ハイブリッド車とは、動力の異なる2つのモーターを搭載した車のことである。英語の頭文字を取って「HV車」と表記されることが多い。
日本では一般的に「ガソリンを燃料として駆動するエンジン」と「電気エネルギーによって駆動するモーター」の2つを搭載している車のことを指している。
ハイブリッドは英語で「2つのものを組み合わせる、2つのものが協同している」という意味がある。
HV車には「ガソリンと電気」という組み合わせの他に「燃料電池と電気」、「バイオ燃料と電気」といった組み合わせも少数ながら存在している。
HV車で最も多いのは発電機を搭載したタイプだ。ガソリンでエンジンを駆動している間に走行エネルギーを活用して発電を行なっている。
これにより、モーター用のエネルギーを効率良く補充することができるため、別途充電の時間を確保する必要がほとんどない。
HV車の設計には「低燃費重視」と「運動性能向上」という2つの系統が存在する。低燃費重視型は電気モーターを活用してエンジンの負担を減らす設計になっている。
一方、運動性能重視型は高出力の電気モーターを搭載することでエンジンの最大出力を引き上げるというものだ。力強い走りを楽しみたい人にもHV車は魅力的な選択肢となっている。
そんなあるの?ハイブリッド車の『8つのメリット』
ハイブリッド車(HV車)は1997年の発売開始以来、急速な勢いで自動車市場の国内シェアを拡大。
2012年にはHV車の新車販売台数が全販売台数の2割を超え、年を追うごとにその割合はますます大きくなっている。
HV車の需要が日本全体でこれほど大きい理由としては「購入するメリットが多岐に渡る」という点を多くの消費者が意識しているからだ。
HV車と聞くと大抵の人は燃費の良さだけに目が向きがちだ。とはいえ、近年は機能性や快適性を重視したHV車が増えており、自動車としての有用性が高まっているのだ。HV車の持つ利点について以下に紹介する。
【メリット1】ハイブリッド車の燃費の良さ
燃費の良さはハイブリッド車の際立った特徴である。自動車がガソリンを最も消費するのは、低速から中速へと加速する瞬間だ。
HV車に搭載されている電気モーターは、低速時の加速をサポートすることでガソリンの消費量を抑える働きがある。
電気モーターは常時エンジンの回転をサポートしているので、高速運転時であってもエンジンは回転数をさほど高くする必要がない。そのため、ガソリンの消費量を抑えることが可能となる。
HV車の代表格であるトヨタ・プリウスはJC08モードで40.8km/Lを実現している。
セダン型のガソリン車は15.0km/Lから18.0km/L程度が一般的な燃費であることと比較すると、HV車がいかに優れているかすぐに分かるはずだ。
【メリット2】ハイブリッド車の走行距離
ハイブリッドカーのエンジンは電気モーターによるサポートを受けているため、一般のガソリン車よりもエンジンにかかる負担は少ない。つまり、同じ走行距離を走っていたとしても、HV車の方がエンジンの老朽化は緩やかということだ。
一般に「10年・10万km」程度で自動車のエンジン性能は低下し始めると言われている。
一方、HV車は走行距離が20万km以上になってもエンジンのトルクや馬力はほとんど低下しない。
HV車は通常の自動車部品に加えてハイブリッドシステムでは電気モーターの駆動バッテリーやインバーターなどを定期的に交換する必要がある。
これらの消耗品をきちんとメンテナンスしていれば、走行距離30万km以上も十分に可能だ。
【メリット3】ハイブリッド車の環境性能
ガソリンを燃料としてエンジンを動かすと一酸化炭素(CO)や窒素化合物(Nox),二酸化炭素(CO2)などが排出される。これらの物質は「温室効果ガス」と呼ばれ、地球の温暖化や大気汚染を引き起こす原因である。
HV車は低速走行中ガソリンではなく電気モーターを使用している。そのためガソリンの消費量は少なくなり、温室効果ガスの排出量を抑えることができる。
排気ガスの排出量がガソリン車のわずか25%というHV車も珍しくない。
モーターによる走行速度の上限が上がれば、それだけガソリンの消費量が減り、環境への負荷を軽減することができる。
【メリット4】ハイブリッド車の静粛性
ガソリン車はエンジンを始動させると停止している状態でもアイドリング音がする。
一方、HV車は発進時と時速30km以下の低速走行時は基本的に電気モーターのエネルギーで動く設計になっている。そのため、アイドリング音がほぼ発生しないという利点がある。
夜間や早朝にエンジンをかける時、セルの騒音による近隣への迷惑を考えることは少なくないはずだ。HV車の場合、こうした騒音ストレスを感じなくて良いという大きなメリットがある。
