中古車の売買を行う店によっては取扱い車種を限定していることがある。その中でも輸入車に特化している店は「輸入中古車専門店」と呼ばれる。

たとえば街中を歩いている時に中古のベンツやBMW、アウディだけが並ぶ店を目にすることは珍しくないが、そういったものは輸入中古車専門店と考えて間違いない。

特にディーラーの店の場合は自動車メーカーと契約していることから、そのメーカーの車種をメインに売買することになる。もちろんディーラー以外の店でも輸入中古車専門店は存在する。

輸入車に特化したサービスを提供しているだけに輸入車を売る際はこの「輸入中古車専門店」を利用するケースが多い。

輸入中古車専門店ではなくても輸入車を売ることはできるが、日本は自動車大国なので他の店だと基本的に輸入車の需要が低い。そのため、輸入車の売却を持ち掛けてもあまりいい顔をされないのが普通だ。

だが、輸入車を喜んで受け入れるはずの輸入中古車専門店でさえ確実に買取価格が高くなる保証はない。「専門店だから高く売れるだろう」と気楽に考えていると思わぬ失敗にあうかもしれない。

ただし、一般的な買取店とは違って輸入車を確実に売れる安心感はある。一般的な買取店は輸入車のノウハウがない上に販売ルートも確立されていないことが多いので、売れるかどうかは実際に話をしてみなければわからない。

輸入中古車専門店は正規ディーラーと販売店の2種類を選ぶことができるが、それぞれ時期によって輸入中古車の取引への積極性が異なる可能性がある。

そのため、輸入中古車専門店を利用する時は最も買取に積極的な姿勢を見せるところを探すといいだろう。

専門店の買取価格は意外と低い

カーショップ

たとえばベンツであればベンツの売買を専門に扱う輸入中古車店で買取を任せた方がいいように思うものだ。しかし、実際にそうした店でベンツを査定に出しても思ったより査定額は高くならない。

一般的に専門店というと買取価格が高くなるのが常識だ。そうでなければ専門店としてのメリットがなくなり、サービスを利用する人がいなくなってしまうからである。

しかし、輸入中古車専門店に関しては事情が違い、買取価格を高くしにくいさまざまな理由がある。そのため、いきなり輸入中古車専門店を利用してしまう前にそれらの事情や理由について調べておくのが賢明だ。

メインは輸入中古車を販売することだから

契約成立

買取価格が思ったよりも低い理由のひとつは、輸入中古車専門店が「輸入中古車を販売すること」をメインサービスにしている点だ。

「専門店」という名がついているが、実はこれは販売を専門に扱っているということを意味しており、買取専門というわけではない。ここは輸入中古車専門店を利用する上で非常に勘違いしやすいことなので、気をつけるようにしよう。

一般的に中古車の売買で利益を出すにはユーザーからできるだけ安く車を買い、できるだけ高く別のユーザーに売る必要がある。

もしユーザーの車を高く買ってしまったら販売時の価格をそれ以上に釣り上げることになるが、そういったことをすると今度は買い手が現れず売れ残る可能性が高くなる。

輸入中古車専門店はこのジレンマによって半ば必然的に買取価格を低くしているのだ。

ユーザーから高く車を買い、安く販売するには特殊な販売スタイルをとる必要がある。たとえば、買取専門店である「ガリバー」は買った車が一定期間売れない場合、自動的にオークションに出品するシステムを採用している。

これによって車の在庫を自社で抱え込まずに済み、在庫の整備や保管、管理などにかかるコストを削減し、高価買取に繋げているのだ。

しかし、当然だが、輸入中古車専門店の多くは買い取った車を在庫として長期間保管し、店頭で販売するスタイルをとっているため、コストがかからざるをえない。

国産に比べると流通量が少なく市場が読みにくい

アイパッドのグラフを見る女性

輸入車は国産よりも流通量が少ない。そして流通量が少ないと市場が読みにくくなる問題が起こる。

普通の買取店の場合、ユーザーから買った車の大半をオークションに出品して売ることになる。そのため、買取を行う時はオークション相場を考えて査定額を調整する傾向がある。

国産車は流通量が多い分、参考にできる取引データが充実しており、必然的に市場も読みやすい。そのため、恐れずにがんがん高価買取を目指すこともできる。

だが、輸入車は参考にできる取引データが少なく、オークション相場がどのくらいなのか把握しづらい。そういった状況で高価買取をするとオークション相場が予想と違った時のリスクが大きくなるので、どうしても買取価格は控えめになる。

