中古車は一台として同じ状態の車がないため、同じ車種でも買取価格が違うことは広く知られている。
そこで気になるのが、買取業者は実際にどうやって査定価格を決定しているかということである。
実は、中古車の査定には明確な基準がある。日本自動車査定協会(JAAI)の定める中古自動車査定基準がそれだ。
手順 | 内容 |
---|---|
STEP1 | 査定する中古車と同じ年式・グレードの市場での実績から小売価格を算出 |
STEP2 | 各社が設定する利益などを加えて調整 |
STEP3 | 査定する中古車と同じ年式・グレードの査定基準価格を算出 |
STEP4 | 査定する車の標準状態の基本査定価格を調査。傷や凹みなどによるマイナス部分、オプションのプラス部分もチェック |
STEP5 | 査定士によって加減点を加味した上で査定価格を決定 |
同じ条件の車ならどの業者が査定しても基本的な価格に大きな違いはない。
しかし、最終的な価格算定には、自社の利益やその時点の流通事情も加わるため、業者によって差が出るのが現実である。
となると高額買取を狙う場合、なるべく多くの業者に査定を依頼し、比較検討することが重要になってくる。
買取価格をアップさせる方法 | |||
---|---|---|---|
方法 | おすすめ度 | ||
一社の買取業者と交渉 | 交渉が難しくなる | ||
複数の買取業者を回って交渉 | 時間・労力がかかる | ||
車一括査定を利用 | 短時間で複数の業者を比較できる |
査定価格算定のプロセスはどの中古車屋でも同じ
車の査定価格が算定されるまでにはさまざまな要素が加味されるが、基本的にそのプロセスはどの中古車買取業者においても同じである。
まずは査定する車の小売価格がベースになるのは容易に想像できるだろう。いくら状態の良い車両でも軽自動車に100万円もの値が付くことはない。逆に高級車なら、多少状態が悪くても軽自動車の新車価格以上の買取価格が付くこともある。
中古車査定では、その小売価格をベースに、その車が標準状態にある時の基本査定価格に照らしながら、査定でチェックされる個々の車両のプラス評価・マイナス評価を加味したうえで、さらに自社の利益を加えてから最終的な買取価格が算定される。
このプロセス自体はどの業者の査定でも同じだ。しかし、たとえまったく同じ条件の車だとしても、査定する業者によって査定価格には違いが出るものである。
査定での加減点は日本自動車査定協会による基準があるものの、その加減点がどのように金額に反映されるかは業者ごとに異なるからだ。
査定価格・買取金額が決まるまでの流れ
査定価格算定のプロセスはどの中古車買取業者でも同じだと書いたが、具体的にどのような流れをたどって最終的な価格が算定されるかを見ていこう。
大まかな流れは以下の通りである。
この流れを参考に、その個々のプロセスにおいて、買取業者がどのように価格を算出しているかを解説していこう。
後で表にまとめているが、細かくわけると手順は5つある。まずはおおまかな流れを見て頂きたい。
1.査定基準価格
まずは査定する車の基準価格を算出する。査定基準価格とは、その車の中古車市場での販売価格の相場を元に算出される価格のことだ。発売時の定価が高くても、現在人気のない車種なら中古車の販売価格は高くない。
逆に、人気があるのに中古車の流通が少ない車種であれば、中古車市場で高値で取引されているということもある。
査定価格の基準はほぼ車種によって決まると考えてよいだろう。ただし、同じ車種でも、年式やグレードが違えば中古車の流通価格に大きな違いが出る。
ただ、年式とは車検証に記載される初年度登録年月のことであり、メーカーが発売した年ではないため、極端に古い車でなければ大きな差は出ない。しかし、グレードの違いは大きな価格差を生む。
車のグレードとは、たとえばプリウスなら「G」「L」「S」など、同じ車種でも内装や装備の違いによって分かれている種類のことだ。