HV車は燃費を向上させるため、中速もしくは高速走行中も電気モーターがエンジンをサポートしている。
結果として、加速するためにアクセルを思い切り踏み込む必要がなくなるため、走行中もエンジン音の静粛性が保たれている。
【メリット5】ハイブリッド車は家電が使える
ハイブリッド車には基本的にモーターで発電した電気を蓄えておくための蓄電器が搭載されており、ミニバンを中心として複数のHV車にこの蓄電器から外部へ電源を供給する機能が搭載されている。
車内に搭載されているコンセントプラグへ使用したい家電を接続し、エンジンを始動させてから「電源ボタン」を押すだけだ。
キャンプや海などのアウトドアで電気製品を使いたい時には非常に重宝する機能と言える。
HV車の電気供給機能が最も役立つのは地震を始めとする災害が発生して電気の供給がストップしてしまった時だ。
100V電源として最大1500Wまで使用が可能となっているので、インフラが復旧するまでの間、発電機として活用できる。
【メリット6】ハイブリッド車の売却時も高価買取してくれる
ハイブリッド車は中古車市場で人気が非常に高く、値崩れしにくい。一般的なガソリン車は「10年・10万km」を超えると買い手が付きにくい。
一方、HV車は走行距離が10万kmを超えても購入希望者は見つけやすい。
ディーラーにHV車を持ちこむ場合、買い取り額は年式に応じて規定されているため、高い金額提示は期待できない。
一方、中古車買い取り業者は市場のニーズに合わせて査定額を決定している。
HV車の中古車は購入希望者が非常に多いため、どの買取業者も積極的に買取を行なっている。
また最近は一括査定を活用して相見積もりを取る人が多いため、各買取業者も買取を成功させるために高めの査定額を提示することが多いのだ。
【メリット7】ハイブリッド車の販売台数の上昇とともに年々性能が進化している
ハイブリッドカーの販売台数は年々上昇している。一例として、2017年にトヨタは全世界でHV車の販売台数が1,000万台を超えたと発表した。
販売台数の増加に合わせて、HV車の性能も向上している。例えば、1997年の販売開始当時、大容量バッテリーの耐用走行距離は10万km前後とされていた。
一方、現行のHV車に搭載されているバッテリーは15万kmから20万kmまで交換不要となっている。
その他にもボディの軽量化や剛性の向上、回生エネルギーを利用した発電効率の改善や電気モーターの小型化など、多くのHV車は毎年マイナーチェンジを行なっており、その度に性能や燃費が向上している。
【メリット8】ハイブリッド車の減税
高い環境性能を誇るハイブリッドカーは「エコカー減税」の適用対象となっている。
国道交通省では「平成32年燃費基準」という数値を定めており、新車登録を行なう車がこの基準値をどれほど達成しているかに応じて減税措置を行なっている。
現在新車販売されているHV車は、メーカーに関わりなくほぼすべてのモデルが50%から100%免税の対象だ。
トヨタ・ミライを始めとするプラグインHV車を購入する場合、これらの税制優遇に加えて「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」を最大20万円まで申請することが可能だ。
意外と知らないハイブリッド車の『8つのデメリット』
ハイブリッド車に関しては「燃費の良さ」や「税制優遇」などメリットばかりがクローズアップされることが少なくない。とはいえ、HV車特有のデメリットも存在することを覚えておくべきだ。
例えば、HV車を新車で買う場合と中古車で購入する場合は状況が全く異なる。新車は購入費用がガソリン車よりも圧倒的に高い。
一方中古車は新車向けの税制優遇が受けられない可能性がある。走行距離によっては部品交換に多大の費用が発生するリスクも発生する。
以下に紹介するHV車の購入に伴うデメリットを事前にしっかりと理解しておくことで、「自分はHV車を買う必要があるのか、購入することで本当に得をするのか」といった点が容易に見極められるはずだ。
【デメリット1】ハイブリッド車は価格が高い
「ハイブリッドカーは経済的でお財布に優しい」というイメージが強い。とはいえ、それは購入価格に関しては当てはまらない。HV車の販売価格はガソリン車よりも2割から3割ほど割高になる。
HV車には各メーカーが開発した最先端技術が搭載されており、ガソリン車と比べると部品の数も多くコストがかかる。その分販売価格が高くなってしまうのだ。
一例として、トヨタ・ヴィッツを取り上げよう。ヴィッツは標準グレードで税抜き本体価格165万円となっている。
一方、同グレードのガソリン車は本体価格109万円で、50万円以上の差があることが分かる。この差額分を支払ってもなおお得なのか、購入を決める前に考慮しておくと良い。
