中古車の購入方法にはいくつか種類がある。そのうち最も知られているのが、中古車販売店だろう。今回解説するのはディーラで中古車を買うという方法だ。
ディーラーといえば、トヨペット、日産東京、ホンダカーズなど新車販売をメインとする業者だが中古車も扱っている。メーカー系列の販売店の中古車なので、信頼性が高いイメージも強い。
本文では、ディーラーによる中古車購入のメリット・デメリット、一般的な中古車販売店との違い、購入までの利用の流れなど様々な観点からディーラーの中古車について見ていきたい。
ディーラーで中古車を探す方法
町で見かける新車ディーラー店で中古車を取り扱っているが、どのような車が売られているのかは普通の販売店と同じくその時どきで事情が違う。
こんな車が欲しいと希望してそのディーラー店にない場合、他のディーラー店で探してもらうことは可能だ。
ただし、同じメーカーの看板を掲げているディーラー店でも、資本が異なる別の会社ということもあり、そういう業者間では取り寄せが不可能なケースもある。
ディーラーは希望に沿って好意的に探してくれるが、当然、本当なら自社の在庫から購入してほしいと思っている。取り寄せとなれば費用や手続き、時間と手間ひまもかかる。
こういう事情から、ディーラー店に足を運ぶ前にネット情報などでリサーチしておくのがいいだろう。
一例として、トヨタのディーラー店で中古車を探す方法を紹介しよう。
トヨタのディーラー店で中古車を探す
ネットで「トヨタ ディーラー 中古車」といったワードで検索してみると、ディーラーによる中古車販売情報を調べられるサイトが出てくる。
トヨタでは「GAZOO」や、新車情報も合わせたトヨタの総合ページから検索できる。ここでは後者を使って説明する。
トヨタのページに入ると、車種、ボディタイプ、価格、条件(走行距離、年式)などで検索できるようになっている。
この画像の時点では、「トヨタ認定中古車掲載台数 29,853台」「掲載台数 50,537台」「本日更新641台」となっている。
トヨタ以外のメーカーの中古車もあり
車種の検索で調べると、トヨタ、レクサス、その他国産車と出てきた。数でいえばやはりトヨタが多いが、他のメーカーも扱っている。
ディーラー店で新車購入する際、下取サービスがある。下取りした車を再販するため、他のメーカーの車も売られている。
トヨタ認定中古車とは?
トヨタ認定中古車とは、トヨタ独自の「3つの安心」をセットにしたトヨタ販売店の中古車ブランドだ。
- 徹底したクリーニング
- 車両状態の厳しい検査
- メーカー・年式問わず、1年間の走行距離無制限、1年間の無料保証、全国5000カ所での保証修理
この3つの条件を満たした中古車だけが、トヨタ認定中古車となる。
ちなみに、メーカーはトヨタだけに限らない。調べてみた時点では、ほぼトヨタ車だったが、スズキのジムニーがその対象となっていた。
取り寄せ可能な車両も確認できる
画像下部には「お取り寄せ車両を含む」「オンライン限定商品を含む」にチェックを入れることができる。
「お取り寄せ車両を含む」は遠方の車を近くの店で商談・受け取りできるサービスだ。これを検索することで、希望の車両が売られているか調べることが可能だ。
「オンライン限定商品を含む」とは、店には置いていないアウトレット中古車などを、約2週間限定でオンラインで販売するサービスだ。
これらにチェックを入れておくと、件数がかなり増えるので、選択肢も多くなって気に入る車も見つかりやすい。
車両情報をリサーチ
車両情報はもちろんのこと、販売ディーラー店、トヨタ認定中古車の有無、実車確認可能など細かな情報が記載されている。
車の品質情報も詳しく記載。
なるべく早く購入に向けて動きたい方のために、スピード商談予約も行っている。
気になる車両を見つけた場合、問い合わせフォームや電話から相談することもできる。
カーセンサーによる中古車ディーラー検索サイト「D-Ucar.net」も
特定のメーカーまで絞り切れていない場合、カーセンサーがプロデュースした「D-Ucar.net」というサイトを利用してみるのもおすすめだ。
ここでは中古車販売店ではなく、ディーラーによる中古車(メーカー系列販売店)に限定した情報が充実している。
国産車だけでなく輸入車の情報も検索できる。もちろん、ディーラー店限定だ。
中古車販売店とディーラー店の中古車の違い
最初にディーラー店での中古車探しについて解説したが、中古車販売店とどのような点が異なるのかを見ていきたい。
ディーラーとは自動車メーカー系列の新車販売店で、ある特定の自動車メーカーと特約店契約を結んだ業者を指す。
トヨタならトヨペット、トヨタカローラ店、ネッツ店など、日産ならかつてブルーステージやレッドステージなどがあり、ホンダならホンダカーズ、三菱ならミツビシモータースといった具合だ。
中古車については、展示車や下取り車などをメインとして販売している。
一方、中古車販売店では買取や、中古車販売業者が行うカーオークションで仕入れた車を販売。多くのメーカーを取り扱っている。
知名度の高い中古車販売業者といえば、ユーポス、ビッグモーター、ケーユー、カーセブン、ガリバーなどが挙げられる。
ディーラー店での中古車購入のメリットは?
