対的にパワー不足・トルク不足というモノがあった。ましてや4人乗って高速は走れないという話も出ていたくらいだ。
だが近年の軽の走りは相当改善されていて、小型車にも負けないポテンシャルを発揮し始めている。その改善策とはエンジン性能のパワーアップだった。
たった660ccしかないエンジンだが、それにターボチャージャーやスーパーチャージャーを装着する事で60ps・70psを叩き出している。しかも板金技術の進歩や合成樹脂の多用などによって車重が軽くなったために、パワーウェィトレシオがかなり高い値を示す様にもなったのだ。
目立つデメリットは「安全性」と「乗車定員」の2つだけ
現時点で買い自動車の改善すべきデメリットを上げるならば、それは安全性能と乗車定員数の2点だけだと言えるかも知れない。
まず安全性に関しては、シャーシを含むボディ剛性の弱さがあるのだ。これは軽量化と相反するテーマで、車体の素材の開発等が待たれる。また乗員数は軽自動車の規格サイズがある為に増やす事は難しいであろう。
だが、それ以外の面では着々と改善されていて、パワーや走行性能や快適な居住空間など、小型車に負けないポテンシャルを発揮し始めているのだ。
軽自動車の安全性
軽自動車は普通自動車に比べると安全性についてよく問題視されている。本当に軽自動車は危険なのか安全性について解説しよう。
ボディの大きさから安全性は常に問題視される
軽自動車のデメリットとして、事故時の安全確保の問題がある。激しい衝突で乗員が怪我をしたり、死亡する危険が高いとの意見もあるからだ。
確かにその心配は、これまで国産車の多くに注がれてきたテーマであった。特にボディ剛性の低い軽自動車やコンパクトカーは、50キロ走行の正面衝突でペチャンコに車体がつぶれるケースもあるのだ。
とは言っても、大型のトラックなどに衝突されればひとたまりもないし、側面からの衝突にはかなり弱いのは事実である。
燃費や走破性能をアップさせるために、ボディ剛性を犠牲にしているデメリットは未だにのこされている点は否めないのだ。
自動ブレーキなど最新技術が軽自動車にも
軽自動車の安全性の確保に、最近ではAIの技術を使った自動安全システムが導入され始めた。近年の軽自動車価格が100~200万円に設定されているのは、こういった各社オリジナルの安全システムが搭載される様になったからで、現段階では高額オプションであるためなのだ。
その主なシステムに車外カメラとブレーキを連動させた自動ブレーキや自動減速システムがある。このシステムはわき見運転などによって人や他の車にぶつかる前に作動し、退陣・対物への安全を確保する装置なのだ。
他にもバックモニターによる車庫入れ等の安全確保やオートクルージングの性能アップなど、ドライバーの負担を軽減しつつ、同時にヒューマンエラーを予防するシステムが採用され始めているのだ。
軽自動車の乗車店員
そもそも大人数での乗車はミニバンの役目
軽自動車にもミニバンタイプがあるが、定員数は4人のままだ。確かにユーザーには3列シートで6人乗りという希望もあるが、現時点では法的な壁もあって実現はしないであろう。
そもそも7人乗り8人乗りは普通車のミニバンの役目である。これだけの大人数を乗せて、しかも快適に走るにはボディサイズが足りないし、660ccエンジンの限界を超えてしまうのだ。
それに現時点でシートも床もかなりダイエット化されていて、これ以上のコンパクト化は更にボディ剛性を低下させてしまうだろう。
軽自動車の利用用途
今や2世帯に1台の割合で軽自動車が利用されている。これはセカンドカーとしてのニーズが高い事もあり、普段から足代わりに乗用している人が多いという事を著わしているのである。
また高齢化社会も軽自動車の利用頻度を上げていて、介護の関係で乗っている方も少なくないだろう。
この様に日常の必要に利用される軽自動車だが、その理由には優れた低燃費率があるのだ。スーパーチャージャーやターボエンジンの搭載により、30km/L以上のハイスペックを叩き出すモデルも少なくない。またサンダル履きの感覚で乗れる気安さもあるのだ。
こういった特徴がある為に、軽自動車の用途は非常に広いと言えるでしょう。
軽自動車のほとんどが毎日車を利用
軽自動車を毎日利用している方も非常に多くいる。それは軽自動車が優れた低燃費走行と乗りやすさを発揮する為で、公共の交通手段を利用するよりも利便性が高くなるからだ。
実際に、多くのユーザーが毎日乗用しているというデータがあるのだ。それは日本自動車工業会の公式データが参考になるが、毎日利用している方の割合は2013年度データで77%となっている。
そして週に4~5日を乗車する方が11%で、週に2~3日の乗車は8%と続く。また週1日のケースはわずか全体のオーナーの4%しかいない。そうすると、いわゆるサンデイドライバーの方には軽自動車のオーナーは非常に少ないのだろう。