【デメリット2】ハイブリッド車は充電設備が必要
プラグインハイブリッドカーを購入すると、自宅に充電設備を設置する必要がある。
一般的なコンセントでは電圧が足りないため、専用のコンセントを設置する必要があるのだ。
充電設備の設置には特別な工事が必要となるため、初期費用がかかる。
自宅駐車場用の200Vタイプは本体だけで10万円前後必要となる。また、毎日2時間から5時間程度充電する必要があるため、毎月の電気代が高くなってしまう。
マンションやアパートに住んでいる場合、こうした設備を付けるための許可が必要となる。また、電源の確保が難しいのもデメリットと言える。貸し駐車場を利用している場合、充電設備の設置は非常に困難だ。
【デメリット3】ハイブリッド車は地方や田舎などではインフラ(充電設備)が整備されていない
プラグインハイブリッドカーはモーターによる電気の消費量が大きいため、定期的に充電をする必要がある。とはいえ、充電設備が設置されている場所はまだまだ少ないのが現状だ。
地方や田舎では充電設備を設置している場所が非常に少ない。ディーラーには急速充電器を設置していることもあるものの、大抵は1台しかないので、他に利用者がいると長時間待たなければいけないというデメリットがある。
都市部では、大型のデパートやアウトレットなどの商業施設を中心としてPHV車用のインフラが整備されている。とはいえ、充電装置の台数は少ないため、順番待ちになってしまうことが多いのだ。
【デメリット4】ハイブリッド車は室内空間が一部犠牲になる
ハイブリッドカーには通常のガソリン車が持つ装備とは別に、電気モーター用の設備が設置されている。発電機や蓄電機、バッテリーなどだ。
そのため、ガソリン車と比較して室内空間が狭くなるというデメリットが存在している。
大抵のHV車は発電機や蓄電機などを座席の下に設置している。その分車内のスペースは小さくなるため、ガソリン車よりも座席に座った時の圧迫感は大きい。セダンタイプでも5人乗るとかなり狭く感じることがある。
【デメリット5】ハイブリッド車はバッテリーの交換費用&修理代が高い
ハイブリッドカーにはHV車専用の大容量バッテリーが搭載されている。この大容量バッテリーは15万kmが交換の目安とされている。
メーカーの純正品を選択した場合の費用は、工賃を合わせて10万円から15万円前後が一般的だ。
HV車の要である「ハイブリッドシステム」も15万km前後で交換が必要となる。電圧の調整をするインバーターだけでも交換費用は15万円前後、システム全体を交換すると40万円から50万円がかるだろう。
ハイブリッドシステムに関わるパーツは汎用品がほとんどなく、各メーカーの純正品のみ交換可能であることが多い。そのため、HV車はガソリン車と比べて修理費用が高くなってしまうことが多いのだ。
【デメリット6】ハイブリッド車は点検・整備に専門知識がいる
ハイブリッドシステムは各メーカー独自の技術を搭載しており、同じメーカーであっても車種や年式ごとに仕様が少しずつ異なる。そのため、点検や整備をするためには高度な専門知識を持った整備士でなければならない。
HV車に関する詳細な知識と経験を持った整備士が一般の自動車工場で働いているケースは稀であり、町工場ではせっかく持ち込んでも修理を断られることが少なくない。
HV社の交換用部品が十分に揃っており、技術を持った整備士がいるのはディーラーの修理工場だ。
ただし、ディーラーに依頼すると純正品の交換になるため修理費用が割高になる。また近くにディーラーがない場合は修理ができない、というケースも起こり得る。
【デメリット7】ハイブリッド車は静粛性が高い分事故が起こる可能性も・・・
HV車は低速走行時、電気モーターで走行しているため、走行音がほとんど発生しない。静粛性が高いと騒音の心配がない一方で、車が近付いても歩行者が気付かないというリスクが高くなる。
「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会 」が製作した報告書によれば、時速20km以下で走行しているHV車の駆動音はガソリン車と比較して最大20dBの音量差がある。
そのため、車の接近に気付かなかった歩行者による接触事故が増加している。
低速移動時のHV車による事故を防止するため、HV車に駆動音発生装置の取り付けを義務化することや、歩行者を感知して警告音を発するセンサーの開発などの対策が提案されている。
【デメリット8】ハイブリッド車は結局初期にかかる費用を取り戻すのは10年以上かかる
ハイブリッドカーとガソリン仕様車では、新車で購入する際に30万円前後の違いが発生する。そのため、初期費用の元を取るためにはかなりの距離を走る必要があるわけだ。
