- 車買取時の売買契約書について
車買取の際、売り手が最も重視するのが査定額だろう。だが、いくら高く車が売れたとしても、結局手元に入るお金が少なくなってしまう、なんてこともあり得るのだ。
それどころか、契約破棄になり違約金を請求されることだってある。そこで重要となるのが売買契約書である。
ここでは、車買取で重要となる「売買契約書」について、必ずチェックすべき10項目を解説していこう。
車買取時にサインする「売買契約書」とは?
車を買取業者に売る時には、家電や衣服をリサイクルショップに売る時とはちょっと異なり、車買取業者が準備した売買契約書にサインする必要がある。ここでポイントとなるのは、売買契約書は車買取業者が作成しているという点だ。
そのため、言い方は悪いがこの契約書は業者の都合がいいように作られていると言える。車買取ではトラブルが稀にあるが、その時に業者側はこの売買契約書をもとに強気に出てくることもあるのだ。
車売却はクーリングオフの対象外となっており、売買契約を交わすと一方的にキャンセルができなくなってしまうのである。
もちろん、必ずしも売買契約書には売る側にとって不利益な事ばかり書かれているわけではないが、トラブルにならないためにも、よくチェックしてサインするべきである。
車買取で必ずチェックすべき『売買契約書10項目』
車買取でサインをする売買契約書にはいろいろなことが記載されている。基本的には一字一句隅々までチェックするのが大切だが、その中でも特に注意してみるべき10の項目があるので、ここではそれについて解説していこう。
【項目1】売買する自動車の基本情報
まず始めに記載されているのが売買する自動車の基本情報についてだ。ここでトラブルになることは少ないのだが、間違いがあった場合などには確認が必要である。
特に車検満了月や駆動方式などはよく間違えがちなので確認しておきたい。自動車の基本情報としては主に以下のようなポイントがある。
- 車名
- ボディカラー
- 年式
- 型式
- 車台番号
- 登録番号
- 走行距離
- 初度登録年
- 駆動
特に車台番号は車の特定するものであるため、間違いないか確認しておこう。
【項目2】車の売却金額の合計
車を売る時に一番重要視しているのが車の売却金額だろう。おそらくいくつかの車買取業者と交渉して納得のいく査定額を提示した業者と売買契約を交わすはずだ。ただ、その提示された査定額が必ずしも受け取れる金額とも限らないのだ。
まずは以下の3つのポイントについて確認しておこう。
- 査定額と実際に売買契約書に記載されている金額
- 還付される自動車税等について
- 最終的に受け取れる売買金額
車の価値は日々下がっていくのがほとんどである。そのため査定された日から売買契約を交わす日まで日数がかかってると、それだけで価値が下がっていることもある。そのため、まずはその点を確認しておくべきである。
また、車を売却するタイミングによっては自動車税が戻ってくるのだが、それが査定額に含まれているのかも確認すべきだ。
【項目3】車の売却金額の支払時期と支払方法
売買契約書には、上記で決まった車の売却金がいつ支払われるのか、その支払い時期と支払い方法についての明記もある。
その支払い時期と支払いう方法を確認しておかないと、売買契約を交わしたのにいつまでも支払わないことになってしまうこともある。
【項目4】車の引渡し日
売買契約を交わしたら、名義変更の日とは別に車を引き渡す日がある。車買取業者によっては、売買契約書にサインをしたら、即日引き渡しとなってしまうこともある。車を売却する人は、車を買い替えする人もいるだろう。
車の引き渡し日が新しい車が納車する前になってしまうと、車がない期間が出てしまうこともある。また引き渡し日とともに、引き渡し場所によっては引き渡しの際に費用を負担しなければいけない場合もあるため、その点も確認が必要である。
【項目5】契約後のキャンセル規定
車の売却はクーリングオフの対象外となっているため、売買契約書にサインした後は基本的にキャンセルはできない。
だが、契約後のキャンセルについては車買取業者ごとに規定が決まっており、売買契約を交わした後でもキャンセルが可能となるケースもある。
そのため、売買契約書にサインする際にはキャンセル規定について以下のポイントをチェックしておきたいところだ。
- 契約後のキャンセルの可否
- キャンセル可能な場合の対応期間
- 違約金の有無
- 違約金の額
【項目6】登録者名義の変更日・期限
車買取業者に車を売却した際には、車の名義変更も業者が代行してくれることがほとんどである。売り手からすれば、売買契約書にサインをすれば速やかに名義変更をしてくれるものと思うものだが、その時期は業者によって異なる。
いくら売買契約を交わしたからといって、名義変更が完了するまではその車の所有者は売り手のものである。そのため、いつ名義変更をするのかは確認が必要だ。
【項目7】瑕疵担保期間の確認
売買契約を交わした後、売却した車に何か不具合が発生することもある。それがもし売却前からの不具合であれば、その損害を売り手が責任を負わなければいけない。それが瑕疵担保責任である。
以下のようなケースが瑕疵担保責任となることが多い。
- 査定時に申告していない傷や不具合
- 査定時に申告していない事故歴や修復歴
ただし、瑕疵担保責任は売り手がいつまでも保証しなければいけないというものでもない。そのため、責任を負う必要がある瑕疵担保期間について明記されているため、その点を契約の際いつまでなのか確認が必要である。
ちなみに、傷や不具合があった場合には事前に申告しておけば、それに応じた査定額となるためトラブルになることは少ない。
【項目8】契約成立後の事故の責任
売買契約を交わし、車買取業者が車を引き取った後に事故を起こしてしまったというケースもある。常識的に考えれば、買取業者が責任を負うべきところだが、悪徳業者だと事故ではなく引き渡し前からの傷だと言い張る業者もある。
これだといくら引き渡し後についた傷だと言っても、トラブルになる可能性もある。そうならないため、契約成立後の事故の責任については車買取業者が負うということを明記した項目をチェックしておかないといけないのだ。
【項目9】特約事項について
売買契約書の最後には特約事項といったいろいろなケースに応じた契約内容が記載されている部分がある。これは車買取業者によっても内容は異なるが、たいていは手付金やリサイクル料の還付などが記載されているものである。
特約事項に記載されているものは、ほとんどが車買取業者側に有利となる内容が記載されているため、確認が必要である。もしわからないことがあれば、売買契約書にサインをする前に質問をしておく必要があるだろう。
【項目10】諸費用はどれくらいか
諸費用とは、主に以下のような費用であり、これらは売却の時期によって還付を受けられる費用となるのだ。
- 自動車税
- リサイクル料金
- 自賠責保険料
これらの諸費用については、明記しない車買取業者や特約事項に記載されているケースもある。これらは返金の対象となる金額であるため、それがどう扱われているのか確認が必要だ。
たいていは車買取額に含まれていることが多いのだが、含まれていない場合には手続きをしてもらうこともできる。
まとめ
このように車を売却する際には、車査定額だけでなく売買契約書をしっかりとチェックする必要があるのだ。実際に、納得のいく額で車が売れたから、あとはサインするだけ、と安易に考えていると思わぬトラブルに巻き込まれてしまうこともあるのだ。
そうならないためには、しっかりと売買契約書に目を通し、ここで解説した10項目についてはしっかりと確認しておく必要がある。もし項目がなかった場合には、その旨を確認し明記してもらうようにしよう。