車種によっては細かくグレードが分かれているものもあり、最上級グレードと一番下のグレードでは数十万円も差が付く車もある。
このように、同車種・同年式・同グレードの中古車市場における販売価格の相場をチェックし、その相場を元に査定する車の基準価格を決めるのである。
2.各社設定で独自調整
査定基準価格を決定したら、次に標準整備費、標準諸掛け、特別調整費を加算して業者ごとの基本価格が算出される。
標準整備費とは足回りやエンジン、電気回路などの整備にかかる費用のことであり、標準諸掛けとは車の仕入れや輸送にかかる費用のことだ。
また、仕入れから販売の間の保管費用なども日数に応じて計算される。中古車を仕入れてから販売するまでには、こうした必要な費用と業者の粗利も査定基準価格に上乗せされるのである。
また、特別調整費とは、販売時に設定する保証期間に必要な費用のことだ。部品調達費用や整備を外注する業者では外注費用なども含まれる。
たとえば1年の保証を付けて中古車を販売するならば、その1年間にかかる必要な費用が特別調整費に当たる。この特別調整費がいくらになるかは、中古車業者ごとの事情が大きく反映されて決まる。
商品の回転率が高い業者であれば、これらの費用を低く抑えることができるため、査定価格を高く設定しても利益を出すことが可能だ。
このように、最初に算定された査定基準価格に、これら標準整備費、標準諸掛け、特別調整費を加味して基本価格が決まるのである。
3.基本価格
先のステップで説明したように、中古車査定における基本価格とは、査定基準価格に業者ごとに規定している標準整備費、標準諸掛け、特別調整費を加算した価格のことであり、標準状態にある車の価格とも呼ばれる。
標準状態にある車とは、年式相応であり改造等のない状態の車のことだ。査定士が車を査定する時は、この標準状態にある車とこれから査定する車の状態を比較して、標準状態の車より状態の良い部分、劣る部分をチェックしていく。
標準状態より良い部分はプラス査定として基本価格に査定額が上乗せされ、逆に劣る部分はマイナス査定として減額される。
つまり、基本価格を高く設定できる業者に査定してもらう方が、同じ状態の車でも高額の査定価格が付くということだ。基本価格は先に説明したように、整備費用などに加えて業者の販売力などそれぞれの事情が色濃く反映される。
長期間在庫を抱える業者よりも、独自のルートを生かして在庫管理の必要がないほど短期間でさばける業者の方が、その分の経費を節約できるため基本価格を高く設定できるわけだ。
4.査定士による加減点
査定士が車を査定する際は、先にも触れたように、標準状態にある車と査定する車の状態を比較して、プラスの項目・マイナスの項目をチェックしていく。
プラスの項目があると加点され、マイナスの項目があると減点されるというわけだ。たとえば、外装にキズやへこみがあれば、その具合に応じて減点がなされる。
キズやへこみがあちこちにある車なら、各部品ごとにチェックされるため、減点数が増えてしまう。逆に外装が無傷なら加点されるかというとそうでもなく、もともとの車の状態は無傷であることが基本であるため、加点も減点もされない。
ほかには、走行距離が少なかったり珍しいオプションが装備されていたりといった、標準状態にある車より評価できるポイントがある車なら、それに応じて加点されていくといった具合だ。
なお、査定には日本自動車査定協会の定める査定基準が用いられるため、査定士ごとに大きく評価が変わるというようなことは基本的にはない。こうして査定士がチェックした加減点を基本価格と合算して、次の査定価格・買取価格の決定に進む。
5.査定価格・買取価格決定
査定によって、外装のキズやへこみ、内装の汚れ、修復歴の有無などを細かくチェックし、それに応じて付けられた加減点を基本価格と合算することで、最終的な査定価格、すなわち買取価格が決定する。