ディーラー店での中古車購入の大きなメリットは「信頼性の高さ」と言えるだろう。質の良い車が揃っているのでアタリハズレが少なく、安心して車選びをしやすいのが特徴だ。
先述のトヨタの認定中古車でも見たが、車両は徹底して検査され、車両情報の透明性も高い。買ってからのロングラン保証など、購入後の万が一のトラブルにもしっかり対応してくれる。
修理などについても、トヨタのディーラー店ならトヨタ車に特化した自動車整備工場などで保証を受けられるので安心して任せられる。
後悔なく、安心して中古車を購入したいという方におすすめだ。
中古車販売店での中古車購入のメリットは?
ディーラー店はあくまでも、新車をメインに販売する業者だ。そのため、中古車販売は二次的な事業だと言えるだろう。
それに対して、中古車販売店では文字通り、その事業をメインとして活動している。競争が激しく、どの店も一台でも多く売るために価格を落としてでも買ってもらおうとする傾向が強い。人気の車でも、ディーラー店よりも積極的に値引きされることも多い。
そのほか、車種の充実もメリットだ。欲しいカラーやグレードなど細かな条件を満たした一台を見つけやすい。店によっては外車専門店など特定の車種にこだわった店もあり、店選びから選択肢が広い。
ディーラー店での中古車購入のデメリットは?
ディーラー店でも全国から取り寄せ可能なので選べる車両は豊富だが、基本、そのメーカーの車種が中心となる。
特定メーカーを最初から限定している人にとっては問題ないが、買取店のように他メーカーとの比較ができないのがデメリットと言えるだろう。特に価格重視の方にとってはリサーチしにくい面がある。そのため事前にネットで価格相場などをチェックしておくといいだろう。
もう一つ、販売価格が少し高めに設定されているのも、人によってはデメリットとなる。
良質な中古車かどうかを厳しく審査し、充実した保証を付けて販売するため、極端に値引きされた車両は少ない。とはいえ、価格という指標だけで見た場合、中古車買取店のように古い年式や走行距離の長い車が安価で売られているので、価格帯の選択肢が狭いというわけでもない。
中古車販売店での中古車購入のデメリットは?
車両状態の良し悪しにムラが出やすいのがデメリットだ。それを買い手が見極めにくいケースもある。
中古車販売店だと選択肢が多い分、例えば価格の安さばかりに気を取られて、購入後、乗り心地の悪さなどマイナス面にようやく気付いて後悔したというようなこともある。
また、中古車販売店といっても、全国展開する大手業者から、地域密着型の店まで様々なタイプのものがある。場合によっては、悪徳業者によって質の悪い車を買わされてしまうこともなくはない。
購入後の保証やサポートについても、販売業者によって対応が全く異なる。ディーラー店の場合、保証まで含めたトータルで車を販売しているようなスタンスだが、中古車買取店では特典サービスのような扱いで、保証、修理・メンテナンスなどそれほど徹底されていない業者も少なくないだろう。
ディーラー中古車の展示車、試乗車、新古車とは?
ディーラーで販売されている中古車について気になる方もいるだろう。ディーラーでは下取りや外部から仕入れた車両も売られているが、展示車や試乗車など新車に近い状態の車両に興味がいく。
展示車とは?
展示車は、ディーラーで展示されている車両だ。
店の敷地内で車内に乗ることはできるが、ナンバープレートが取得されていない未登録の新車なので、試乗で公道を走ることはできない。来店した客がシートに座ったりハンドルを握ったりするが、走行していないので新車に近い状態の車だ。
価格については値引きして販売されており、車両状態を考えるとお得感がある。
ディスプレイして客を引き付ける必要性から、人気のカラーやグレード、メーカーオプションなどで設定された車両が多く、そういう条件でも満足のいく車を見つけやすい。
試乗車とは?
試乗車は展示車と違って、公道で走って試乗する車だ。
ナンバープレートを取り付けて新車登録も行っている。おおよそ1年くらい試乗車として使用されたのち、中古車として販売されるケースが多い。その期間から考えた場合、走行距離については数千キロから一万キロ以内くらいで、一般的な中古車よりも新車に近い車両だ。
仮にそこそこ走行距離が長かったとしても限定された用途のみで走るうえ、ディーラーによって定期的な点検整備もされているので、質の高い車が多い。
展示車と同じく、試乗によって客に気に入ってもらうため、人気なカラーやグレード、フルオプションなどで設定された車である可能性も高い。
新古車とは?