この様にほぼ毎日利用している方は、主に買い物や幼稚園・病院・リハビリ等の送迎のために乗車しているケースが多く、割と近距離の移動手段にしていると言えるのだ。
利用用途は暮らしに欠かせない「買い物・送迎・通勤・通学」
軽自動車のユーザーがどういった使い道をしているかと言うと、その大半が買い物や幼稚園の送り迎え、それに介護のための通院やリハビリ通いの足として利用しているのだ。
もちろんこのケースでは近隣の街乗りになり、距離数はそれ程多く無い事から、燃費が良くて小回りの利く軽自動車の利用となる訳である。
また普段の通勤・通学のために軽自動車を利用しているユーザーも少なくはない。その割合は全体の32%で、ユーザーの3人に1人がその為に軽自動車を購入しているという事になるのだ。
この傾向は都心よりも地方都市に多く見られるケースで、公共の交通手段に利便のないところでは積極的に通勤・通学に軽自動車を購入していると言えるだろう。
ただし普通車の利用状況もほぼ同じで、最後のレジャー用のマイカーは16%と高いために、他の割合も全体的に低くなっている感じだろう。
この理由は、軽自動車全体の平均燃費の低さにある。同データでは26.2km/Lとあり、小型車よりも数段低燃費だし、駐車スペースの面でも有利なために、安心してどこへでも乗って行けるからなのである。
低燃費が「毎日の足」となる理由
軽自動車がどうして毎日の足代わりに利用されているのか?その理由としては、まずガソリン代が最も掛からない車種だからだ。軽自動車はボディサイズが小さい事、各パーツが軽量タイプになっている事から、小さいエンジンでも高いパワーウエイトレシオ値を発揮しているのだ。
2013年度の日本自動車工業会調べによると、軽自動車全体の平均燃費は1Lあたり26.2kmで車のカテゴリー内ではダントツの数字になっている。もちろん、その後3年間で燃費効率は各段にアップしていて、1Lで30km以上走るのが一般的だ。
つまり毎日乗る場合に、普通車と軽自動車とでは1Lあたり5~10kmもの走行距離の差が出てくるのだ。それで毎日街中を乗る方なら、月に1,000kmぐらいは走るだろう。するとガソリン代で大きな差がついてくるのである。
また軽自動車はコンパクトボディと短いホイールベースのために旋回力が高く、狭いところでもスイスイと走ってくれるし、割とどこにでも駐車できるために、普通車の様に行先を選ばないメリットもあるのだ。この様に軽自動車の利便性の高さが、毎日の足となる理由である。
販売台数は全車種の中でN-BOXがNo.1に
2015年4月に軽自動車税が7,200円から10,800円に弾きあげられ、2015年度の新車販売台数が大きく落ち込んだ経緯がある。実際には前年度比で16%のダウンだから、軽自動車業界には大きなダメージになったのだ。
その様な状況の中でも、軽自動車の王者・タントの販売台数を抜いたホンダN-BOXシリーズは好調に販売台数を伸ばしてきた。全国軽自動車販売協会連合会によると、172,614台と2017年度の販売ランキングのトップになっているのだ。
先にも述べた通りこの年は全体的に大きく落ち込んだのだが、N-BOXは前年度比8.6%減にとどまっていて、2位のタントは27.5%減、3位のデイズが16.2%減となっている。
2017年のフルモデルチェンジを終えたN-BOXの人気が止まらない
N-BOXの人気はこの数年間不動のものとなっている。その秘密はホンダの技術が支えるスペックの高さ、それによって軽自動車のレベルを超える走りを楽しめる事である。
またトールルーフによる居住空間の広さもあって、ドライブをゆっくりと楽しむ余裕がある事もメリットだろう。
そして軽自動車には少ない両側スライドドアは使い勝手を向上させているし、またフィットから受け継いだセンタータンクレイアウトで後席のシートアレンジが工夫されてもいる。つまり荷物スペースがかなり大きくなっているのだ。
2017年8月にフルモデルチェンジを行ったが、燃費を始めとする基本スペックの底上げと、安全運転システムの強化で更に人気を伸ばす気配を見せている。
全車種販売台数総合3位の「タント」も人気
ダイハツの主力モデル・タントの売り上げは、ここ十数年間頻繁にトップ3に食い込んできている。2016年度の月別販売台数では上半期が1・2位で、下半期でも3位をキープする好成績だった。また2017年度でも2・3位と高い販売実績を更新中である。
近年ではN-BOXが断然強く、次いでニューモデルの日産デイズなども販売台数を伸ばしている。他にも評価の高いモデルが続々とフルモデルチェンジをしていく中で、タントは息の長い人気を博している名門モデルだと言えるだろう。