なお、加減点の項目は、日本自動車査定協会が車の機能や部品などの状態に応じて50以上の項目に分けて基準を設定している。
査定が終わったら、すべての加減点を合算し、それに車種によって決まっているクラス係数を掛けて算定される。
クラス係数とは、たとえば軽自動車なら「軽」、トヨタ・プリウスなら「Ⅲ」といったもので、車種の違いにかかわらず適正な査定額を出すために定められた数値のことだ。
たとえば軽自動車と高級車で外装に同程度のキズがあった場合、それを修復するにもかかる費用が大きく変わってしまう。
高級車のパーツの方が軽自動車より高価なのはお分かりだろう。車種によって基準にも差異を設けないと、適正な査定価格が導き出せないのだ。
こうしたプロセスを経て、加点・減点1点ごとに金額に換算し、それを基本価格と合算して提示される買取価格が決定されるのである。
査定基準価格とは市場での取引実績を元に決定した標準的な状態の車の価格のこと
(出典:日本自動車査定協会「査定の方法」)
査定基準価格とは、日本自動車査定協会(JAAI)が市場での取引実績を元に決定した標準的な状態の車の価格のことである。
国産車と輸入車に中古車をグループ分けして、それぞれの査定基準価格を毎月設定し直している。
査定基準価格が適用されるのは標準的な状態の車と書いたが、詳しく書くと以下の項目にすべて当てはまるものだ。
- 内装・外装ともに無傷
- エンジンと足回りが走行に支障のない状態
- 車検期間が残り3カ月以内
- 走行距離が標準(年1万キロ以内)
- タイヤの溝が1.6ミリ以上ある
- 修復歴、改造歴、臭いや腐食など損傷減価要因がない
これらすべてに当てはまる状態で、保安上の重要な部分については定期点検整備を、それ以外は軽装備を要する中古車を標準状態Bとする。
定期点検整備が実施されており、それ以外の部分についても年式に応じた状態の車については標準状態Aとされる。標準状態AとBで査定基準価格に違いがあるが、中古車の査定においては圧倒的に標準状態Bが多い。
この査定基準価格を元に、各中古車買取業者は自社の事情を反映した基本価格を設定する。
整備が必要な車なら、販売するために標準的な整備をしなければならないので整備費用がかかる。部品の交換が必要であれば部品価格も加わる。
(出典:日本自動車査定協会「査定の方法」)
また、在庫状況や回転率、販売力などの違いによっても、調整費用として各社が決定する費用も計上される。
こうした各種コストと利益を査定基準価格から引いた金額が基本価格になる。整備体制や販売ルートなど業者ごとの特色が表れる部分である。
なお、インターネットには車の情報を入力するだけで買取金額を提示する簡易査定のサービスがあるが、そこで提示される金額は査定基準価格から導かれる基本価格と走行距離を考慮して算出された金額である。
実際の査定ではそこから加減点のチェックが行われるため、たいていは簡易査定で提示される査定額を下回ることになるものだ。
査定基本価格とは業者によって異なる
中古車買取業者によって同じ状態の車でも査定価格に違いがあるといっても、最終的な提示額に達するまでのプロセスは共通している。
業者が客の足元を見て価格を自由に決定しているわけではない。では、なぜ業者によって査定価格に違いがあるかというと、査定の基本価格が違うからである。
先に解説した通り、標準状態にある車を査定基準価格とすることは共通だが、業者によって仕入れた車の販売までのコストや利益の取り方に違いがあるため、査定で基本となるのは、それらを考慮して決定される査定基本価格となるのである。
つまり、査定基準価格は日本自動車査定協会が定めるため同じだが、査定基本価格は業者によって異なるのである。
標準状態にある車(加減点がない車)に各社規定の査定額
査定基本価格は、標準整備費、標準諸掛け、特別調整費を加味して、査定基準価格を元に各中古車買取業者が設定する価格のことである。
