初めて車を売却する時に気になるのが、加入していた自賠責保険や任意保険の扱いだろう。そのまま掛け捨てになってしまうのか、それとも返戻金があるのかは気になるはずだ。
そこで車売却時の保険をどうする?といった点を考えてみる。自賠責保険や任意保険の仕組みや役割なども解説しておくので、次に加入する時のためにも見ておこう。
優良な買取業者だと黙っていても、保険のことを教えてくれるだろう。だが教えてくれない業者も多いので、保険の扱いは知っておくべきだ。
車売却・下取り時に問題になる”任意保険”と”自賠責保険”とは?
そもそも任意保険や自賠責保険とは、どういうものだろうか。車売却した時や下取りをしてもらう時に、保険の返戻金などの話も出ることが多いので、しっかり理解しておく必要がある。ではそれぞれの保険について見ていこう。
最低限度の補償になる『自賠責保険』の仕組み
自賠責保険とは車やバイクを購入した時に、必ず加入しなければいけない保険である。そのため強制保険などと呼ばれることもあるのだ。自賠責保険というのは対人賠償専門の保険になる。
交通事故が起こった時に、最低限度は被害者の保証ができるようにと国が定めたものだ。車検のタイミングで更新するのが一般的となるので、新車購入をした初年度のみ3年契約となる。その後は車検に合わせて2年契約だ。
人身事故を起こして、相手が怪我をしたもしくは死亡した場合にのみ使われる保険となる。自分自身が怪我をしたとしても、自賠責保険では賄うことができない。
自賠責保険では補えない分を補償となる『任意保険』の仕組み
先に述べた自賠責保険は人身事故を起こした時の、対人賠償でしか使うことができない保険だ。この自賠責保険ではカバーできない部分を補償するのが任意保険である。
任意保険のカバー範囲は広く、すべて自分の裁量で決められるのが特徴だろう。
- 対人賠償
- 対物賠償
- 車両保険
- 搭乗者保険
などが代表的な補償内容となる。対人賠償の部分が被っているのだが、これは自賠責では賄えない部分に対応するためだ。自賠責保険は最低限の補償に留まっているが、近年では事故の賠償額が高くなってきている。
そのため仮に死亡事故を起こした時には、自賠責保険の範囲内ではほぼ賄えないと考えていいだろう。そのため対人賠償を無制限としてつけるのが基本になっている。
車を売るときに必要な”自賠責保険”と”任意保険”の手続き
基本的な部分を押さえたところで本題に入ろう。車売却をする時に自賠責保険や任意保険の手続きはどうする?といった内容だ。
パターン別に手続きの方法を見ていく。
車売却時に必要となる『自賠責保険の手続き』
車を売却するときに”自賠責保険料”が還付されているかチェック
最初に車売却する時には自賠責保険がどうなるのかを解説する。車売却では大きく2つに分けることができるだろう。
- 車売却と同時新しい車を購入するケース
- 車売却のみを行うケース
前者の場合だが自賠責保険の手続きは必要ない。なぜなら新規で車を購入した店側で自賠責保険の手続きをしてくれるからだ。後者のパターンだと解約ではなく、名義変更をすることになる。通常自賠責保険は先払いで保険料を支払う。
そのため車売却をした時点での残存期間に応じて保険料の還付が受けられる形をとっているのだ。
これは車買取業者のサービスの1つだと考えてよく、自分で手続きする部分は何もない。ただ売買契約を結ぶ時に明細を見て、還付金が含まれているのか確認しておくといいだろう。
廃車にするなら自賠責保険は解約
車売却では解約ができない自賠責保険だが、廃車にする場合は解約手続きを取ることが可能だ。そして解約をした時に残存期間が1ヶ月以上あるのなら、保険料の返礼を受けることができる。
ただ自動的に解約されるのではないため、自分で申告する必要がある。解約をする時の流れを紹介しておこう。
- 廃車手続きを行う
- 発行される抹消登録証明書を保管しておく
- 契約している自賠責保険の保険会社に連絡を入れる
- 解約手続きを行う
という形になっている。
軽自動車の自賠責保険を譲渡する手続き
軽自動車を手放した時には、自賠責保険の譲渡手続きを解説しよう。これまでに伝えたように、車買取業者などに売却をするのであれば、特に自分で手続きをする必要はない。すべて店側で行ってくれるためだ。
ただ個人売買を行った、家族や友人に車を譲ったというような場合では名義変更をしておいた方がいいだろう。
原則として自賠責保険は車両にかかる保険であるため、名義変更の必要はない。ただ名義が変わっていなければ、面倒になることも多いのだ。
そこで軽自動車の自賠責保険の名義変更の流れを紹介しておく。
- 加入している保険会社に連絡をする
- 自賠責保険承認請求書を受け取り、必要事項に記入する
- 譲渡人と譲受人の双方が印鑑を押印する
- 承認請求書と必要な書類を添付して提出する
以上となる。
車売却時に必要となる『任意保険の手続き』の2パターン
1.10年以上車を乗る予定なく売却する場合は”任意保険を解約”
車売却をした時の任意保険の扱いは概ね2つあるのだが、次に車に乗る予定が10年以上ないという場合は解約するのが正解だ。この解約手続きをしないままだと、満期まで保険料を支払い続けないといけなくなるだろう。