あらかじめ極端に安い価格で輸入車を買い取っておけば、たとえオークション相場が低かったとしても確実に輸入車専門店は利益を出すことができるわけだ。

日本は国産車のシェアがすごいというだけで、輸入車のシェアが極端に少ないわけではない。その証拠に海外自動車メーカーの多くは日本を重要なマーケットとして見ている。

だが、日本自動車輸入組合の公式サイトにある統計情報を見る限り、輸入車の日本市場は基本的に横這いなので、これから状況が変わるとは思いにくい。

そもそも需要が少ない

PCの前で落ち込む男性

輸入車の需要の低さは普通の買取店だけでなく、輸入中古車専門店においても影響を受けている。

需要が低いということは在庫が売れ残る可能性が高いということなので、その分在庫の整備や保管、管理などにかかるコストがかさむ。コストがかかれば当然その分、輸入車の買取価格を低くして調整しなければならない。

日本で輸入車の需要が少ないことにはさまざまな理由がある。たとえば単純に日本は自動車メーカー同士の競争が激しく、魅力的な商品が次々と生まれている背景がある。

その中で輸入車が売れるには国産車と同等以上の魅力を持っていなければならない。そこまでのレベルに達する輸入車は国産車と比べるとどうしても少なくなるのが現状だ。

それからコストの問題もある。輸入車は国産車よりも故障しやすいイメージがあるが、近年は頑丈なものも増えている。

しかし、メーカー保証が切れていると修理時に高額の費用を支払わなければならないので、故障した時のコストが増えやすい。

また輸入車はハイオクガソリンが燃料になっていることが多い。ハイオクガソリンは国産車では一般的な通常のガソリンよりも高いので、走れば走るほど国産車とのコストの違いが明確になってくるのである。

輸入中古車専門店で高く売れる場合

メモを書く男性

輸入中古車専門店は車種を特化しているわりに意外と高く売れないということを書いてきたが、実はケースによっては高く売ることもできる。

しかし、これは一定の条件を満たした時のみの話なので、いつでも通用する事実とは思わない方がいいだろう。条件を満たすチャンスがあれば積極的に生かしていきたいところだ。

ちなみに輸入中古車専門店で高く売れるかどうかは売りに出す車種と利用する専門店の体制に左右される。

そのため、車種と専門店の両方が高く売れる条件を満たしていればかなりの高価買取になる可能性もある。

人気メーカーの車

白のベンツ

ベンツやBMW、アウディなど、人気メーカーの輸入車であれば輸入中古車専門店で高く売ることができる。

なぜかというと、これらの人気メーカーの車は日本国内のニーズが高く、輸入車の買取デメリットのほとんどを解決できるからだ。

まず人気メーカーの輸入車は国産車と比べても引けを取らないほどに流通量が多い。そのため、他の輸入車のようにオークション相場の動向が読めずに買取店が買取価格を引き下げる必要もないわけだ。

それから人気メーカーの輸入車は売れ残りの心配があまりない。新たに在庫を増やしたとしても次々と売れていく可能性が高いため、無駄な在庫の維持コストがかからない。

それで浮いたコストはガリバーの販売システムと同様、買取価格のアップに回される見込みがある。

データ

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輸入車に対して高いノウハウを持つ店舗

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輸入中古車専門店とひとくちにいってもさまざまなものがあり、実際にノウハウをどれくらい持っているかは利用する店次第である。

もしかすると専門店にも関わらずスタッフが輸入車のことをよく知らないということもあるかもしれない。

基本的にはどの輸入中古車専門店も一定以上の知識や技術を持っているものだが、取り扱う車種によってはかなり高度なノウハウを求められることもある。

特にそれはフランス車やイタリア車において顕著だ。というのも、フランスやイタリアの自動車メーカーは製品の細部に独自の技術を利用していることが多く、専門的なスキルや専用パーツがなければ修理や整備を行えないからである。

それだけのノウハウを持っている輸入中古車専門店であれば自信を持って輸入車を買い取ることができる。

なにしろ輸入車を買い取った後に整備をしっかり行って品質を保ちつつ、売却先を探して確実に利益を出せる見込みがあるからだ。そういう余裕がある分、買取価格は高めになる。