エンジン、足回り、電気系統などメンテナンスにかかる費用、業者の標準的な見込み利益、査定から販売までの日数に応じた減価分などが標準整備費と標準諸掛けである。
特別調整費とは、部品価格、外注価格、保証期間にかかる費用、在庫の回転率、販売力などを考慮して各社が調整する費用のことだ。
販売力のある業者の方が特別調整費を抑えやすい。この基本価格を元に実際の査定で加減点をチェックし、最終的な査定価格が決定される。
標準状態にある車の定義
中古車の査定は、基本的にはどの中古車買取業者の査定でも、日本自動車査定協会の規定する査定基準をベースに行われる。
この査定基準とは、その車の標準状態を定義し、その標準状態から見て実際に査定する中古車の状態の良し悪しがどうかを評価するために定められたものである。
標準状態からプラスの評価の部分、マイナスの評価の部分をチェックし、それらに応じて、査定基準価格を元に各社が設定する査定基本価格に加算・減算することによって最終的な買取価格が決定される。
つまり、たとえば標準状態で定義されるのとまったく同じ状態の中古車があったとすると、その車の査定価格は基本価格と同じになるという仕組みなのだ。
換言すれば、買取依頼のあった中古車と標準状態の車を比較することが、中古車査定ということになる。
査定業務を実施する全国の業者が同じ制度に基づいて査定を行うことで、どの業者に査定を依頼しても、同じ状態の車であれば査定価格に大きな差が出ないようになるのが標準状態を定義するメリットだ。
標準状態にある車とは、具体的には6つの項目によって定義される。その6つの項目とは前述したものである。
こうして項目ごとに細かく標準状態の定義が決められていることによって、たとえば、外装にキズやへこみがあればそれに応じた点数が減点されたり、走行距離が標準的な距離より少なければそれに応じた点数が加点されたりする。
このように項目ごとにチェックすることで、どんな状態の車でも同じ基準で査定額を算出できるのである。
1.外装・内装は無傷である事
一つ目の「外装・内装は無傷である事」は、中古車の商品価値としてかなり重視される項目と言える。
車種や年式などと関係なく、外装にキズやへこみがあれば減点の対象となるし、キズが多ければ多いほど減点が増える。
なお、少しでもきれいに見せるため、査定の前に洗車・ワックスがけを行う人もいるが、査定士はキズやへこみを見ているため、キズがある車の評価が上がることはない。
また、内装についても同様である。ただ、内装の場合は、直接的なキズもそうだが、車内にこびりついたタバコの臭いなどにも注意したい。
売却時に少しでも査定額を高めたいのであれば、車内では喫煙や飲食などは控えるべきだろう。
2.エンジン・足回りは走行に支障なく良好である事
エンジンや足回りは車が正常に動くための心臓部であり、ここに支障があると大きく評価を下げる。
ただ、日ごろから整備を行っている車であれば、ここで大きく減点されることは少ないと思われる。
ただし、オイル漏れには注意が必要だ。オイル漏れがあると急速にオイルが減ってしまう。ターボ車や輸入車など特にオイル漏れを起こしやすい車の場合、日常のケアがとても大切だ。
カーショップで安価で買えるパーツクリーナーなどで手入れするのも良い方法だろう。
ただ、相当ひどいオイル漏れでなければ短時間で急激にオイルが漏れることはないので、査定時に大きく減点されることもないはずだ。
3.車検の残り月数は3ヶ月以内である事
日本自動車査定協会の規定する査定基準には、車検の残り月数についての評価に関して「車検残のあることの優位性を考慮して商品価値を加点する」という項目がある。
つまり、車検の残りが一定期間以上ある場合は査定でプラス評価になるわけだ。車検切れの車より車検が残っている車の方が、同じ状態でも高く売れるのである。
ただし、車検の残り月数が3カ月を切っている場合は加点されない。とはいえ、3カ月を切っているからといってマイナス査定になるわけでもないので特に心配する必要はないだろう。