トヨタ・ヴィッツの場合、HV車とガソリン車では約50万円の違いがある。一方、燃費はHV車が34km/L、ガソリン車は20km/Lだ。
ガソリン1Lを150円とすると、16万km以上走行することでようやく元を取ることができる。
一般的な目安として、初期費用分を確保するためには20万km程度走る必要がある。もし長距離を走行することがほとんどないのであれば、長年乗り続けない限りHV車による経済的な恩恵はほぼないと言える。
特に有名なハイブリッド車の『国産代表4車種』
日本は先進国の中でもハイブリッド車の普及率がとりわけ高い国だ。
高い需要と消費者からの要望に応え、各自動車メーカーからはハイクオリティのHV車が数多く販売されている。
ここではトヨタ・ホンダ・日産の各メーカーから発売されている代表的なHVモデルとその特徴を詳しく見ていこう。
トヨタのハイブリッドカー一覧
トヨタの代表的なHVモデルと特徴を紹介していこう。
プリウス
メーカー | トヨタ |
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HV車種名 | プリウス(5代目・2023年~) |
価格 | Z(プラグインハイブリッド):460万円 Z(ハイブリッド):370万~392万円 G(ハイブリッド):320万~342万円 X(ハイブリッド):275万~297万円 U:KINTO専用使用者 |
燃費(WLTCモード) | 26.0~32.6km/L |
プリウスはセダン型HVのフラッグシップ的存在である。ベーシックなEグレードは247万円、特別仕様車のSグレードは260万円となっている。
Eグレードの燃費はJC08モードで40.8km/L、その他のグレードはいずれも37.2km/Lだ。最大航続距離は1,599kmである。
新車販売されているプリウスはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税および自動車重量税は100%免税となり、自動車税もグリーン化特例が適用されるため、最大で13万円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
【2023年現在】5代目プリウスについて
上の表に記載したように2023年フルモデルチェンジにより、5代目プリウスとなった。
グレードについては4代目の「E」にあたる「X」という1.8Lエントリー兼ビジネス向けグレード。2.0Lの普及グレードである「G」、2.0Lの上級グレード「Z」、さらにはサブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」専用グレードの「U」が用意されている。
HEVモデルはこの4グレードが設定されており、PHEVモデルは「Z」のみの設定。
プリウスα
メーカー | トヨタ |
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HV車種名 | プリウスα |
価格 | 256万円(Sクラス) 355万円(GRグレード) |
燃費(WLTCモード) | 20.7km/L |
快適さと荷室の大きさを兼ね備えたプリウスαにはノーマルクラスのSとハイグレードのGRクラスがある。
Sクラスは256万円、特別仕様車のGRグレードは355万円となっている。燃費は各グレード共通でJC08モード26.28km/Lである。最大航続距離は1,179kmである。
新車販売されているプリウスαはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税および自動車重量税は100%免税となり、自動車税もグリーン化特例が適用されるため、最大で14万円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
アクア
メーカー | トヨタ |
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HV車種名 | アクア(2代目・2021年~) |
価格 | Z:240万円~259万8000円 G:223万円~242万8000円 X:210万7000円~230万5000円 B:199万7000円~219万5000円 GR SPORT:259万5000円 |
燃費(WLTCモード) | 29.3~35.8km/L(その他グレード) |
「HV車は大衆車」というイメージを定着させたのがアクアだ。アクアには販売価格188万円のSグレードから、255万円のGRグレードまである。