ではどのような店舗が輸入車に対して高いノウハウを持っているのかという話だが、間違いがないのは大手業者の店舗である。

大手業者の店舗なら長年の経験に培われたスキルや広いネットワークを生かした情報収集能力があるので期待できる。

輸入専門店(ディーラーの下取り)の方が高くなる場合も

お金の取引

通常、ディーラーに対して輸入車を下取りに出すと、下取り価格が低くなる傾向にある。

その理由は一般的な買取専門店と同じく、輸入車は単純にコストがかかりすぎるので、その調整の結果、下取り相場が安く推移しているわけだ。

だが、輸入専門のディーラーによっては例外として下取り価格が高いところもある。そういったところで査定を受ければ輸入車買取専門店よりも高く売れる可能性が出てくる。

といってもそれはごく限られたケースの話であり、基本はディーラーの下取りで輸入車の高価買取を目指すことは諦めた方がいい。

メリットはメーカーと契約しているディーラーならではの安心感だけということにしておき、他のメリットはあったらラッキー程度に考えておけば十分だ。

ベンツ・BMW・アウディは買取に積極的

黒い車

輸入専門のディーラーにおいてもベンツ・BMW・アウディといったドイツ車は積極的に買い取られている。

たとえばアメリカ車はトランプ大統領が「閉鎖的だ」というほど日本でシェアを獲得できていないが、ドイツ車に関してはむしろシェアの拡大を続けている。

日本で「輸入車」といった場合、そのほとんどはドイツ車のことを指すといっても過言ではない。

実際に数字で見てみると日本自動車輸入組合「輸入車新車登録台数速報」の発表では外国メーカー車の2016年度の販売台数は29万5,114台となっている。そのうちベンツは6万台、BMWは5万台、アウディは2万台を超えている。

つまり、ドイツ車はこの3台だけで日本の外国メーカー車のシェアの3割以上を獲得しているわけだ。これだけの市場ができているのならディーラーが買取に積極的になるのも頷ける。

基本的に輸入中古専門店での買取は安くなるケースが多い

交渉

輸入中古車専門店での買取は新車なら高価買取を目指すことができるが、数年でも経過すると基本的に買取額は安くなる。

輸入中古車は特定のユーザー層から好まれるので、まったく市場で必要とされないわけではない。しかし、全体としてはどうしても癖が強いため、店にとっては取扱いが難しくなる。

特に年式が非常に古いものや修理の難しい故障がある輸入車の場合、高価買取は絶望的になるだろう。そういった車は人気の車種だとしても買取評価額が低くなるので、ますます不利にならざるをえない。

大切なのは「輸入中古車専門店」の名を過信しすぎないことである。専門店という表面的な名前に期待しすぎていると後で泣きを見る可能性が高い。

そのため、まずは先入観を持たずしっかりと輸入中古車専門店の真実を知ることが最優先だ。

その他の専門店も同じように買取額は低くなる傾向がある

ヨーロッパのお金

中古輸入車を扱う専門店は輸入中古車専門店以外にもさまざまなものがある。

そのため、どうしても専門店を利用したい時、なおかつ輸入中古車専門店を利用するのを避けたい時はそれらの専門店で輸入車を買い取ってもらうという方法もありえる。

たとえばどのような専門店があるかというと、輸入中古車専門店の他には軽自動車専門店やアメ車専門店、未使用車専門店といったものがある。

近くにこれらの店があればどのような買取を行っているのか調べてみるのもいいだろう。

ただし、注意しなければならないのはこれらの専門店についても輸入車の買取額は低くなる傾向があるという点だ。

そのため、実際のところは輸入中古車専門店を利用しようが、別の専門店を利用しようが大差はない。

軽自動車専門店

ディーラー

軽自動車専門店で輸入車を売る場合は当然ながら軽自動車の輸入車でなくてはならず、普通の輸入車は取り扱っていないことに注意が必要だ。

しかし、そもそも軽自動車という規格は日本のみのもので、外国にはそういった規格がない。

また日本では軽自動車がなじみ深いので、軽自動車も世界に輸出されているように思いがちだが、実は輸出もほとんど行われていない。

ごく一部輸出されているものも車体のサイズやパーツが取り換えられており、日本の軽自動車の規格に適合しないのが現実だ。

そのような事情があることから輸入車で軽自動車の規格を満たす車種は非常に限られてくる。当然それだけ市場は小さくなり、軽自動車専門店で輸入車を売ろうとしても買取価格は極端に低くなる。

輸入中古車専門店

黄色の車

輸入中古車専門店では店頭販売の他にバックオーダーという売り方を行っている。バックオーダーというのはあらかじめ顧客が求める車を聞いておき、それに合致する車があればそれを仕入れて顧客に売るという方法だ。