解約手続きとしては各保険会社が設けている、カスタマーサービスに電話連絡をすればいい。
一括して保険料を先払いしているのなら、残存期間に応じた返戻金があるはずだ。毎月保険料の支払いをしているケースだと返戻金はない。任意保険では保険料が等級によって、大きく左右される。
解約をしてしまうと、次に加入する時は新規と同じ扱いになって6等級からスタートになるのだ。そのため老齢で車が必要なくなったなどのように、車にもう乗らないのなら解約でも問題ないだろう。
2.10年以内にもう一度車を乗る予定で売却は”任意保険を中断”
上であげた例とは違い、車売却をしたものの10年以内には再び車に乗る予定があるというのなら、中断手続きをするのがおすすめだ。なぜ中断なのかと言うと、最長で10年間は現在の等級が維持されるからである。
つまり7等級以上の等級であるのなら、中断をした方が次回加入する時に保険料の割引き率が高くなると言えるのだ。
反対に6等級以下の等級であれば、任意保険の中断手続きをする意味がない。ちなみに中断証明書は本人以外でも有効なのがポイントだ。
- 同居している親族である
という条件がつくが、仮に20等級の親が老齢で車に乗らなくなったという場合に、同居している子どもがいればそちらが親の等級を引き継ぐことができるためである。
自動車保険の”中断証明書”の発行方法
では任意保険の中断証明書の発行方法を解説していく。中断証明書を発行するには前提となる条件があるのであげておこう。
- 保険の等級が7等級以上であること
- 中断日までに対象車両の譲渡または廃車が完了していること
の2つが前提の条件となる。次に中断証明書の申請から発行されるまでの流れは以下の通りである。
- 任意保険を契約している保険会社に連絡をする
- 保険会社から郵送で中断証明取得依頼書が届く
- 依頼書の中にある返信用の封筒に必要書類を入れて返送する
返送した書類が保険会社に届くと、書類が揃っているかなどのチェックがあり、問題がなければ中断証明書が発行されるだろう。およそ1週間から3週間程度で手元に証明書が届くはずである。
車売却時に覚えておきたい自動車保険の返戻金
最後に車売却をした時にある自動車保険の返戻金を解説しておく。返戻金とは既に伝えているが、保険料の払い戻しのことである。残存期間に応じて支払われるのだが、自賠責保険と任意保険のそれぞれで扱いが異なっている。
自動車保険『自賠責保険』の解約返戻金
自賠責保険での返戻金には2つのパターンがある。
- 車買取業者で売却をした場合
- 廃車にした時のみできる解約返戻金
ここでは解約した場合の返戻金を調べてみた。原則として廃車にした時のみに解約ができるのだが、保険の残存期間に応じて返戻金の割合が決まる形となっている。
また普通自動車と軽自動車でも若干割合が違っている。
残存期間 | 普通自動車 | 軽自動車 |
---|---|---|
24ヶ月 | 23,220円 | 21,750円 |
18ヶ月 | 17,360円 | 16,260円 |
12ヶ月 | 11,490円 | 10,770円 |
6ヶ月 | 5,750円 | 5,390円 |
という割合だ。実際には1ヶ月単位で決まっているので、記載しきれなかった部分もある。
自動車保険『任意保険』の解約返戻金と計算方法
任意保険でも解約をした時には、自賠責保険と同じように返戻金が戻ってくる。ただ任意保険の場合は月払いと年払いの2つの支払い方法がある。月払いだと返戻金はないのだが、年払いをしている場合のみ定められた割合で返ってくる。
任意保険の解約返戻金は、年間保険料から短期率を分を差し引いたものと決まっている。短期率とは保険の残存期間によって異なる返還割合のことだ。
特別な手続きは必要なく、解約手続きをした時に同時に返戻金の手続きも行われている。仮に6ヶ月の加入で任意保険を解約したとしよう。
この場合に短期率は70%と決まっている。年間の保険料が10万円だとすると、短期率の70%を当てはめて、3万円が返礼される仕組みだ。
任意保険の短期率表
経過期間 | 短期率 |
---|---|
7日まで | 10% |
15日まで | 15% |
1ヶ月まで | 25% |
2ヶ月まで | 35% |
3ヶ月まで | 45% |
4ヶ月まで | 55% |
5ヶ月まで | 65% |
6ヶ月まで | 70% |
7ヶ月まで | 75% |
8ヶ月まで | 80% |
9ヶ月まで | 85% |
10ヶ月まで | 90% |
11ヶ月まで | 95% |
12ヶ月まで | 100% |
まとめ
車売却をした時に加入していた自動車保険の解約手続きはどうする? という情報をまとめてみた。自動車保険には自賠責保険と任意保険の2つがあり、それぞれで解約の扱いも異なっている。
自賠責保険は廃車にした時のみ解約できる形だ。売却したのみだと名義変更を行うのだが、車買取業者を利用した場合は業者側で行ってくれる。
任意保険の場合は10年以上車に乗らないのなら解約手続きをし、10年以内に乗るのなら中断の手続きをした方がいいだろう。