新古車とは、前オーナーがいない新車に近い中古車のことだ。試乗車や展示車をこの言葉で指すことが多いが、他にも、ディーラーが新車をナンバー登録してから売りに出した車両なども含まれる。
ディーラーはノルマが課されており、販売数(登録数)を満たすため、自社で新車をナンバー登録することがある。
新古車という言葉はよく聞くが、販売する際、新古車という表現で売り出すことは禁じられているため、中古車として出回っている。
中古車購入の利用の流れ
ディーラーで中古車を購入する際の流れを追ってみよう。
1.希望の中古車を探す
メーカーや車種が決まっている場合には、特定メーカーのサイトをチェックすることから始めるのがいいだろう。
もし具体的な希望が定まってなければ、ボディタイプやメーカー、予算範囲などから絞っていくといい。ただし、あまり細かな条件を設けてしまうといざ情報収集する時になかなか見つかりにくいので、ある程度大まかな希望を出しておく方がスムーズだ。
様々なメーカーで比較したい場合など、先に紹介した中古車ディーラー検索サイト「D-Ucar.net」などを活用すると検討しやすい。
2.車両情報の確認と見積もり依頼
サイトなどで気になる車両を見つけたら、価格、年式、走行距離、車検、品質情報などを確認し、納得がいけば見積もりを出してもらおう。
サイト情報を見ると、本体価格ばかりが目につくが、実際の支払いは法定費用、販売店の手数料など諸費用などがかかってくる。そのほか、税金、駐車場代、メンテナンス費用、車検費用なども必要になってくるので、それも込みでの予算設計をしておこう。
支払い方法もあらかじめどのようなタイプがあるかチェックしておくのもいいだろう。残価設定型クレジットや自動車ローンなど、購入後の支払い方についても不明な点があれば、相談する準備をしておこう。
3.契約成立後、必要書類を準備
実際に車両を見て契約を結んだ後、書類の準備が必要だ。
- 免許証・実印
- 印鑑証明書(役所)
- 車庫証明書(取得は代行可)
- 自動車検査証(準備不要)
- 自賠責保険証・委任状(準備不要)
実印は、市役所で印鑑登録しているものなので注意が必要だ。
このなかで、自分で取得しなければならないのは「印鑑証明書」くらいだ。
軽自動車を購入する際には以下の必要書類になる。
- 印鑑(認印)
- 住民票(1枚)
- 自動車検査証(準備不要)
- 自賠責保険証・委任状(準備不要)
「認印」は宅配の受取などに使う印鑑のことだ。住民票は市役所で発行する必要がある。
なお、ローンを組む場合には運転免許書などの身分証明書や収入を証明する書類を用意することになる。
4.手続きが完了後、納車
手続きが完了したら納車になるが、その期間は一週間から二週間ほどは見ておくのがいいだろう。状況によってはもう少し伸びてしまう場合もある。
ディーラーで中古車を安く購入できる時期は?
一般的には以下のように新車・中古車で安くなりやすい時期が異なっている。
新車・中古車が安く購入できる時期 | |
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新車 | 中古車 |
【3月】 →企業の決算期で、国産自動車メーカーのディーラーが総力を挙げて激安キャンペーンを打ち出す |
【4月5月/10月~12月初め】 →新車購入による買い替えにより中古車が中古車市場に流れ込む |
【9月】 →半期決算で割引セールを行う |
3月の決算期にディーラーは車をたくさん売ろうと値下げを行う。買い替え時、現在乗っている車が下取り・買取に出されて中古車市場に流れていく。そのため、中古車市場では4月頃から中古車の供給量が増えて、価格が安くなりやすい。
ただしディーラー店での中古車購入の場合、決算期である3月あたりから価格の変動をチェックしておくといいだろう。
まとめ
この記事ではディーラーによる中古車購入のメリット・デメリット、一般的な中古車販売店との違い、購入までの利用の流れなど様々な観点からディーラーの中古車について見てきた。
ディーラーとは自動車メーカー系列の新車販売店で、ある特定の自動車メーカーと特約店契約を結んだ業者を指す。展示車や下取り車などをメインとして中古車販売を行っている。
ディーラー店での中古車購入の大きなメリットは「信頼性の高さ」。質の良い車が揃っているのでアタリハズレが少なく、安心して車選びをしやすいのが特徴だ。
ディーラー店でも全国から取り寄せ可能なので選べる車両は豊富だが、基本、そのメーカーの車種が中心となる。良質な中古車かどうかを厳しく審査し、充実した保証を付けて販売するため、極端に値引きされた車両は少なく、価格帯が少し高めな傾向がある。