ディーラーや中古車販売店で新しい車を購入する際、古い車を下取りに出すと、見積書を見ただけでは下取り価格がわかりにくいことがある。
見積書には車両本体、オプション、付属品、それに税金や保険、諸費用などが加えられた金額が請求額として記載されるが、手放す車の下取り価格も見積書に車両値引き額として含まれてしまうため、下取りの詳細はわからない。
実際、ディーラーや中古車販売店の下取り価格は曖昧なものである。一応、レッドブックという中古車の価格表を参考に下取り価格は決められるのだが、その通りにならないことも多く、営業マンのさじ加減でいくらにでもなるというところが本当のところだろう。
ディーラーは最初からいくらで販売するかを決めており、そこから値引き額や下取り査定額を調整して、最初に設定した価格に持っていくという具合だ。
だから、最初から購入を前提とした下取りを依頼しても、本当の査定額も、限界まで値引きした新車単体の価格もユーザーにはわからないようになっているのである。
下取りを使う限りは…
- 営業マンのサジ加減で査定額が決まる
- 査定額が安くなってしまう
と頭に入れておこう。
新車をなるべく安く買いたいなら、下取りではなく買取で査定してもらうことだ。相手が車を買うことだけを目的とする買取では、新車値引き等の帳尻合わせは起きないため、面倒な交渉もなしに高額査定を期待できる。
交渉スムーズ・トラブルなし・高価買取 3つの満足が手に入る売却方法 |
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方法 | 交渉スムーズ | トラブルなし | 高価買取 |
ディーラー下取り | △ | ○ | × |
店舗買取 | △ | ○ | △ |
車一括査定 | 〇 | 〇 | 〇 |
下取り額は営業マンのサジ加減で決まる
ディーラーでも販売店でも下取り査定を行う時は、資格を持つ査定士が基準に従って査定することには変わりない。
しかし、実際は営業マンのサジ加減でいくらにでも調整できるのである。ディーラーなどの販売店の目的は車両を販売することであり、中古車を引き取ることではない。
だからこそ販売が前提で下取りが行われるわけで、ディーラーの目論見としては、客をどう納得させて車両を売りつけることができるかを重視しているのだ。
そのために、営業マンはさまざまなセールストークを繰り広げて、客にいかにもお得な買い物をしたと思わせるようにしているのだ。以下でそのテクニックを一部見ていこう。
下取価格を上げて値引き額を下げる
最近では、車を買い替える際に、これまで乗っていた車をディーラーの下取りではなく買取専門店で査定してもらってから、ディーラーに行く人も増えている。
そうすることで、ディーラーでの下取り査定時に、買取専門店での査定額を伝えて値上げ交渉がしやすくなるわけだ。
ディーラーとしても、そうされると下取り価格を上げて客の期待に応えたいところだが、下取り価格には限界が決まっているのでそう簡単にはいかない。特に他社の車だと高額査定を提示するのが難しい。
そんな場合に営業マンが使用するテクニックが、下取り価格を上げる代わりに購入予定の車の値引き額を下げる方法だ。
新しい車の値引き額を通常より下げれば、下取り価格を買取専門店より高く提示することが可能になる。
ユーザーは買取専門店より高く下取りしてくれることに喜んで、その後の手続きもスムーズに進むわけだが、実際は下取り価格を上げた分だけ値引きが抑えられているわけだから、ユーザーは何も得をしていない。
しかし、新車価格からどれほど値引きできるかまで知っているユーザーが少ないことから、こういうテクニックで納得させられるのである。
下取価格を下げて値引き額を上げる
上とは逆のテクニックが、下取り価格を下げて新しい車の値引き額を上げるというものだ。
新しい車をできるだけ安く買いたいということばかりに気持ちが向いているユーザーにこのテクニックを使えば、簡単に満足して契約してもらえることが多い。
「がんばって値引きしました!」と見積書を見せられたら、下取り車の下取り価格が相場よりかなり低くても、気づかずに喜んですんなりハンコを押してしまうという具合だ。