わざわざ店にリクエストを出すくらいなので、オーダーを出した顧客は多少価格が高くなってもその車を買おうと考えている。

それだけにバックオーダーに該当する車の査定依頼が来れば、輸入中古車専門店も多少買取額が高くなっても査定額を引き上げる傾向にある。

しかし、そのこと自体は間違いではないものの、ひとつ問題がある。輸入車は日本で流通量が少ないので、顧客からバックオーダーが出ることも少ないのだ。

そのため、輸入中古車専門店に輸入車の査定依頼を出した時にその車がバックオーダーに該当する確率はかなり低くなり、結局買取価格は低くなってしまう。

その時にどのような車種のバックオーダーが出ているかは店の公式サイトで公開されていることもある。

あらかじめ各店のサイトを確認しておき、自分が売りたい車のバックオーダーが出ている店があればそこに売るのも買取価格を高くする方法のひとつだ。

アメ車専門店

ホイール

アメ車専門店はアメリカ産の車のみを扱った店である。当然ながら、輸入車は輸入車でもアメリカ車の輸入車を買取ってもらいたい時にしかこの店は利用できないことに注意しよう。

アメ車は見た目のデザインの良さや高級感、ボディ・パーツのダイナミックさが魅力だ。それだけに購入費が高くなろうとも所有したいと思うマニアが多くいる。

しかし、ボディ・パーツが大きいために取り回しや燃費が国産車に大きく劣る。これらのデメリットがあったとしてもアメ車を選ぶ日本人は少ない。

そうなるといくらアメ車専門店でもアメ車の輸入車の買取価格を高くするのは難しい。

未使用車専門店

カーショップ

未使用車専門店は未使用車を専門に扱う店である。未使用車というのは新車登録の届け出が済んでいて、なおかつ一度も使っていない車のことを指す。

名義変更の必要こそあるものの、未使用車は扱いこそ中古車ではあれ、状態は新車とほとんど変わらない。

しかし、普通のユーザーが未使用車を売るケースは少ない。未使用車のほとんどはディーラーが販売台数を増やすために故意に生み出されているものである。

どういうことかというと、ディーラーは販売台数に応じてメーカーからボーナスがもらえるので、売れない車は自社で買って未使用車にすることでボーナスを獲得する。

そのため、未使用車の輸入車を高く買おうとする未使用車専門店はほとんどない。そんなことをしなくても在庫は上記の手続きで自動的に手に入るからだ。

高価買取なら買取専門店(一括査定)を利用するのが無難

タブレットを使う男性

輸入車の買取価格を高くする方法で最も無難なのが買取専門店を利用することだ。買取専門店は車の買取を積極的に行うことから、査定価格も甘くなる。

そうでなければわざわざ買取専門店を利用しようと思うユーザーがいなくなるからだ。

ただし、それでも買取専門店のすべてが買取価格を高くしてくれるわけではない。

輸入車の販売ルートの確立や在庫コストの削減といったさまざまな工夫を経てはじめて高額買取が可能になるだけに、まずは条件に会う買取専門店を探す必要がある。

輸入車の高額買取ができる買取専門店は一括査定を利用すれば見つかる可能性が高い。

実際にその買取専門店がどれくらいの査定額を出すかは査定を受けてみるまではわからないため、複数の買取専門店を利用するのは必須だが、一社一社依頼を出すのは大変だ。

そこで依頼の手間が省け、しかも査定金額を競合させられる一括査定のメリットが活かせるわけである。

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まとめ

契約書にサイン

輸入中古車専門店は輸入中古車を専門で扱う店である。一見、輸入車の買取価格が高くなりそうだが、意外と低いのが現実だ。

その理由には輸入中古車の買取よりも販売を重視していること、輸入車は流通量が少なくて市場が読みにくいこと、そもそも需要が少ないことなど、さまざまなものがある。

ベンツやBMW、アウディといった日本で人気が高いドイツ車を売る場合や、輸入車に関わるノウハウを豊富に持っている輸入中古車店を利用する場合など、一部の条件では買取価格を高くする方法もあるが、基本的には高額買取はあきらめた方がいいだろう。

輸入車を売るのにおすすめなのは買取専門店である。

買取専門店は輸入車専門店とは違い、販売よりも買取を重視している店であるため、あらゆる点で買取を任せるメリットが大きい。

買取専門店を利用する時は一社一社個別に依頼をするのではなく、一括査定で複数の店に同時に依頼を出すようにしよう。

買取専門店は必ずライバルを出し抜いて自社で車を買い取りたいと考えているので、複数の店に依頼を出せば互いに査定額を引き上げ合ってくれる。

そうすればたとえ通常は査定額が低い輸入車でも気づけば高額買取になっている可能性が高い。