燃費はLクラスが38.0km/L、その他のグレードは34.4km/Lとなっている。最大航続距離はLクラスが1,238km、それ以外のクラスは1,368kmである。
新車販売されているアクアはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。自動車取得税および自動車重量税は100%免税となり、自動車税もグリーン化特例が適用されるため、
最大で10万円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
【2023年現在】2代目アクアについて
2021年フルモデルチェンジにより、アクアは2代目となった。
グレードについては初代モデルからハイグレードモデル「G」だけを引き継いで他は新しくなり、エントリー兼ビジネス向けモデル「B」、スタンダードモデル「X」、最上位モデル「Z」、スポーツモデル「GR SPORT」が設定された。
トップレベルの低燃費だが、1.5Lハイブリッドシステムと1.5Lダイナミックフォースエンジンにより、力強い走りと両立している。
CH-R
メーカー | トヨタ |
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HV車種名 | C-HR(初代2016年~) |
価格 | G”Mode-Nero Safety Plus III”:305万5000円 S-T 6MT・2WD:239万2000円 G:305万000円 G-T 6MT・2WD:269万2000円 |
燃費(WLTCモード) | 15.4~25.8km/L |
CH-Rは走る楽しさを追求したSUVタイプのHV車である。CH-RにはノーマルクラスのSからハイグレードの特別仕様Gクラスまで4タイプある。
Sクラスは267万円、Gクラスは292万円となっている。燃費は各グレード共通でJC08モード30.2km/L、最大航続距離は1,299kmである。
新車販売されているCH-Rはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税および自動車重量税は100%免税となり、自動車税もグリーン化特例が適用されるため、最大で13万円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
ホンダ
ホンダの代表的なHVモデルと特徴を紹介していこう。
フィットハイブリッド
メーカー | ホンダ |
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HV車種名 | フィット(4代目・2020年~) |
価格 | 159万2800円~266万4200円 |
燃費(WLTCモード) | 16.0~30.2km/L |
豊富なカラーバリエーションで人気を集めるのがフィットハイブリッドだ。ベースタイプからハイグレードのSENSINGまで4つのクラスがある。
ベースタイプは181万円、SENSINGは220万円となっている。燃費はベースタイプの37.2km/Lが最大で、航続距離は1,488kmである。
新車販売されているフィットハイブリッドはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税および自動車重量税は100%免税となり、自動車税もグリーン化特例が適用されるため、最大で10万円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
【2023年現在】4代目フィットについて
2020年のフルモデルチェンジにより4代目となったフィット。ガソリンとハイブリッドの2タイプが設定されている。
ハイブリッドモデルについては2代目や3代目の「フィットハイブリッド」から「フィットe:HEV」へ名称変更した。
グレードについては「BASIC」「HOME」「RS」「「CROSSTAR」「LUXE(リュクス)」が設定。
ヴェゼルハイブリッド
メーカー | ホンダ |
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HV車種名 | ヴェゼル(2代目・2021年~) |
価格 | 227万9200円~329万8900円 |
燃費(WLTCモード) | 15.6~25.0km/L |
快適な室内空間を実現したSUV・ヴェゼルハイブリッドにはベーシッククラスからSENSINGクラスまで4つのグレードがある。
ベーシックタイプは227万円、SENSINGは277万円だ。燃費は27.0km/Lで、最大航続距離は1,080kmである。
新車販売されているヴェゼルハイブリッドはすべてのグレードがエコカー減税の対象である。