下取り価格と新車からの値引き額をいくらにするかは、トータルで利益が出てさえいればディーラーはいくらにでも調整できる。
新車をたくさん売ることがディーラーの本業だから、売れて利益が出ればそれでよいのだ。
だから、本当にお得な買い物をしたいのであれば、ユーザーとしても下取り価格と新車の値引き額を総合的に判断しなければならない。
そのためには、愛車の適正な査定額の相場を知る必要があるだろう。複数の買取専門店に査定を依頼して、愛車にどのぐらいの価格が付くのか調べるのも一つの方法である。
下取り車の価格交渉をするならまずはどれだけ高く売れるか知る
ディーラーに下取りを依頼する場合でも、まずはその車の本当の価値を知るために、他店ではいくらになるのか知っておくべきだ。
ディーラーの下取りではなかなか高額査定にならないが、買取専門店ならコンディションやオプション品などが考慮されてもっと高い値段になることも少なくない。
だから、なるべく多くの買取業者に査定してもらうようにしよう。「査定してもらったら売らないと悪い」と気にする必要はない。
「新しく車を購入する予定なので、今の車がいくらで売れるのかを調べている」と言えば業者も納得する。どんなに信頼しているディーラーでも、一店のみの査定ではどれだけ高く売れるかわからないのだ。
『車一括査定サービス』で競合させて査定額の限界値を知る
新しい車を購入する時は、ほとんどの人がなるべく安く購入したいと考えるものだ。しかし、新車の値引き額には限界がある。
だからこそ、下取りしてもらう車をいかに高く売るかがカギになるのだが、ディーラーだけの下取り査定ではなかなか期待通りの値段にはならないことはこれまでお伝えしてきた。
そこで大切なのが、ディーラーなど販売店以外の査定評価を知ることである。中古車の買取専門店は、ディーラーなどの販売店と違って中古車の買取と再販こそが本業だ。
だからこそ、ディーラーでは価値を認められないような車でも、思わぬ高額が付くこともある。
ただ、買取専門店に査定してもらうにしても、1店だけの査定ではそう簡単に高額限界で買い取ってもらうことは難しい。
したがって、複数の業者の査定を受けて、その結果で最も高額を提示してくれるところに決めることが大切になる。
そうはいっても、実際に何店も足を運んで査定を依頼するのはたいへんだ。そこで便利なのがネットの車一括査定である。
申し込みはネット環境があるところならどこでも数分以内に完了する。10社以上の査定を同時に申し込みできる一括査定こそ、賢いユーザーが利用するべき手段だ。
見積書の中の車両値引と下取車両価格が相対関係になる
中古車価格の相場はインターネットですぐに調べられるが、実際に下取りに出してみると、その通りにならないことがほとんどだ。
一応は中古車の価格表という基準になるものはあるのだが、販売店やそこの営業マンが独自に決めている面が強い。
実際、ディーラーなど販売店では下取り価格に相場といったようなものはない。なぜなら、下取りは必ず新車の購入とセットで行われるため、ディーラーとしてはそもそも下取り車を単体で買い取るつもりはない。
あくまで新車購入に付随するサービスの一環として行っているのだ。
だから、下取り価格は新車の価格次第でいくらにでも調整される。新車の値引き額が小さい時は下取り価格を少し高くしてお得感を出し、逆に値引き額が大きい時は下取り価格は抑えられる。
したがって、交渉の末、大幅な値引きをゲットしたとユーザーが思っていても、そもそもディーラーが想定する範囲内でのことなのである。
廃車でも数万円の価値がつくカラクリを作れる
ディーラーの下取りでは廃車同然の車にも数万円の下取り価格が付くことがある。ユーザーとしては、値が付かないどころか廃車費用を逆に取られると思っていたので、思わぬ値が付いて大喜びということになる。
「こんなにサービスしてくれるなんて」と感動してそのまま下取りと購入手続きを進めてしまう人が大半だが、廃車同然の車に下取り価格が付くほとんどのケースでは、新車からの値引き額がかなり抑えられていると思って間違いないだろう。
