車を売却する、もしくは購入するという場合、ほとんどの人はディーラーや中古車販売業者・買取業者を利用するだろう。

しかし、世の中にはディーラーや業者を介さず、個人間で車を売買している人も少なからずいる。

インターネットが普及する以前は、車の個人売買の選択肢は限られていた。

  • 友人など直接知っている人を相手とする
  • 知り合いに車を売買したいという人を紹介してもらう
  • 中古車雑誌の投稿欄などで呼びかける

しかし、今ではオークションサイトなどインターネットを利用して、簡単に車を買いたい・売りたいという人を見つけることができる。

実際、中古車市場全体を見ると、およそ1割の中古車が個人間で売買されているそうだ。

個人売買なら購入・売却どちらの側にとっても、中間マージンを支払う必要がないため、安く購入・高く売却ができてお得である。

しかし、個人間では取引に何が起こっても責任はすべて自分にかかってくることにも気を付けてもらいたい。実際、個人売買で失敗する人も多くいる。

良い相手を見つけることができればメリットは大きいが、トラブルが発生しやすく手続きなど面倒も多いのが車の個人売買だということも覚えておこう。

個人間で個人売買することは可能なのか?

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車の個人売買は可能だ。家族や友人・知人などで欲しいという人がいれば、その人に直接売却するのが最も簡単で安心の方法だ。

車の名義変更など、買取業者に売却する場合は業者が代行してくれる手続きをすべて自分でやらなければならないという面倒はあるが、それでも欲しい人に直接売却できるため、業者に支払う手数料やマージンなどが大幅に節約できる。

また、周りに購入希望の人が見つからなくても、今ならインターネットを使えば全国に自分の車を欲しいという人を見つけることが可能だ。

有名なのがヤフーオークションや楽天オークションなどオークションサイトである。

オークションサイトで検索してみればわかるように、全国にはいろんな人がいろんな車を業者を介さずに売買しようとしていることに気づくだろう。

また、中古車の個人売買に特化したサイトや個人売買を代行してくれる業者のサイトもある。

こうしたサイトを利用すれば、個人売買の経験がなくても購入希望者を見つけることは難しくない。

業者の査定では値が付かないような車でも、個人売買ならいくらかの金額になる可能性があるのだから、非常に魅力的に感じられるだろう。

車の個人売買のメリット・デメリット

グラフと計算機

個人売買なら、中古車業者で値が付かないような車でも売却できる可能性がある。

また、中古車販売店で購入するより、業者の利益や消費税などが必要ないため、相場よりはるかに安く購入できる可能性もある。

このように、車の個人売買は売り手・買い手ともにメリットのある方法ではあるが、同時に個人売買ならではのデメリットもあることも知っておかなければならない。

メリット

個人売買の主なメリット4つある。

  1. 高値で売れる
  2. 相場より安く買える
  3. 消費税がかからない
  4. 希少車が見つかる

1.高値で売れる

個人売買で車を売却する相手が見つかれば、中古車買取業者などに売却するよりも高額で売却できる可能性が高い。

というのも、中古車買取業者に車を売却する際には、次の所有者に車が渡るまでにいくつもの業者が介在するからだ。

業者は可能な限り安く車を買い取ろうとするものだ。利益を得るには販売価格を買取価格より高く設定する必要があるが、あまりにも高いとそもそも買い手が付かないからだ。

また、売買手続き上の必要な経費も発生するため、どうしても買取金額は抑えられがちになってしまう。

ところが、個人対個人の売買なら、中間マージンが一切発生しないため、お互いの言い値で取引ができる。

そのため、業者に売却するよりも高値になるのが一般的な傾向だ。

2.相場より安く買える

個人売買では、車を売却する側にとって業者に売却するより高値で売却できるというメリットがあるのと同様、購入する側にとっても中古車販売店で購入するより安く購入できるというメリットがある。

中古車販売店で販売されている車の値段は、手続きや整備のための経費に加え、業者の利益も上乗せされるため、業者が元の所有者から買い取った時の値段より大幅に高くなるものだ。