そんなタントの魅力には、軽トールワゴンのなかでも、一際背の高いハイトールワゴンという室内空間の広さがあり、燃費効率もよくてJC08燃費が27.0km/Lとなっている。またフルモデルチェンジも近いと待ち望むファンの多いのである。
全車種販売台数総合6位には「デイズ」
2013年度に日産が初めて手掛けた軽自動車にデイズ(DAYZ)がある。このデイズは三菱の3代目eKシリーズとの共同開発車で、走行性や居住性のバランスのよりモデルとして人気を集めているのだ。
この販売台数は軽自動車では3位で、全車種販売台数では総合で第6位にあたる。つまり日本で6番目に売れているブランドという事だ。
日産デイズの燃費はJC08で25.8km/Lまで上がる。そして新車の価格帯だが130~150万円で、高級グレードに偏ったラインナップだが、小型車のユーザー層を狙った販売戦略が功を奏している様である。
それでデイズの大人っぽい華やかなインテリアに、高級感のあるボディカラーが印象的で、上質なアダルトチックなプレミアム感が表現されていて、大人のドライバーを惹きつける秘密になっている。
総合販売台数の上位TOP10の約50%が軽自動車
2015年度に実施された軽自動車増税措置の後は各メーカー共に販売台数を大きく減らし、やや軽自動車業界にも暗雲が流れた格好になった。だが依然として軽自動車の人気は強く、販売ランキングにはいつも軽自動車が上位に顔を出している。
月間の新車販売ランキングでは上位10モデルの内半数以上も軽自動車が独占している月もあるくらいだ。例えば2016年1月度の全車種販売ランキング(自販連・軽自協調べ)を見ると以下の通りである。
順位 | 車名 | 販売台数(台) |
---|---|---|
1位 | トヨタ・プリウス | 21,036 |
2位 | ダイハツ・タント | 15,200 |
3位 | ホンダ・N-BOX | 13,754 |
4位 | 日産・デイズ | 13,152 |
5位 | トヨタ・アクア | 12,720 |
この上位5位までで軽自動車が3台もランクインしている。つまり軽自動車はハイブリッド車とともに新車市場を大きく引っ張っていく存在なのだ。
もちろん今後はEV車の時代が来て、よりコンパクトになった軽自動車の販売率がアップする事が十分に見込まれているのだ。
一方で若者の自動車離れが深刻になっている
2015年度に同時に消費税アップと軽自動車税の増税が行われて、その後の軽自動車の売り上げが大幅に落ち込んでいるというデータがある。つまり軽自動車離れの傾向が進んでいるという事だ。
具体的には、2014年に2,272,790台を記録したのをピークにして、その後2015年には1,896,200台と20%近い減少を見せ、翌年の2016年には1,725,460台となり、2017年に入っても減少傾向に歯止めがかからないのだ。
この様な理由があるとしても、実際にはマイカー購買意欲が国民全体で低下している実態を無視できない。少子高齢化で若者の数が減り、しかも給料が低いレベルで停滞している事で、慢性的な生活苦に悩む若者が非常に多くなっている。
とてもマイカーが持てる生活環境にはないのである。
いくらリーズナブルな軽自動車でも、大きな影響を受けるのは必至だ。その反面、公共の交通手段の利用が増えている点を考えるならば、今後も軽自動車の若者離れは加速する可能性があるだろう。
まとめ
世界的な経済活動の状況を見ると、ゴージャスでハイスペックの大型車を望むユーザーのニーズよりも、もっとコンパクトでキビキビと、しかも低コストで乗り回せるマイカーのニーズが勝っている傾向にある。
そういったニーズを踏まえて、日産や三菱も軽自動車への参入を急いで、世界的なシェア争いに後れまいと企業努力をしているのが現状であろう。
ただし勇み足もあって、2016年度には燃費改ざんの不正行為も起こしてはいるのだ。つまり世界中の一流メーカーがこぞってEV・自動運転車両への流れを意識した車造りを急いでいる訳だ。
この流れは軽自動車の進化に拍車をかけていて、まず低燃費化ではノーマルエンジンでも30km/Lを越えるのが標準レベルになり、最新情報では軽のハイブリット車まで登場している。
また快適ドライブのための車内空間の確保も向上しているのだ。軽ミニバンでは大人4人が乗って、しかもたっぷりのアウトドアグッズが積み込めるサイズまでになっているのである。
この様に、時代はコンパクトカーによるAI軽安全運転システム車へと進んでいて、ますます世界的な消え自動車クラスのニーズは増えていく。ただし国内では少子化と若者の収入低下などによって売り上げの減少に苦しむ状況が継続しそうだ。