新車からの値引きと下取り車の査定額には相関関係があるため、ディーラーとしては、下取り価格などこれから販売する車の値引き額を調整することでいくらにでもできるのだ。
だからこそ廃車同然の車に値段を付けられるわけで、その場合は、単に新車の値引き額が下取り価格の分だけ抑えられているものである。
営業マンは顧客に納得して商談を進めてもらうために、いかにもこちらが身を切ってサービスしているようなセールストークを展開するだろう。
しかし、実際は、廃車同然の車に5万円の値が付いた時は、新車に5万円上乗せして販売しているだけのことで、逆に廃車費用の分、通常の値引き額より低くなっている可能性もあるのである。
曖昧だが下取り相場を調べる方法
新車を購入することは決まっているが、それでもこれまで乗ってきた愛車なのだからなるべく高く下取りしてもらいたいと思う人は多いはずだ。
ディーラーに下取りありきで話を進めても、購入車両からの値引き額でいかようにも調整されてしまうため、真の価値を知ることは難しい。
こういう場合は、ディーラー以外であらかじめ下取り相場を調べておくとよいだろう。
もちろん実際の車の下取り価格は、下取りの時期や車のコンディションなどで大きく変化するため、相場通りとなることは少ないが、それでも目安となる金額がわかっていることでディーラーとの交渉がしやすくなることは確かだ。その方法をいかに挙げる。
トヨタの公式サイトで下取り相場を調べる
下取り相場を調べる方法の一つに、トヨタ自動車の公式サイトで調べる方法がある。
トヨタの公式サイトから「下取り参考価格情報」に進み、下取り希望の車のメーカー、車名、年式を選び、その車の発売年や型式・グレードを選択すればよい。
このサイトが便利なのは、下取り相場がわかるのは、なにもトヨタ車に限ったことではない点である。国産メーカーなら他社の車でも調べられるのでありがたい。
たとえば、マツダのアテンザセダン(2009年式・型式GH5AP)でシミュレートしてみよう。
トヨタの公式サイトの当該ページにアクセスし、メーカー、車名、年式を選択する。すると、ボディタイプ・モデルの選択画面に移る。
そこでGH5APを選択すると、グレード・仕様の選択画面になる。この型式のアテンザセダンはグレード25Fの1種類しかないのでそのままそれを選択しよう。
すると、次のページに「参考価格22万円(消費税込み)」と表示されるという具合だ。
日産の公式サイトで下取り相場を調べる
トヨタの公式サイトと同じく、日産自動車の公式サイト内にも車の下取り相場を調べられるページがある。
それが「下取り参考価格シミュレーション」だ。こちらもトヨタと同様、他社の車の下取り価格も調べられるようになっている。
そこで、先ほど例に挙げたマツダ・アテンザセダンを日産のサイトでもシミュレートしてみよう。ステップ1としてメーカーを選択する画面が表れる。
そこでマツダを選択すると、車種選択画面に移るのでアテンザセダンをクリックする。
次に年式の「平成21年(2009年)」を選択すると、グレード・詳細仕様の選択画面に移るので、先ほどと同じく「グレード25F・型式GH5AP」のところをクリック。
すると、「下取り参考価格シミュレーション結果 13.5万円 ~ 23.5万円」と表示された。
トヨタでは参考価格22万円という結果になったが、日産ではもっと幅を持たせているのが特徴だろう。ただ、両者に大きな違いはない。
もちろんトヨタと同じく日産のシミュレーションでも概算額が出るだけなので、実際の査定ではこの範囲を外れた下取り価格を提示されることはある。
本当の下取り額を知るなら下取り車があることを伝えない
ディーラーや中古車販売店で車を購入する時は、これまで乗っていた車を処分することが多いとは思うが、そういう場合でも先に下取り車があることは伝えない方が賢明だ。
これまで説明してきたように、最初から下取りありきで交渉しても販売店のテクニックで下取り価格はいかようにも調整されてしまうからだ。
下取り車がある場合でも、まずは新車の購入だけに絞って値引き交渉を進めよう。今乗っている車をどうするか聞かれた時は、家族や知人に譲る可能性があると言って現時点で下取りを考えていないことを伝えればよい。