個人売買なら、それら中間で上乗せされる費用がなく、自分で手続きをするなら代行費用もかからない。

また、車を売却する人間もプロではないので、中古車相場とは関係なく値段を設定していることも多い。

そういう理由で、個人売買なら中古車販売店で購入するより大幅に安く車を購入できるのだ。

3.消費税がかからない

消費税とは、事業者が事業として資産の取引を行う際に課税される税金だ。

だから、車の取引を生業としていない個人間で車の売買をしても、消費税は課税されない。これは意外と見落とせないメリットだ。

中古車販売店で100万円の車を購入しようと思うと、消費税8%がかかるため実質108万円を支払わなければならない。

しかし、個人売買なら、売り手が100万円といえば、本当に100万円ポッキリで車が手に入る。たかが8%とはいえ、車のような高額な買い物ではこの差は大きい。

将来、消費税が10%に引き上げられるようなことになれば、このメリットはますます大きくなるだろう。

4.希少車が見つかる

中古車販売店にも希少車がないわけではないが、自分の訪れる範囲に自分の欲している車が売られているケースは滅多にないだろう。

もちろん希少車専門の販売店もあるが、その場合も遠隔地だったりプレミア価格でとても手が出せなかったりと、なかなかうまく行くものではない。

その点、個人売買なら車の同好者同士でお互いに車の価値がわかっているので、適正な価格で折り合いが付きやすいというメリットがある。

また、希少車の希少パーツなどなかなか中古車市場には出て来るものではないので、個人売買でないと手に入りにくいのも事実だ。

実際、希少車の多くは中古車市場に流れる前にこうした個人間の売買で取引されている。

デメリット

個人売買のデメリットは主に6つある。

  1. 引き渡しまで手間と時間がかかる
  2. 車両と代金の受け渡しが大変(基本一括払い)
  3. 受け渡し後の故障・名義変更などのトラブルがある
  4. 個人間なのでどちらかが損をする場合がある
  5. 契約書もないのでトラブルが多い
  6. 書類手続きが大変

1.引き渡しまで手間と時間がかかる

個人売買なら売却希望者と購入希望者が直接取引するため、中古車販売店で購入するよりも引き渡しに時間がかからないようにも思える。

しかし、実際は中古車販売店で購入する方がスムーズなことが多い。

現金一括で代金を支払い、整備もせずそのままの状態で引き取ることができるなら、それほど時間がかからないこともあるだろう。

しかし、車はほかのものと違って、所有者を変更するために名義変更や車庫証明の発行などの手続きが必須である。

中古車販売店ならそれらの手続きを代行してもらうことが可能だが、個人売買ではすべて自分でやらなければならない。

お互い仕事をしているなら、双方に都合の良い日を調整するにも意外と苦労するものである。

2.車両と代金の受け渡しが大変(基本一括払い)

買い手が購入代金を現金一括で用意でき、売り手が金額を確認したその場で車を引き渡すことができるなら、個人売買でもそれほど心配することはないだろう。

しかし、それは稀なケースである。中古車といえども決して安い買い物ではないので、代金は分割で支払いたいという人が多いはずだ。

とはいえ、売り手にとって、知らない相手を無条件に信頼するのもリスクがある。

分割払いの約束で車を引き渡したら支払いが滞って困っているという例は少なくないのだ。

購入する側としても、代金を支払ったのに車を引き渡してくれないというリスクを考えなければならない。

一括払いでその場で車の引き渡しができるのでなければ、専門業者で購入する方が面倒もリスクも少ないだろう。

3.受け渡し後の故障・名義変更などのトラブルがある

中古車販売店で中古車を売買する場合には、名義変更の手続きは販売店が代行してくれることがほとんどだ。

用意された書類に署名や捺印するだけでほとんどの手続きは完了する。

また、故障個所がある場合でも、業者は買い取ってから整備するので売り手が心配する必要はないし、購入する場合も整備済みの車なので安心だ。

しかし、個人売買ではこれらをすべて個人で行わなければならない。慣れていない人には名義変更の手続きだけでも一苦労だろう。

また、整備済みと聞いて購入したのに直後に故障してしまった場合、どうすればよいだろうか。

お互いがあらゆるケースを想定したうえで取引に臨んでいないと、時に大きなトラブルに発展するリスクさえある。

4.個人間なのでどちらかが損をする場合がある

中古車買取業者に車を売却する場合、買取価格は査定士の査定を元に算出されるので、市場の相場から大きく逸脱した金額になることはまずない。

査定協会が実施する学科と実技の研修を受けてから、査定士技能検定試験に合格すると、一定の技能を持った者として査定士の資格が与えられます。そして、査定士として活躍するには、査定協会に登録する事が必要です。

