車を新しく購入する際や、車が必要なくなった場合の車の処分方法として、車の買取がある。
車の買取は一般的に買取専門業者に車を売却する形になるが、売却先としては店頭での査定を受ける以外にも、インターネットの一括査定を受けて車を買い取りしてもらうという方法もある。
いずれの方法にしても車の売買契約をキャンセルできるのか、無条件でのキャンセルは可能なのかなどについて、詳しくみていきたい。
- 売買契約の成立前であればキャンセルは可能
- 契約成立後はキャンセル料や違約金が発生する場合も
- 自動車の売買契約はクーリングオフ適用外
車の売買契約に関するトラブルは非常に多くなっている。
キャンルセルしたくなる理由は、のちになってより高い査定額を出す買取業者を知ったといったケースだ。後悔しない車買取店を見つけるためには業者探しの方法を工夫する必要がある。
買取価格をアップさせる方法 | |||
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方法 | おすすめ度 | ||
一社の買取業者と交渉 | 交渉が難しくなる | ||
複数の買取業者を回って交渉 | 時間・労力がかかる | ||
車一括査定を利用 | 短時間で交渉の必要もない |
まずは自動車の売買契約を確認する
車買取の契約をキャンセルしたいと思ったときには、まず売買契約書を確認しよう。社団法人自動車公正取引協議会「相談事例1-キャンセルの可否-」によると、車の売買契約をキャンセルできるかどうかは、契約が成立しているかどうかによるとある。
そのため、売却を中止したいと申し出た際に業者側がどんな理由でそれを拒否してきたとしても、売買契約の成立前であればキャンセルは可能ということになる。
業者と協議して合意を得る必要が出てくる。
ちなみに契約成立のタイミングは業者によっても異なるので、サインや押印をする際は慎重に行おう。
車の売買契約をキャンセルするタイミングは早ければ大丈夫?
車の売買契約をキャンセルするタイミングだが、早めに申し出ればよいかといえばそうではない。
たとえば日本自動車販売協会連合会や、一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会の基準で考えた場合は、車の登録や改造・修理・塗装・引渡しのうちのいずれかが行われたタイミングが契約成立とみなされる。
しかし、車買取業者によってはこれらが行われていなくても契約書にサインや押印をした時点で契約成立となる場合もある。
連絡が早ければ契約成立前に間に合うこともあるかもしれないし、連絡が遅いことで契約成立後となってキャンセルができなくなる場合もある。
車買取契約後のキャンセル料金や違約金はいくら?
車買取契約が成立してしまった後でキャンセルするとなると、キャンセル料や違約金が発生することがある。キャンセル料や違約金の金額については、基本的に契約書に記載されていることが多いので契約前には確認をしておこう。
またその金額については特に規定がないので買取業者ごとに違うが、中には法外な金額を請求されることも。
実際に国民生活センターには「高額な違約金を請求された」「契約書に記載されている金額以上を請求された」「買取価格以上の金額を請求された」といった相談が寄せられている。(参照:国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」)
もしキャンセル料を請求された場合には契約書と相違がないか、また金額にきちんとした根拠があるかどうかを買い取り業者に確認するようにしよう。
キャンセル料金が発生するタイミング
車の売買契約のキャンセルを申し出て、キャンセル料金が発生するタイミングは買取業者や契約書によってまちまちだ。
車の登録を行って名義が変更されていたり、修理や改造など実際に車に手を入れてしまっている場合、車を買い取り業者に引き渡してしまっている場合は、すでに車が自分の手を離れてしまっているからだ。
キャンセル料金が発生しないタイミング
車買取をやっぱりやめたいと言ってキャンセル料が発生しないタイミングは、基本的に車の売買契約成立前だけだ。
この売買契約の成立がいつなのかについては、車買取業者によって違うが、日本自動車販売協会連合会などの基準によれば車の登録や修理、引渡しのいずれかを行ったタイミングが契約の成立とみなされる。
買い取り業者にクルマを売却する場合、契約書の裏に書いてある約款を十分に確認する必要があります。買い取りの契約では「契約書への署名、捺印」をもって契約成立とするケースが多くなっているようです。
なお、車買取業者によっては契約成立後も一定期間内であれば、キャンセル料金が発生せずにキャンセルできることも。その内容は契約書であったりホームページなどに記載されていることがあるので確認してみよう。
車のキャンセル料金は高い?「買取業者によりけり」
車の買取を依頼して売買契約が成立した後にキャンセルを申し出た場合には、キャンセル料金が発生する。
このキャンセル料金には明確に金額を定める規定がない。そのため、買取業者が独自にキャンセル料金の規定を定めて請求することができる。
ただし、このキャンセル料金はキャンセルが発生したことによって買い取り業者が被った損害に相当する金額以上を支払う必要はないと、自動車公正取引協議会にも記載があるので、キャンセル料金を請求された場合には、その金額の根拠を買取業者に確認しよう。