ベーシック取得税および重量税は100%免税となり、それ以外のクラスは取得税が40%から60%、重量税が50%から75%の免除となっている。グリーン化特例も適用されるため、最大で11万円程度の優遇措置となる。
【2023年現在】2代目ヴェゼルについて
2021年のフルモデルチェンジにより、2代目となったヴェゼル。
ハイブリッドモデルは「e:HEV」となり、「e:HEV X」「e:HEV Z」「e:HEV PLa」の3タイプが設定。ガソリンモデルは「G」のみとなった。
ハイブリッドモデルの2WD車は燃費性能の向上によって2030年度燃費基準を達成。
フリード
メーカー | ホンダ |
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HV車種名 | フリード(2代目・2016年~) |
価格 | 227万5900円~327万8000円 |
燃費(WLTCモード) | 15.6〜20.9km/L |
ホンダの誇るコンパクトミニバン・フリードには、ノーマルクラスのBとハイグレードのSENSINGがある。
Bクラスは225万円、SENSINGクラスは313万円となっている。燃費は各グレード共通でJC08モード27.2km/Lである。最大航続距離はFFタイプが979km、4WDタイプは1,088kmである。
新車販売されているフリードはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税および自動車重量税は100%免税となり、自動車税もグリーン化特例が適用されるため、最大で11万円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
日産
日産の代表的なHVモデルと特徴を紹介していこう。
セレナハイブリッド
メーカー | 日産 |
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HV車種名 | セレナ(6代目・2022年~) |
価格 | 276万8700円~479万8200円 |
燃費(WLTCモード) | 13.0~20.6km/L |
ミニバンハイブリッドの中で最も低燃費なのがセレナハイブリッドだ。2つのグレードで17.2km/Lを達成している。
セレナハイブリッドにはノーマルクラスのSからSPORTS SPECまで24のグレードがあり、Sクラスは243万円、SSPORTS SPECは356万円となっている。最大航続距離は946kmである。
新車販売されているセレナハイブリッドはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税は20%免除、自動車重量税は25%免税となるため、最大で2万4,000円程度の優遇措置を受けることが可能となる。
【2023年現在】6代目セレナハイブリッドについて
2022年のフルモデルチェンジにより6代目となったセレナ。
グレードは5ナンバーの「X」「V」、「e-POWER X」「e-POWER XV」、3ナンバーのエアロ仕様「ハイウェイスターV」、「e-POWER ハイウェイスターV」、e-POWER車専用の最上位グレード「e-POWER LUXION」。
そのほか「AUTECH」、「e-POWER AUTECH」、福祉車両の「ステップタイプ」や「送迎タイプ」、「マルチベッド」などがある。
e-POWER車にはナビ情報を基に⽬的地付近でEV⾛⾏できるように経路上での充放電をマネジメントする技術「先読み充電制御」が世界初で採用。
エクストレイルハイブリッド
メーカー | 日産 |
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HV車種名 | エクストレイル(4代目・2022年~) |
価格 | 319万8800円~504万6800円(XIグレード) |
燃費(WLTCモード) | 18.3~19.7km/L |
強い走行性能と快適性を兼ね備えたエクストレイルハイブリッドにはプリウスαにはノーマルクラスのSからハイグレードのXIまである。
Sクラスは258万円、XIグレードは361万円となっている。燃費はSクラスがJC08モード20.8km/Lを達成しており、最大航続距離は1,248kmである。
新車販売されているエクストレイルハイブリッドはすべてのグレードがエコカー減税の対象となっている。
自動車取得税が60%および自動車重量税が75%免税となり、最大で10万円の税制優遇を利用することが可能だ。
【2023年現在】4代目エクストレイルについて
2022年のフルモデルチェンジにより4代目となったエクストレイル。