つまり、売り手としては予想を大幅に上回るような高値で売れることがない代わりに、非常識なほどに買い叩かれて大きく損をするという心配もないのである。

しかし、個人売買では、車の価格は中古車市場とは無関係に双方の交渉次第で決まる。

売り手か買い手のどちらかが得をする場合は、もう一方はかなりの損失を被るものと考えるべきだろう。

お互いが納得できる取引を行うには、双方ともに中古車市場に精通していなければならない。

5.契約書もないのでトラブルが多い

専門業者との取引でも中古車の売買には時にトラブルが発生する。プロがどんなに念入りに整備しても、直後に故障することだってあるのだ。

また、代金の支払いなどスムーズに進まないこともあるだろう。

しかし、業者との取引ではこうしたトラブル時の対応まで細かく規定された契約書を交わすため、たとえ何かあった場合でも、悪徳業者でない限りユーザーが心配することは少ない。

しかし、個人売買ではトラブルが発生した時にすべて自分たちで対応しなければならない。

個人売買でも契約書を交わす例はあるが、素人同士で作成した契約書では不備があることも多い。

名義変更や瑕疵担保責任など重要事項を双方が十分に理解しておかないと、思わぬトラブルに発展するケースがある。

6.書類手続きが大変

中古車販売店で中古車を売買する場合、通常、車の名義変更手続きは販売店が代行してくれる。

ユーザーは用意された書類に署名・捺印して印鑑証明書を提出すればそれでよい。

一方、個人売買では、車の名義変更の手続きは売り手と買い手同士が自力で行わなければならない。

名義変更が滞ると、車を手放したにもかかわらず自動車税の支払い義務が生じるなどトラブルが起こり得る。

そのため、特に名義変更の手続きは不備なくやらなければならないのだが、この手続きはかなり煩雑なため、初めての人には骨が折れることだろう。

面倒やリスクを考えると、代行手数料を払っても販売店に代行してもらう方が安心だ。

移転登録の必要書類や費用は国道交通省のHPで確認することができる。

よくある個人売買の失敗&トラブル事例

ガムを踏んでしまうトラブル

車の個人売買は、うまくすれば買い手・売り手双方にメリットのある取引となる場合もあるが、専門業者での売買と違い、スムーズな取引ができないことも多々ある。

オークションサイトなど中古車を売買したい人は全国各地に見つかるが、なかにはいわゆるクレーマーと呼ばれる人種も存在する。

そうでなくても、代金を支払ってくれない、名義変更の手続きができていない、購入後に故障が発覚するなど、個人売買には失敗やトラブルが付き物だ。

直接の友人・知人だからといってそのリスクがなくなるわけではない。

トラブルが発生した時は、知らない者同士よりダメージが大きくなることもあるので、個人売買には慎重にならなければならない。

ここからは個人売買によるある失敗やトラブル事例を紹介していく。これを見て少しでもトラブルを回避してほしい。

1.売却後(または売却時)に代金が振り込まれない

車の個人売買で最も多く報告されているトラブル事例が代金の不払いだ。

見知らぬ者同士であっても、代金を一括で用意し、それと引き換えに車を引き渡すのであれば、その心配はないだろう。

しかし、オークションサイトなどネットを利用した取引では、支払いの遅延だけでなく、最初から代金を払わず車だけ奪おうとするような詐欺に出逢う可能性もあるのだ。

もちろんあからさまな詐欺行為なら警察に相談するという手もあるが、分割払いの約束で引き渡したのに徐々に支払いが滞り、催促を繰り返しながらも最終的には全額を回収できなかったという事例では、売り手は泣き寝入りするしかない場合もある。

実際、個人売買の多くはきっちりした契約書を交わさずに行われるため、代金の支払期日などが曖昧なままで後から悔やむことになる例は多く報告されている。

また、相手が知り合いだから安心とも言えない。知り合いだからこそ強く催促できずに、結果、痛い目に遭う事例も多いのである。

2.書類を揃えられず名義変更できない

車の個人売買では、名義変更の手続きが進まずにトラブルになる事例も多い。我が国の制度上、車の名義を変更するにはどうしても手間も時間もかかる。

自動車検査証、車庫証明、印鑑証明書、譲渡証明など必要な書類が多数あるうえ、手続きには当局まで直接出向かなければならないため、平日に働く勤め人では書類を準備して手続きに出向く時間を確保するだけでも一苦労である。

自動車保有台数が8,000万台を超える現在、引越し等で住所を変更した場合の「変更登録」、名義が変わった場合の「移転登録」の手続きが必ずしも適切に行われていないケースが目立っています。

「車両の引き渡しができたのなら名義変更はゆっくりで良いのでは?」という方がいたらすぐに考えを改めてほしい。

名義変更の手続きに手間取ると、車の所有者名義がいつまでも売り手のままのため、翌年度の自動車税の納税義務が売り手に発生してしまうのである。(参照:廃車や譲渡をしているのに納税通知書が市区町村より届いてしまう場合)