なお、車検の残り期間が長いほど加点されるとはいえ、どんなに加点されても車検費用を上回るほど査定価格がアップすることもない。
4.走行距離は標準である事
4つ目の「走行距離は標準である事」だが、年間1万キロの走行距離数が目安になる。
それ以上走行している車であれば減点され、それ以下であれば加点されるという具合だ。過走行車では大きくマイナスされるだろう。
ただ、走行距離の考え方は業者によっても違いがあり、車種によっても標準の走行距離には幅がある。
最近のハイテクが搭載された車であれば、従来の車より性能も安全性も向上しているため、年間1万キロ以上でも加点されることもあるようだ。新しい車なら年間1万5千キロ程度でも査定してくれる可能性はある。
総走行距離では10万キロ当たりから減点になると言われているが、それより少なくてもマイナス査定になることもあるようだ。
5.タイヤの残り溝は1.6mm以上である事(スリップサインが現れていない)
中古車買取業者が買取した車を販売する時は、客が購入した時点で安全な走行ができる状態にしておかなければならない。
そのため、タイヤの溝がすり減っていると査定で減点される。その目安となるタイヤの溝の深さが1.6mm以上である。
すなわち、スリップサインが現れていない状態だ。これ以上すり減っていると、買い取った業者が販売前にタイヤを交換しなければならないため、タイヤの費用分が査定価格からマイナスされてしまう。
タイヤの劣化が気になる場合は、査定に出す前にオークションなどで中古の安いタイヤを手に入れて履き替えておくのも一つの手だろう。
6.事故修復歴・損傷減価要因(腐食・臭い)・改造工作等がない事
査定で減点される事故修復歴とは、車の骨格部分に修復や交換歴がある場合を指す。
現在の国産車の構造は、ほぼモノコック構造というボディ全体がフレームになっている構造で、その骨組みの内部にエンジンなどのパーツが配置されている。
これが曲がっている車は著しく強度が低下するため、査定では大きな減点対象となる。
ただ、軽度の衝突程度ではモノコック部分が損傷することはない。また、ボンネットやドアを交換していても修復歴にはみなされない。
損傷減価要因とは車体のサビや車内に付着したタバコなどの臭いである。改造車はそれだけでマイナス査定になるので注意が必要だ。
車の状態による大まかな加減点とは5つの項目に分かれる
日本自動車査定協会の規定する査定基準によると、車査定には50以上の加減点の項目があり、さらに項目ごとに機能や部品の状態に応じた加減点の基準が定められている。
それらの項目を大まかに見ると
- 外装
- 内装
- 電装
- エンジン
- 足回り
に分かれている。また、商品価値として、タイヤ、走行距離、車検の残り期間、自賠責保険の残り期間、修復歴、特殊形状などの項目も設けられている。
査定の加減点を大まかに説明すると、たとえば外装という項目では、ボディにキズやへこみがあるとその程度に応じて減点されるのだが、部品ごとにチェックするため、たくさんの部品にわたってキズがある車の方が減点されるという具合だ。
また、走行距離という項目では、標準の走行距離数より少ない車が加点され、多く走行している車が減点される。
こうして項目ごとの加減点を合計し、車種ごとに決められたクラス係数をその合計に掛けることで、最終的な数値が算定される。
加減点がどのように査定金額に換算されるかは業者ごとに異なるが、おおよそ1点1千円と言われている。こうして算出された加減点の金額を査定の基本価格と合算して、最終的な提示額が決定されるのだ。
一目でわかる査定額が決まるまでの流れ
手順 | 内容 |
---|---|
STEP1 | 査定する中古車と同じ年式・グレードの市場での実績から小売価格を算出 |
STEP2 | 各社が設定する利益などを加えて調整 |
STEP3 | 査定する中古車と同じ年式・グレードの査定基準価格を算出 |