ガソリンモデルが廃止されてハイブリッドモデルのみとなった。グレードは「S」「X」「G」の3タイプ(4WD車は「S e-4ORCE」・「X e-4ORCE」・「G e-4ORCE」)。
そのほか「AUTECH」や「エクストリーマーX」などがある。
「ハイブリッドカーはエコカーではない」そう言える”5つの事実”
「ハイブリッドカーは環境に優しい」という印象を持つ人は多い。
実際、電気モーターによるサポートのお陰で排気ガスの排出量はガソリン車に比べて圧倒的に少ない。ガソリンの消費量が減るので化石燃料の消費減にも貢献している。
とはいえ、HV車の生産過程を詳しく考慮すると、実際は環境へ大きな負荷をかけていることに気付かされる。また、モーターシステムを稼働させるために電気エネルギーを消費している事も念頭に置いておくべきだ。
最近では「ガソリン車の排出する排気ガスは温室効果にそれほど大きな影響を及ぼしていない」という点が注目されている。では「HV車は本当にエコカーなのか」という視点から検討してみよう。
【理由1】制作時の消費資源が多い&排出されるCO2が多い
ハイブリッドカーは通常のガソリンエンジンに加えて、電気によるモーターシステムを搭載しており、周辺機器の数も多い。
つまり、HV車を生産する段階においてはガソリン車を生産する時よりも多くの資源を消費することになるわけだ。
HV用部品にはリチウムやマンガンなど特殊な加工が必要となる物質が多く使用されている。これらの物質を採集する作業には大型機械が使用されており、そこからは大量の排気ガスが発生している。
HV用パーツの製作時には工場を大規模に稼働させる必要があり、そこでは大量に電力が消費されている。また、工場から大気中に排出されるCO2によって温暖化に悪影響が及ぶことも忘れてはならない。
【理由2】走行時に道路を傷める
ハイブリッドカーには内燃式エンジンと電気モーターの2つが搭載されており、これらを調和良く稼働させるためのシステムも組み込まれている。
特にHV用大容量バッテリーとリチウム電池はかなりの重量がある。そのため、多くの場合車体の重量はガソリン車よりも重くなっている。
重量が重いということはそれだけ道路にかかる負担が大きいということだ。つまり、HV車はガソリン車と比較すると走行によって道路を傷つけるリスクが高い。
車重が重いとタイヤにかかる負担も大きくなり、摩耗が早くなる。結果としてタイヤの交換周期が短くなるので、費用が余分に発生する。
また、車重が重い車は細かな操作や制御が難しいというデメリットもある。
【理由3】20万キロ以上走らないと元が取れない
ハイブリッドカーはガソリン車と比べて燃費が良いため、毎回の給油で得をしている気分になる。とはいえ、実際に元を取るためには平均20万km以上走行する必要があるのだ。
その原因となっているのは「販売価格が高いこと」だ。
同じグレードのHV車とガソリン車を比較すると、平均してHV車の方が20万円から30万円ほど高い。中には50万円以上差が付くものもある。
最近ではガソリン車の燃費が向上しており、20km/L以上走行するモデルも少なくない。そのため、購入時に支払った差額をガソリン代で取り戻すには20万km程度の走行距離が必要となる。
つまり、毎日高速道路を利用するような人でない限り、なかなか元を取ることはできないのだ。
【理由4】廃棄時に発生するゴミが多い
ハイブリッドカーはガソリンと電気のシステムを連動させている。つまり、ガソリン車と比べて圧倒的に搭載している部品の量が多い。そのため、廃棄処分する段階になると発生するゴミが非常に多いというデメリットがある。
HV車には回生エネルギーで電気を作り出すために専用のモーターや発電機、
パワーコントロールユニットなどが搭載されている。これらの部品は経年劣化していると解体後に再利用することが非常に難しい。
同じメーカーのHV車であっても仕様が異なるものは珍しくない。そのため、たとえ回収したとしても再利用できない部品に関しては、そのまま完全廃棄処分になることが多い。つまりゴミの山になってしまうのだ。
【理由5】リチウムイオンバッテリーはリサイクルしづらい
ハイブリッドカーに使用されているのは「リチウムイオンバッテリー」もしくは「ニッケル水素バッテリー」だ。
これらのバッテリーはガソリン車に使用されているバッテリーとは異なり、リサイクルが難しい。
リチウムイオンバッテリーは電圧が非常に高く、また強アルカリ性の溶液が使用されているため、廃棄処分もできない。
結果として使用済みリチウムイオン電池が手つかずの状態で保管され、その数だけ増えている状態である。
未来のエコカーはEV(電気自動車)とFCEV(燃料電池車)になる?