もしそんなことになると、どちらが支払うかでもめることは必至だ。

車を売買する際は、売り手は一時抹消して予備検査を受けた状態で引き渡すなど万全の対策が必要だろう。

3.取引後に自動車税が届いた&還付金が受け取れない

車の名義変更に手間取ると、すでに売却して手元にない車の自動車税の支払い義務が売り手に生じることがある。

また、自動車税の還付金が受け取れるはずと期待していたのに、結局戻ってこなかったということもよくある。

自動車税の支払い義務は、その年度の4月1日時点で車を所有する人にかかるため、年度末など売買の時期によっては早急に名義変更してもらわなければならない。

もし相手が税金の支払いを拒否すると、民事訴訟にまで発展することもあり得る。

その場合でも、たとえ「名義変更せよ」と買い手に対し判決が出たとしても、本人が応じるのを待たなければならず、売り手が強制的に名義変更することはできないのだ。

なお、自動車税が残っている状態で売却する場合は、あらかじめその分を販売価格に上乗せしておくべきだ。

それか、一時抹消登録の手続きをして、ナンバープレートを返還した状態で売却しよう。こうすれば、名義変更を買い手に任せなくてもよい。

4.売買成立後に車が故障・トラブルが起こった

個人売買で車を買う際、最も注意しなければならないのが車両の状態だ。もし故障個所があり売り手が黙っていたとすると、購入前にそれに気づける買い手はどれほどいるだろうか。

試乗してすぐにわかるような故障ならともかく、エンジン内部の故障など見た目や異音でわからないトラブルには特に注意が必要だ。

エンジン内部の故障には、エンジンオイルが急速に減少するという故障がある。

通常、オイルは毎月1,000km走行したとしても半年で0.5 !程度しか消費されない。

ところがエンジン内部に故障があると、1カ月で2 !以上減少することもある。このような場合、売り手が売却直前にオイルを補充していたら、車のプロでもない限り見抜けるものではない。

購入後、数カ月も経ってから発覚して売り手に苦情を言っても、「引き渡しの時に確認しましたよね?」と言われれば泣き寝入るしかない。

本当に信頼できる相手ではないと、個人売買ではこのようなリスクがあるのだ。

5.買った車が修復歴車・事故車だと判明した

修復歴車・事故車の売買では、売り手はどのような事故でどの程度の破損があったのかを明らかにしなければならない。

交通事故やその他の災害により、次に掲げる車体の骨格にあたる部位を修正及び交換を行った自動車については、販売時に修復歴がある旨及び特定の車両状態を表示した書面によりその部位を表示することになっています。

ちなみに修復歴の表示については自動車公正競争規約施行規則15条に定められている。

それを証明する日本自動車査定協会の「車両状態確認証明」があればベストだ。この証明書があり、双方が承知して取引するなら大きな問題はないだろう。

しかし、現実には事故歴や修復歴を隠して個人売買で売ろうとする人もいる。

たとえば、車両保険に入っていなかったために、前オーナーが修理費用を自費で負担したケースでは、節約のために見た目は問題なくても修理が十分でないということもある。

ドア、ボンネット、バンパーなど外見だけは修理しているが、骨格には損傷があるままということだってあるのだ。車を見てそこまで見抜けるのは、プロの査定士でないとなかなか難しい。

瑕疵担保責任を明記した契約書を交わしているのでもない限り、買い手のリスクは非常に大きいことを覚悟しなければならない。

瑕疵担保責任とは民法570条に規定されている「売主の責任」のことだ。簡単に説明すると、修復歴を故意に隠した場合は損害賠償を請求される可能性があり、1年以内であれば買主は契約の解除ができる。

6.売買成立後にキャンセルしたい場合

個人売買といえども売買の契約が成立してしまえば、後から簡単にキャンセルすることはできない。

車の個人売買では、ノークレームノーリターンの現状引き渡しを条件とする場合が多いが、それも、買い手が購入後に欠陥に気づいてもクレームや損害賠償請求をしないことを約束するためだ。