STEP4 | 査定する車の標準状態の基本査定価格を調査。傷や凹みなどによるマイナス部分、オプションのプラス部分もチェック |
STEP5 | 査定士によって加減点を加味した上で査定価格を決定 |
100万円の車の場合
内容 | |
---|---|
小売価格 | 100万円 |
販売店の利益 | 20万円 |
査定基本価格 | 60万円 |
査定士による加減点 | 20万円 |
査定価格・買取金額 | 80万円 |
車購入前に知っておいてほしい!査定額に直接影響する数々
車の査定額に影響を与える要素はたくさんある。ざっと挙げると、外装、内装、年式、走行距離、車検の残り、装備品、付属品の有無などが重要だ。
外装ではボディのキズやへこみの有無はもちろん、タイヤの状態、人気のあるボディカラーかどうかによっても査定額が大きく変わってくる。
内装ではキズ、破損、汚れがマイナス要因になるのはもちろんのこと、タバコやペットの臭いも減点対象だ。年式が新しく走行距離が少ない車の方がプラス査定になるのは言うまでもない。説明書や整備手帳など付属品の有無も影響する。
気を付けたいのがオプションパーツに交換した車だ。パーツを交換するとしても、純正パーツは大切に保管しておこう。
中古車市場で高く売れる車の色は「白、黒、シルバー」
最近の車はボディカラーも豊富だが、時代によらず人気のボディカラーは白、黒、シルバーと決まっている。
特に白は世界全体で見ても不動の人気を持つカラーだ。白は流行にも左右されないため、中古車として販売する際にも売れやすく、そのため査定でも高く評価されやすい。
黒は白に次いで人気のカラーだ。高級感や威圧感を与えるため、高級車を買う人には特に支持される。ただし、キズが目立ち熱を吸収しやすいため、白の人気度には劣る。
また、シルバーも、キズや汚れが目立たないという理由もあって時代の変化にかかわらず人気だが、最近の若者には年寄り臭いと敬遠される傾向にある。
複数の買取業者の査定を比較検討するには一括査定サイトが便利
買取専門店に依頼する時にポイントとなるのが、複数の買取店に競合させることだ。
買取業者は車を仕入れなければ儲けを作ることはできない。数多くある業者のなかから自社を選んでもらうため、前のめりに交渉してくる。
最高額を出した業者はさらに金額を上乗せするしかなく、業者全体のなかで買取額の吊り上げが可能となるわけだ。
ただ、自分で1店1店買取業者を回って査定を依頼するのは、たいへんな手間と労力が必要だ。そこで役に立ってくれるのが「一括査定」というサービスだ。
まとめ
以上見てきたように、中古車の買取価格は業者によって違いはあるものの、それに至るまでのプロセスは基本的に共通しており、買取価格の決まり方に違いはない。
昔は業者が自由に買取価格を設定することもあったが、それではどこに査定してもらうかで買取価格に極端な差が生まれてしまうこともある。
そういう不公平をなくすために、日本自動車査定協会は中古自動車査定制度を設定し、それに賛同する業者のために査定基準を定めた。そのため、同じ車種で同じ条件の車であれば、どの業者に査定してもらっても極端な価格差が出ることはない。
とはいえ、業者によって、査定から販売までにかかるコストや利益の出し方に違いがあるため、実際に提示される買取価格には業者ごとに違いがある。
中古車価格には相場があるため、販売価格を極端に高く設定することはできない。となると、整備や保管にコストのかかる業者は、その分査定価格を下げて利益を確保する必要がある。
逆に、広範な販売ルートを持ち、自社に整備や在庫管理の体制が整っている業者であれば、査定から販売までにかかるコストを抑えることができるため、その分を査定価格に上乗せすることができる。
車を可能な限り高く売りたいのであれば、われわれ消費者も査定基準を知っておくことはもちろん、それを踏まえたうえでなるべく多くの業者に査定してもらい、ベストな買取価格を引き出す努力をしたいものである。