下取りなしで購入だけで話を進めて、見積書を出してもらったらそこから可能な限り値引きしてもらうのだ。
そこでどこまで値引きできるかは交渉次第だが、これ以上下がらないと感じたら、その時点から下取り車の査定を持ちかけるのである。
こうすれば、下取りでも購入車の値引き調整の影響を受けずに限界まで交渉できる。これが本当の下取り価格と購入車の値引き額の見極め型だ。
その結果、買取専門店の査定額の方が高ければ、そちらに売って新車の購入資金にするとよい。
必ず車両の総合計からどれだけ値引くかが勝負
今乗っている車をディーラーで下取りしてもらうか、それとも、アップルやガリバーなどの買取専門店に買い取ってもらうか、どちらの方が得になるのかは実際に査定してもらわなければわからない。
個々の車の状態によって査定結果は違うからだ。
ただ、どちらに引き取ってもらうにしても、新しい車を購入するのであれば、古い車の売却額と新しい車の値引き額をトータルで考えて、どちらが購入費用を抑えられるかを考えなければならない。
ディーラーと買取専門店、両方で査定を受けておくとよいだろう。査定を受けたからといって、必ずしも売らなければならないわけではないのだから気を使う必要はない。
購入金額を事前に決める
いずれにせよ、購入する車から値引きしてもらうには営業マンとの交渉がカギになる。
ただ、交渉のプロでもない一般のわれわれが「もっと値引きしてくれ」の一点張りで闇雲に交渉しても大きな成果は出ないだろう。販売する側で調整できるといっても限界はある。
車を下取りに出すのは新しい車を購入するためだから、下取り価格がいくらになるかより、最終的に新しい車の購入費用をどこまで抑えることができるかに集中しなくてはいけない。
そのためには、余計な雑音に惑わされないように、最初から「○○万円までなら出してよい」と購入金額の着地点を決めておくべきだろう。
「ここまで下がったら買う!」と強気に交渉できる
最初から「○○万円ならすぐにハンコを押す」と営業マンに伝えておくのも交渉を進めるうえで有効な手だ。相手もこちらの妥協点がわかれば、それに向けて調整しやすくなる。
結局、賢い買い物をするには、どれだけ強気に交渉できるかがポイントになるのだが、性格的に相手を強気で圧倒することなどできないという人も少なくない。
だからこそ、闇雲に値下げしてくれと交渉するのではなく、事前にリサーチして限界値を知っておくことが大切なのだ。
声を張り上げて相手を圧倒するような態度を取らなくても、「ここまで値引きが可能なはず」と知っておくことで冷静な対応ができる。それでも成果が出ない時は他店を当たればよいのだ。
まとめ
ディーラーなど販売店で新しく車を購入する場合、これまで乗っていた車を下取りしてもらうという人は多い。ただ、下取り査定額はなかなか期待通りにはならないものである。
見積書には新車からの値引き額として表示されることが多いため、下取り価格として妥当なのかどうかがわかりにくい。
実際、下取り価格には相場がないと言われるほど曖昧なもので、販売店やそこの営業マンのサジ加減でいかようにも調整されているのだ。
高額な下取り価格だとしても、新車の値引き額を下げて総額でマイナスにならないようにすればよい。
逆もしかりで、新車の値引きばかり気にする客には、下取り価格を抑えることで値引き額をアップして、一面しか見ていない客に「お得な買い物ができた」と満足させることもできる。
こうした販売店のテクニックに惑わされず、限界まで高値で下取りしてもらい、限界まで値引きしてもらって新車を購入するには、適正な下取り価格を知る必要がある。
メーカーの公式サイトなど相場を調べる方法はあるので、その金額をもとに強気に交渉しよう。
その際、販売店との交渉では先に下取り車があることを伝えない。買取専門店などで先に査定してもらい、その金額を内に秘めて販売店との交渉に臨もう。
どれだけ高く売れるかを知っておくことが交渉を有利に進めるポイントだ。その手段としておすすめなのが、同時に複数の業者に査定を依頼できる一括査定である。