ハイブリッドカーは日本で爆発的な人気を誇っているとはいえ、欧米ではそれほど販売数が伸びていない。
HV車はガソリンエンジンと電気モーターを並列稼働させていることから、「無駄が多いシステム」とみなされているのだ。
欧州では「エコカーとしての将来性はEV(電気自動車)とFCEV(燃料電池車)の方が高い」という見方が広まっている。EV先進国のノルウェーでは2017年度中に新車販売された自動車の内4割以上がEVになっている。
EVやFCEVは排気ガスが発生しないため、HV車よりも圧倒的に環境に優しいと考えられている。では「未来のエコカー」はHVなのか、それともEVやFCEVなのかという視点から検証してみよう。
バッテリーのリサイクルは進んでいるが…
各自動車メーカーはHV車のバッテリー回収に力を入れている。とはいえ、回収されたバッテリーがきちんと再利用されているのかどうかは疑問だ。
回収されたバッテリーは破砕・洗浄処理をされて再び修理部品用バッテリーの原料になる。とはいえ、HVバッテリーの寿命は長くなっており、廃車まで一度も交換をしないというケースもある。
そうなると、修理部品としてのバッテリーは消費されず倉庫に在庫だけが蓄積してしまうわけだ。
整備士がHV車のバッテリー処理を行なうためには、各メーカーが指定する講習を受ける必要がある。地方ではこうした講習を受ける機会が少ないため、リサイクル処理ができる人材が増えていないという問題もある。
大手自動車会社『トヨタ・日産・ホンダ』のリサイクルへの取り組み
トヨタは、かねてより持続可能な循環型社会の構築をめざし、資源循環の分野において常に最先端の取り組みをしております。2010年10月からは、使用済みとなったハイブリッド車用ニッケル水素バッテリーからニッケルを抽出し、バッテリー原料として再資源化する世界初の“バッテリー to バッテリー”リサイクル事業を推進しています。
日産は、持続可能な社会の実現と資源循環の促進のため、当社が販売する電気自動車及びハイブリッド車のリチウムイオンバッテリーを回収し、リサイクルを行っています。
Honda 電気自動車・ハイブリッド車に搭載されている「駆動用バッテリ」は、「ニッケル水素バッテリ」または「リチウムイオンバッテリ」を使用しています。バッテリには希少金属も使われており、ステンレス鋼や電池材料に再生されます。
いずれガソリンはエネルギーとして使われなくなる
温室効果ガスを削減するための国際的な取り組みが進む中で、ガソリンやディーゼルなど排気ガスが発生する燃料への否定的な見方が広がっている。
そのため、「ガソリンはいずれエネルギーとして使用されなくなる」という見方が一般的だ。
電気自動車や燃料電池車は電気および水素を燃料としているため、温室効果ガスを発生させる心配がない。
車体価格はかなり割高ではあるものの、各メーカーの生産ラインが安定してくれば徐々に下がってくると予想されている。
EVの充電設備は各家庭に設置することが可能であり、わざわざガソリンスタンドに行く必要がない。また1度設置すればメンテナンスが容易というメリットもあるため、これからシェアはいっそう拡大していくはずだ。
まとめ
ガソリンエンジンと電気モーターを連動させたハイブリッドシステムは自動車の燃費を劇的に向上させただけでなく、温室効果ガスの排出量削減にも成功した画期的なシステムである。
静粛性や災害時の緊急電源として転用できることも魅力だ。
HV車を購入することで税制優遇が活用できるのも大きなメリットと言える。また、ガソリン車と比べて値崩れしにくいため、中古車として売却する際に高値で買い取りをしてもらえるという強みもある。
一方で、車両本体価格やメンテナンス費用がガソリン車と比較して割高になることを考えると「本当に経済的な車なのか」という点に関しては疑問符が付く。
「HV車は環境に優しい」という点に関しても、生産過程において多大のエネルギーを消費することや道路に負荷がかかること、リサイクルしにくい部品があることなどを考慮すると一概に肯定はできないと言える。
欧米各国ではガソリンに対する否定的な見方が強く「HV車は中途半端」という意見が根強い。
「温室効果ガスをまったく排出しない」という理由から、HV車よりも電気自動車(EV)や燃料電池車(FCEV)に人気と注目が集まっている。
インフラの整備がさらに進めばHV車の需要に多大の影響が及ぶことは間違いない。
Z(プラグインハイブリッド):460万円
Z(ハイブリッド):370万~392万円
G(ハイブリッド):320万~342万円
X(ハイブリッド):275万~297万円
U:KINTO専用使用者
Z(プラグインハイブリッド):460万円
Z(ハイブリッド):370万~392万円
G(ハイブリッド):320万~342万円
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U:KINTO専用使用者
燃費(WLTCモード)
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