万が一法外な金額を請求された場合には、国民生活センターなどへ相談することも必要だ。(参照:国民生活センター「全国の消費生活センター等」)
最終手段?車買取契約後にクーリングオフは基本不可能
車を手放す為に車買取業者に査定をしてもらって売買契約を結んだ後で、やっぱり考え直したいと思うこともある。そんな時にキャンセル料金などが発生せずに契約をキャンセルすることができる制度「クーリングオフ制度」は利用できるのだろうか。
実は車の買取契約については、クーリングオフ制度は利用することができない。
さまざまな売買契約に利用することができるクーリングオフ制度だが、自動車の売買契約については適用外とされている。
では、クーリングオフ制度や車の売買契約に関するキャンセル規定について詳しく見ていこう。
クーリングオフ制度とは契約を無条件に解除できるもの
クーリングオフ制度とは、契約をした後で冷静になって考えてやっぱり契約を解除したいと思ったときに、その契約を無条件で解約することができる制度だ。
クーリングオフ(Cooling-off)とは、頭を冷やして良く考え直す期間を消費者に与え、一定の期間内であれば消費者が業者との間で締結した契約を一方的に解除できるという制度です。
仮にその契約を解除する際にキャンセル料金や違約金が発生するということが契約内容に含まれていた場合でも、クーリングオフ制度を適用すれば無条件、つまりキャンセル料金や違約金なしで解約をすることができる。
なぜこのようなクーリングオフ制度ができたかというと、訪問販売や勧誘による販売でものを購入したり契約を交わした場合は、自分でほしい物を購入した場合とは違って、店員や販売員に勧められて冷静に判断することができない状況で購入や契約を交わしてしまうことがあるからだ。
こうした状況で交わした契約について、あとで一人になって冷静に考え直してみるとやはり必要なかったり、内容に納得がいかないという状況も出てくるので、そのような場合に消費者を守るための制度としてクーリングオフ制度が作られた。
自動車の売買契約はクーリングオフ適用外
さまざまな契約を無条件で解除することができるクーリングオフ制度だが、自動車の売買契約はクーリングオフ適用外となっているので利用することができない。
そのため、すでに車の売買契約が成立してしまっている場合に、こちらから一方的にキャンセルを申し出た場合には、キャンセル料金や違約金が発生してしまう。
ちなみに国民生活センターにはクーリングオフの適用外になるもの(訪問購入の場合)は、以下の6つが対象となるそうだ。
・自動車(二輪のものを除く)
・家庭用電気機械器具(携行が容易なものを除く)
・家具
・書籍
・有価証券
・レコードプレーヤー用レコード及び磁気的方法又は光学的方法により音、映像又はプログラムを記録した物
これについては自動車攻勢取引協議会にも記載があり、売買契約が成立していた場合には、一方的にキャンセルはできないとある。
しかし、車の売買契約にクーリングオフが利用できないことによるクレームや相談が増加したことから、車買取業者は各社それぞれキャンセルに関する規定を設けているところが増えてきている。
このキャンセル規定の内容によっては、キャンセルを申し出るタイミング次第ではキャンセル料金や違約金が発生せずに契約を解除することができたりする。
たとえば売買契約書や車買取店のホームページ等に「契約成立後○日以内ならキャンセル可能」といった記載があった場合には、その期間内にキャンセルを申し出ることで無条件での契約解除ができることもあるのだ。
大手車買取店の6社の規定
車の売買契約には無条件で契約を解除することができる「クーリングオフ制度」は利用できない。
車の売買契約成立後にキャンセルをすることができるかどうかについては、車買取店によってはキャンセル規定を設けているところがあるので、その規定次第ではキャンセルを受け付けてもらえることも。
特に大手の車買取店の場合は、車の売買契約についてクーリングオフが利用できないというクレームが多く発生していた背景があるので、独自のキャンセル規定を設けているところが多く見られる。
もしこれから車を売却する場合には、こうした消費者側の立場を考えてきちんとキャンセル規定を設けている買取店を利用したいものだ。
では、ここからは大手車買取店の中から6社をピックアップして、それぞれのキャンセル規定がどのような内容になっているのかを見ていこう。
ガリバーのキャンセル規定
ガリバーのホームページにある「よくあるご質問」のページに、売買契約を交わした後のキャンセルに関する記載がある。
こちらによると、車の売買契約の内容にしたがって一定期間であればキャンセルが可能で、それ以降はキャンセル料金が発生するとあった。
また、契約後でも車が未入庫だったり、車が入庫済みであっても店舗に置いてある状態であれば、契約から7日間以内なら無償キャンセルが可能となっている。
これに当てはまらない場合については全てキャンセル不可となっているので、キャンセルしたい場合には早急に連絡が必要だ。
ビッグモーターのキャンセル規定
ビッグモーターは今回挙げた他社に比べると、比較的新しい車買取業者だ。
ビッグモーターのホームページを調べてみたところ、車買取の売買契約書を交わした際のキャンセルに関する規定の記載は見当たらない。
ちなみにネット上で得られた情報によると、ビッグモーターでは基本的に契約成立後のキャンセルは受け付けていないようだ。