しかし、エンジンの重大な故障など、売買契約の目的を達成できないほどの欠陥があるケースでは、代金支払いや名義変更が完了した後でもキャンセルできる場合はある。

売り手がわざとその欠陥を告げなかったという事実があれば、現状引き渡しでもキャンセルは可能だ。

とはいえ、クーリングオフの対象外でもある個人売買では、たとえ法律上は可能だといっても、なかなかスムーズにキャンセルするのは難しいことである。

細かい部分まで契約条件について双方で話し合い、トラブル時の対応まで盛り込んだ契約書を交わすなど慎重な対応ができないようなら、個人売買はおすすめできない。

7.「内容と異なる」と言われ金銭トラブルになる

車の状態が説明と異なるために金銭トラブルに発展することは、車の個人売買ではよくあることだ。

特に直接現物を見て決めるのではないネットオークションでの売買では、この種のトラブルが非常に多い。

「年式やグレードが説明と異なる」「聞いていたよりキズが多い」「付属品が故障している」など実車を見て購入するならあり得ないようなことがあるのだ。

売り手としても、「現状引き渡しなのでノークレームノーリターンでお願いします」といっても、車の状態が説明と異なるので約束の金額は支払えないと言われるリスクがある。

約束が違うと訴えても、一方的な通告でお金を払ってくれない人は意外といるものである。

こうしたトラブルを回避するには、車と代金の引き渡しを同時にするしかない。現金一括での取引ができないようなら、リスクの大きさを考えると、車の個人売買はするべきではないだろう。

8.配送の手配ができず、結果的に期日に配送できない

売り手と買い手の居住地が近距離であれば、どちらかが直接その車を運転して引き渡しを行うことができる。

しかし、売り手が北海道、買い手が沖縄など、自分で運転できないほど遠い場所だと、どうやって引き渡しを行うかも難題だ。

この場合、陸送業者に依頼するしかない。しかし、車を陸送するには費用がかかる。

仮に東京大阪間を運んでもらうとなると、業者によっても異なるが、安く見積もっても陸送費用に4~5万円は必要だろう。

中古車業者を介するのに比べて中間マージンがないので個人売買の方が得だという意見も一理あるが、車の売買には車両代金以外にさまざまな費用が必要になることを忘れてはならない。

また、たとえ費用の問題はクリアできても、遠方だと希望する期日に間に合わない可能性も大である。

実際、このような問題がネックになり引き渡しが進まないということが個人売買ではよくあるのだ。

車の個人売買で人間関係が壊れることもある

女性が男性を殴る

ここまで見てきた車の個人売買の失敗やトラブル事例も、信頼関係のある直接の知り合いとの売買なら大きな問題ではないと思う人もいるのではないだろうか。

ところが、そうではないのである。知らない者同士なら、たとえトラブルになってどちらかが金銭的な損失を被ったとしても、言ってみればそれだけの問題である。

しかし、知人や友人間でトラブルが起これば、これまで築いた人間関係が一瞬で壊れることにもなりかねない。つまり、ただの中古車の売買だけでは事が済まないのだ。

特に、車の個人売買では、問題が起こりやすいのは取引が完了してからだ。代金の受け渡しや名義変更などの手続きはスムーズに済んだとしても、中古車である以上、いつ故障などのトラブルが発生するかわからない。

そんな時、知り合い同士であれば、買った方は文句を言いたくなるだろうし、たとえ言わないにしても不満が募る。売った方だって良い気がするわけがない。

結果的に、当人同士に問題がなく、売買時点で車に問題がないとしても、保証のない中古車の個人売買ではお互いに不信感を抱くことにもなりかねないのである。

当編集部では車の個人売買は推奨しない。あまりにトラブルが多いからだ。ただ、どうしても個人売買を行う場合はこちらの記事「失敗しない車個人売買に関する4つの注意点&トラブルの回避法」も合わせて読んでほしい。

まとめ

以上見てきたことからわかるように、車の個人売買ではメリットよりもデメリットの方が大きいと言わざるを得ない。

確かに、中古車業者を介さずに個人間で取引する方が、業者の利益や手数料など中間マージンが不要な分、売り手は相場より高く売ることができ、買い手は相場より安く買うことができるなど、双方にとって金銭的にメリットがある。

しかし、お互いが中古車について十分な知識がないと、得なように見えてどちらかが大きな損失を被っているという可能性が高い。

また、中古車業者での売買ならすべて代行を依頼できた名義変更など書類上の手続きも、すべて自分でやらなければならないことも忘れてはならないし、車両の引き渡し自体に別途費用が必要になることも無視できない。

それに、昨今増えているネットオークションなどの利用による個人売買では、代金の不払いなどで裁判や警察沙汰に発展する事例も報告されている。

それだけのリスクを冒してまで個人売買をするほどの価値があるかをよく考えなければならない。

個人売買が問題ないのは、売り手と買い手が実車を直接確認できて、トラブル時の対応なども含めた詳細な契約書を交わし、現金一括で代金の引き渡しと車両の引き渡しを同時に行うことが可能な場合のみと考えた方がよいだろう。