しかし、車の引き渡し前などでビッグモーターに損害が発生していない時点でのキャンセルならば、キャンセル料金は発生しない可能性が高いといえる。
カーセブンのキャンセル規定
カーセブンのキャンセル規定については、ホームページに明確な記載がある。カーセブンの車買取安心宣言によると、契約した車を引き渡した日から7日間まではキャンセルが可能とあった。
クーリングオフが適用できない車の売買契約であっても無条件でのキャンセルが可能ということになる。
通常であれば契約日から一定期間はキャンセル可能という規定が多いが、カーセブンは「車の引渡し日」から7日間なので、車をカーセブンの引き渡す前であれば、当然キャンセルも可能だ。
カーチスのキャンセル規定
カーチスは全国に店舗のある車買取店の中でも最大手のお店だ。
そのカーチスの売買契約に関するキャンセル規定だが、ホームページでは見つけることができないが、COJ(消費者機構日本)の中で、カーチスの売買契約規定の改定に関する内容があった。(参照:消費者機構日本「株式会社カーチスの自動車売買契約規定が改定」)
ただし、売買契約成立後に一方的にキャンセルを申し出た場合は、カーチスが被る実損実費を支払うことになっているので、契約解除にともなって実際にカーチスに発生する損害の実費のみをキャンセル料金として支払うことになる。
アップルのキャンセル規定
車買取業者の中でもトップの知名度を誇るアップルだが、売買契約のキャンセルについてはホームページのよくある質問の中に記載がある。
記載されていた内容は、「一定の期間であればキャンセル可能」というものだ。
売買契約が成立していても車を引き渡す前にキャンセルを申し出れば、キャンセル料金が発生することなく契約の解除が可能だ。
ちなみにこの「一定期間」については明確な記載がないが、ネット上の情報によればキャンセル規定は店舗ごとに違いが見られるようなので、直接店舗へ問い合わせて確認する必要があるだろう。
ラビットのキャンセル規定
アップルと同様に全国的にフランチャイズ店舗が多いラビットだが、ホームページには売買契約に関するキャンセルの内容は記載されていない。
仮に売買契約成立後にキャンセルを申し出て、それを店舗側が受け入れた場合でも、キャンセル料金が発生する可能性が高い。
ただしその金額は自動車公正取引協議会において店舗が実際に被った損害以上の金額を払う必要はないと言われているので、キャンセルした時点で店舗がキャンセルを受けることで被る損害の実費をキャンセル料として支払うことになる。
車買取のキャンセルによるトラブルが増加している
車の買取は、インターネットによる一括査定などがとても便利だが、車買取を決めた後でのキャンセルに関するトラブルがとても多くなっている。
なぜ車の売買契約に関するキャンセルでトラブルが多いかというと、まずひとつは車の売買契約にクーリングオフが適用できないという点がある。
クーリングオフ制度はいろいろな契約に適用できるが、車の売買契約は適用外となっているからだ。また、クーリングオフが適用外でも、車買取店によっては独自のキャンセル規定を設けているが、そこでもトラブルが発生している。
キャンセル可否についてはすでに車を引き渡してしまっていて、次のオーナーが決まっていたり車の登録や修理などに取り掛かってしまっていると現実的には難しくなるので、キャンセルをする場合には早めの連絡が必須だ。
また、キャンセル料金を請求された場合に、その金額が明らかに高額である場合は、なぜその金額になったのかという根拠を明確に求めよう。
買取価格以上のキャンセル料金や明らかに不当な金額を請求された場合は、国民生活センターなどへ相談するのがおすすめだ。
JADRI(日本自動車流通研究所)の加盟店ならキャンセル可能
車買取店の中でも、大手は特にJADRI(日本自動車流通研究所)に加盟しているところが多くなっている。
車買取店がJADRIに加盟するには、設立5年以上の法人であることや過去5年以内に関係機関からの指導や摘発等の処分を受けていないことなど入会条件があるので、これらをクリアしている会社でなくてはいけない。
こうしたことから、車買取をする場合にはJADRIに加盟している店舗を利用するのがより安全な取引をする方法といえる。
車の売買契約に関するキャンセルについては、JADRIの加盟店には契約直後のキャンセルに関して、キャンセル料金を請求することは禁止というルールがある。
よってJADRI加盟店であれば車買取店に一方的にキャンセルを拒否されたり、高額なキャンセル料金を請求されることはまずないだろう。
車の登録変更や修理など、何らかの作業が発生してしまってからでは遅いので、キャンセルの申し出は極力早く行うことが必要だ。
後悔しない買取店が見つかる!車一括査定がおすすめ
満足のいく買取業者を見つけることができれば、気が変わってキャンセル…という事態にはならない。
そのためには、一社、二社の買取店だけでなく、できる限り多くの買取店に査定をすることが必要になる。
目安としては最低3社、できれば5社前後が望ましい。
ただ、複数の店舗に査定を依頼する場合は、一店舗ずつ足を運ぶと時間や手間がかかる。そこで役立ってくれるのが一括査定サイトだ。
まとめ
この記事では車買取のキャンセルについて解説した。一般的な話では、売買契約の成立前であればキャンセルは可能、契約成立後はキャンセル料や違約金が発生する場合もある。業者によって対応が異なるので、売買契約を結ぶ際にはキャンセル事項についてしっかり確認しておくことが大切だ。